TSアパート5 ~一般人

それぞれの事情からTS中なアパートの住人との日常会話的な短編です
たいしたヤマもオチもないぐだぐだな代物です

TSアパート・203号室

 このアパートの203号室には、一般人がいる。

「やあ、おはようございます大家さん」
 駐車場の掃除をしていると、ジャージ姿の203号室の住人に挨拶をされた。
 どうやら日課のジョギングを済ませてきたらしい。相変わらず健康的な男だ。
「おはよう、今日も元気そうですね。……お連れさんはどうしました?」
「ああ、あの家出少女ですか。ジョギング開始からおよそ三キロ地点で見えなくなりましたよ。はっはっは」
 情けない、といわんばかりにからから笑う一般人。
 少なくとも俺の認識では、早朝から十キロ強を走り汗一つ流さない男は一般人のカテゴリーに入っていない。
 が、本人が一般人だというのだからそうなのだろう。
「ぜぇー……ぜぇー……」
 203号室の住人の高性能さにいつものごとく呆れていると、よたよたした足取りで小柄な少女がアパートの敷地に入ってきた。
 少女の額には、角がある。まるで頭蓋骨から突き出てきたような、やたら先端のとがった乳白色の角だ。
「ぜー……はぁー……こやつ、毎朝毎朝どんな体力しているんじゃ……」
 汗をだらだらかきながら、鬼娘はヒザに手を置いてぐちぐち唸っている。
 203号室の一般人様に言わせれば、彼女の額のソレは「人より少し変わった頭蓋骨をしている」だけなんだそうだ。
 人の身体的特徴をやたら注目するのは褒められたことではない、とたしなめられてしまったこともある。
「お、戻ってきたか家出少女」
「ぜぇー……ぜぇー……」
「ほら、「ただいま」は? あと、大家さんに「おはようございます」」
 息も切れ切れの少女に大して容赦がない。この男こそ本当の鬼だ。
「ワシは……女子、では、ない…………鬼じゃっ」
 途切れ途切れに言葉をつむぐ少女。
 なんでもこの少女は、本当は誰もが思い描くような鬼の姿――金棒を持った、赤くて大柄な男なんだそうだ。
 だがある日、夜の河原で鍛えていた203号室の男を襲い、返り討ちにあい、その結果武器を取られ女性化してしまったらしい。
 なんで金棒を取られると女性化してしまうのかはともかく、以来、この鬼は自分の得物を取り返すため男と暮らし始めたそうだ。
 だが、この男、そんな経緯があっても自分は一般人だと思い込んでいる。
「鬼なんているわけないだろう、常識的に考えて」
「鬼の姿で、ぬしを襲っただろう!」
「着ぐるみだろ、常識的に考えて」
「金棒を取られ、目の前でこの姿になっただろうが!」
「早着替えだろ、常識的に考えて」
 こんな感じで取り付く島がない。
 もっと言うなら、203号室の主は、この鬼を『鬼の着ぐるみ着て、金棒もって襲い掛かってきた住所不定の女の子』として認識しているらしい。
「ええいッ! とっとと金棒を返さぬかこの盗人がぁっ!」
「通り魔の家出少女を警察に引き渡さず住まわせてやってんだから感謝するべきだろ、常識的に考えて」

「……さーて、掃除掃除」
「あ、大家さん。よければコイツにも手伝わせてやってください」
「ワシが人間の小間使いだと!?」
「学校にも行ってないし働いてもいないんだから、大家の手伝いぐらいするだろ。常識的に考えて」
「むきゃーーーーーーーーッ!」
「朝から叫ぶなんて近所迷惑だろ、常識的に考えて」
 203号室の自称一般人は、いちいちウザったい。




最強の一般人
さて、103号室は空き家なので、これでアパートの住人は一周しました。
次の展開どうしようかな……
いや、その前に101号室を掘り下げるか
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