くだらない一日

TS要素のないSS
小学生レベルのやり取りをする男女の話です
「死ね」とか気軽に言ってしまう罵声が主なので、そういうのが嫌いな方はご注意ください



 ソリの合わない相手というのは、確実に存在する。
 そういった奴とは関わらないでいることが一番だが、家が隣同士で、学校も一緒で、しかもクラスまで変わらずの十周年とくれば、どうしたって無関係を貫き通せるはずがない。
 本来は穏やかな性格だと自称するこの男、桂木武は、彼女とひとたびすれ違えば、まるで使命感に駆られるかのごとく悪態をついていた。
「おい、赤点大王イカ。暗い顔がいつもよりずっと暗いじゃんか。帰りは樹海直行コースか?」
「うっさい凡夫不当のバカ。補習のプリントぐらい黙って片付けろ。それとも何、喋ってなきゃ死ぬの? ウサギ気取りかキモッ」
「はぁ? 俺がいつ寂しがったよ。いやなら反応すんなそして死ねっ」
「お前が死ね。死人に口無しってことわざ身をもって証明しろ」
 矢継ぎ早に繰り出される言葉の応酬が、二人の間に殺伐とした空気を作っていく。

 もっとも、この物騒なやり取りはお互いに本気の言葉だが、本心でないことは顔を見ていればわかる。
 青筋を立てているものの、笑顔で相手を罵倒しあうといった関係は、ある意味気心の知れた仲だともいえるのだ。
 しかも、こういった会話は二人の日常なのだから、学園内では一種の名物と化している。
 補習に来ている他の生徒はもちろん、監督の教師までもが、いつものことかと生暖かい目で見守っていた。
「お前ら、仲がいいのは結構だがもう少し静かにしてくれ」
「ちょっとセンセ、それは誰のことですか? 眼鏡変えた方がいいんじゃないですかね? 百均で売ってますよ」
「すいませーん先生。こいつってば桁外れに常識無くて。学園の面汚しですよねー、さっさと退学にしちゃいましょう。他の生徒の学力レベル疑われちゃいますよー?」
「自分のことがよくわかってんじゃないか。退学届けの書き方はわかるか? それ持っていますぐ理事長室行けっ」
「なんで私だよ。お前に決まってるだろ。あ、自己評価もちゃんとできないほどの落ちぶれだったか、ごめん」
「だからそれはお前だよ」
 仲裁すら口ゲンカの燃料にし、空しいこと極まりない舌戦を繰り広げる。
 教師は大きくため息をつくと、間を置かずに響いたチャイムの音と共に、プリントの回収を命じた。
「いや、ちょ、俺まだ終わってないんスけど!」
「私も終わってない……お前のせいだ」
「責任転嫁ご苦労様。死ね」
「お前が死ね」
 本心ではない本気の言葉を交わしながら、今日も、二人のくだらない一日は過ぎていくのだった。

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Author:巫

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