TSアパート10

それぞれの事情からTS中なアパートの住人との短編です
ハイテンション注意・TS成分ほぼなし

TSアパート・202号室 その4


「か、管理人先輩っ。これ、受け取ってください!」
 買い物から帰ってきた俺を、自称未来からの殺し屋が黒髪・みつあみ・メガネ・セーラー服の四点セットを纏って手紙を差し出してきた。

 とりあえず、俺の名前は管理人じゃないって突っ込むか? ……面倒だ。
「だめ、ですか? オレの手紙なんかクソ食らえですかコノヤロウ」
「……その古風な文学少女っぽい格好で中途半端にいつもの口調を出してくれなきゃ、受け取るぐらいしてやるが」
「よし受け取れ。そして読め! いますぐにだ!」
「完全にいつもの口調に戻せって意味じゃねぇよ!」
 それにしてもおかしい。この殺し屋ドルフィーが俺に絡んでくる場合、たいていコイツのご主人様がセットになっているんだが。
「……」
 見回しても誰もいない。いないったらいない。
 『伝説の木』という注釈が添えられた大木のポスターを自信満々に掲げる202号室の住人の姿なんて、断じて見ていない。
「頑張れー、タ・ア・ミィ! タ・ア・ミィ! タ・ア・ミィーッ!」
 幻聴まで聞こえる。今日はさっさと帰って寝たほうがよさそうだ。
「はぁ……今日はなんだよ」
 美少女ドールのターミネーターから手紙を奪い取り、封を破る。
 そこに書かれていたのは……。

【――――
 時は宇宙世紀。地球の平和を守るため、凄腕パイロットの俺(ターミネーター)は日々宇宙怪獣との激戦を繰り広げていた。
 俺の戦友は宇宙怪獣との戦闘でダメージを追い、行方不明になってしまった。
 たぶん、もう生きてはいないだろう
「おいおい、勝手に殺すなよ」
「か、管理人!?」
 懐かしい声に顔を上げると、なんと俺の戦友、管理人が無事な姿で俺の後ろに立っていた。
「ど、どうして……」
「へへ、コイツのおかげさ」
 管理人は笑いながら、懐にしまってあった紙切れを取り出した。
「何だ、それ?」
「アパートの家賃引き下げ契約書……これに捺印をしたおかげで、俺は生き延びることが出来たのさ!」
「そうだったのか!家賃を値下げしたから、お前は、生きていたんだな!イエーーーーー!今日はパーティだ!」
――――】

「……なんだ、この、頭の痛くなりそうな文書は」
 っていうかマジで痛い。いろんな意味でイタイ。
「今日は、小説だからなっ!」
「意味がわからん」
「僕が説明しよう! 今日は二十四節気の一つ『小雪』ということで、健気さを引き立てるためターミィは『小説』を書いたのさ! ああ、知的だよターミィ!」
 木が喋るな。
「つーか、お前ら」
「うん? 家賃値下げしたくなったか?」
「なるか。今年の小雪は、明日だぞ?」
「な……」
「ナンダッテーーーーーーーッ!?」
「二十四節気は日付固定じゃないんだよ。覚えとけアホ共」
 頭痛の引き起こす紙をくしゃくしゃに丸め、俺は黒髪ヅラがずり落ちた殺し屋の脇を通り、自分の部屋に戻った。

「ち……く、しょおおおおおおおっ!」
「ま、マスター! またしても失敗してしまったのか!?」
「ああ、そうだよ! こうなったら、もう手段は選ばないさ。ターミィ! どんな手段を使ってもいいから管理人を『とりこ』にするんだ!」
「おおっ! ついに管理人を『虜』にするのだな! 了解した! 管理人捕虜プランを、マスターと共に形成する!」
「ああ、愛の奴隷にしてやれぇっ!」
 202号室の殺し屋とその主は、冬が近づいても暑苦しい。


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Author:巫

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・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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