ネコス32

TSした店主の喫茶店で巻き起こる人間関係をゆるゆる描く短編SSです
基本的に後先考えず気の向くまま適当に進行しています

ネコス32

 みなさまこんにちは。
 あなたの変身願望が叶う喫茶店「ネコス」の美人マスターです。年中無休です。
 お久しぶりなような気がしないでもないわけじゃないこともないのですが、「ネコス」は365日ずっと営業していましたので久しぶりも何もないはずです。

「相変わらず独り言がうるさいな、野良猫」
 カランと来客鈴が鳴り、再来店の一言目から暴言が飛んできやがりました。
 声はロリ系だというのに、そこに無理やりドスを利かせているので世にも奇妙な迫力がそこはかとなくにじみ出ています。
 悪漢がロリ娘にTSしたらこんな感じの口調なのではないでしょうか。そう考えると暴言の一つや二つ、むしろご褒美です。
「というわけでオウカちゃん、りぴーとあふたーみー『くく、ガキの癖にいいカラダしてやがる』」
「……シャミセンにするぞ野良猫」
 人殺しの目です。金髪ツインテのロリメイドが人殺しの目で私を睨んできます。
 何が気に入らないのかさっぱり不明なのですが、とりあえず彼女の気を鎮めるため、ひざまずいて命乞いして小僧から石を取り戻しました。
「いるか、こんなん」
 速攻で石が捨てられてしまいました。でもまぁ、機嫌は直ったようなのでよしとします。
「それにしても、お久しぶりですねぇ。いつ戻ってきたんです?」
 カウンター席にちょこんと座る金髪幼女にニコニコと愛想よくお話します。
 この子は、お向かいに建つカフェ「オレンジ」の従業員です。少し前に、オレンジのマスター、セキナさんと婚前旅行に行ってしまい、音沙汰がありませんでした。
「一ヶ月ぐらい前だな」
「そんな前に戻ってきたのに連絡の一つもよこさなかったんですか!?」
「何か問題か?」
 と、相変わらず凶悪な眼光で私を睨みつけてくれます。
 私、この子に友人宣言されたはずなんですけどねー。全然、態度が軟化していないじゃないですかー。
「ああ、どうも。お邪魔します」
 再び来客鈴が鳴り、姿を現したのはやけに低姿勢の赤毛男でした。
 「オレンジ」のマスターにして、オウカちゃんの婚約者、セキナさんです。
「お久しぶりですねー」
「ええ、どうも、本当に。ご挨拶が送れて申し訳ありません」
「セキナ、こんな野良猫に頭を下げる必要はありません。こちらにはこちらの事情があったのですから」
 事情、ですかー。
 まぁ聞きませんけど。私、人の事情に踏み込まない、寛容な美人マスターですから!
「それに、お土産があるでしょう? ピロシキの一つぐらい差し入れしてやれば、野良猫なんてあっさり追従するに決まってます」
「私、めちゃくちゃ安いですね!?」
 せめて紙袋いっぱいよこしやがれです。
「ピロシキよりもマトリョーシカが良かったか? 延々と独りで遊んでいろ」
「マトリョーシカでどう遊べというんですか! あと、さりげなく私のトラウマワードをぶつけて来るんじゃないです」
 私は独りという言葉が大嫌いなのです。
「というか、お二人は海外にいってらしたんですか?」
「ええ。ちょっと北に」
「……寒かった」
 そりゃあそうでしょうねぇ。
 私なら国内だろうとも絶対に北になんか行きません。コタツで丸くなってやりますです。
 しかし、なぜわざわざ北上したんでしょう。しかも、こんな時期に。マゾでしょうか。
「北になら、私達の身体を元に戻せる秘薬や魔術があるかと思いまして」
「北陸パネェですね!」
 なんでしょう。なぜこの赤毛男はニコニコしたままそんな夢を語るのでしょう。
 まぁかくいう私のTSブレンドに使う豆も、たしか怪しげな外国人から仕入れたものでしたけど。外国すげぇです。
「残念ながら、今回は収穫なしでしたよ。ははっ」
「ですよねー」
「『幽体離脱ロシアンティー』とか『肉体スライム化ボルシチ』とか、私達には無用のものですし」
「いますぐその旅行ルートを教えてください!」
 全力で土下座します。というか、なぜそれをお土産にしてくれなかったんですかこのやろう。
「セキナ……私は、私達の体質を無理に戻す必要はないかと思います」
「黄花。でも、やっぱり衝撃があるたびに入れ替わっては……」
「慣れればいいだけの話です。男としても女としても。それに、私は「私」を抱くのは、嫌いではありません」
「あ、ああ……それは、私もだ。「私」に私が抱かれるのは……なんというか、安心する」
「ってぇ! エロトーク禁止ーーーーーーーーーーーーーーーーーーです!!!!」
 この二人は急に何を話しやがっているんでしょう。
 真昼間から抱くって、抱かれるって! 婚前旅行の間、二人に何があったんですか!? わたし、美人マスターですけど聞いちゃいますよ? 根掘り葉掘り聞いちゃいますからね!
「エロトーク? 何を言っているんだこの駄猫」
「入れ替わったとき、普通に抱きしめているだけですよ? 黄花の身体で「私」に後ろから抱かれると、安心するんです」
「私もです。セキナの身体で「私」を抱くのは……なんというか、私はこんなに小さかったのかと、改めて思い知らされます」
 え、抱くって……普通にハグってことですか? ぎゅーって意味ですか? プラトニックですかイチャコラですか?
「…………どんな想像をした? このエロ猫」
「にゃーーーーーーーーーーーー!?」

 今日も「ネコス」には、美人マスターの元気な声が響きます。
 ……くすん。私もそろそろ恋人が欲しいです。*ただし女性に限る





ネコスシリーズ再開
だらだら行きまっしょい
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Author:巫

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・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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