ネコス33

TSした店主の喫茶店で巻き起こる人間関係をゆるゆる描く短編SSです
基本的に後先考えず気の向くまま適当に進行しています

ネコス33

「み、みなさまこんにちは。ネコスの……び、美少女うえいとれす、アオです。暦の上ではもう春が来ています」
 みなさまこんにちは。あなたの変身願望を叶える「ネコス」の美人マスターです。立春が過ぎましたがまだまださみーです。
 「暦の上ではもう春だぜーw」とかドヤ顔でいう木っ端はいますぐ春らしい格好しやがれ思うます。そして風邪引くがいいです。


「ひぃっ」
 私の発言に、なぜかバイト美少女のアオちゃんは身を縮ませます。思い当たる節でもあるのでしょうか。
「兄さん。あまり私の彼女をいじめないでください」
「いじめてるつもりはないのですがー」
 カウンター席から冷たい目で睨みつけるのは私の妹にして空気の読めない子、青葉ちゃんです。
 華麗に美人マスターへと変身したこの私を、いまだに兄さんと呼ぶのはどういう了見なのでしょう。百合娘の癖におねーちゃんとは濃厚なレズエッチができないとか言いやがりますし。
 本当、いくつになっても空気の読めない妹です。
「あの、青葉さん。僕は……」
「私の彼女、ですよね? 青田君……いいえ美少女ウエイトレスのアオちゃん?」
「ひゃんっ!?」
 妹は悪い顔をしてさきほどのアオちゃんの自己紹介を朗読しやがりました。羞恥プレイ以外の何物でもありません。
 まあ、というか、なんでアオちゃんは急に自己紹介を見えない誰かにしたのでしょう。はたから見るとあぶない人です。
 アオちゃんは、青葉ちゃんの同級生です。ネコスで働いている間だけ、私のブレンド効果により美少女ウエイトレス「アオちゃん」として働いている少年なのですが、どうも私に心酔してしまっているらしいのです。
 ここで働く理由が、「私のようになりたい」とか言うぐらいですから、間違いなく心酔しています。そのわりには青葉ちゃんの彼氏気取りで私にちっともなびいてくれない気がしますが、とにかく青田君は私の美しさに心酔しているのです。
「どうしよう……お兄さんの真似しようとするたびに僕、女の子になっていってる気がする」
「そんなことありませんよ。あなたは兄さんに近づいています。だから、ね? もう二度と男に戻らないって約束――」
「本末転倒だよね? お兄さんっぽくなって、キミに振り向いてもらおうとしているんだよね、僕!」
「打算でしか人と付き合えないのですね。悲しい人ですね。死んでください」
「言いすぎじゃない!?」
「美少女ウエイトレスなのに騒ぎすぎですね。そんな悪い口はふさいでしまいましょう」
「ンン――――――――ッ!?」
「んなぁ!?」
 なんだか青葉ちゃんがふたりでこそこそ話していたと思ったら、急にアオちゃんの唇に飛びつきやがりました!
 イミフです! 他のお客さんもいるんですよ? なんで私がそこに混ざっていないんですか!?
「ンッ、んぁ、んんん~~~~ッ」
 アオちゃんは青葉ちゃんに唇をふさがれたまま、じたばたしています。
 しかし青葉ちゃんはそんなことまったく気にした様子もなく、さらに強く唇を押し付けているみたいでした。
「んふふ……ちゅ……ちゅぱっ、じゅるじゅる」
 ってぇ! 舌!? 舌入れてやがりますあのエロ妹!
 白昼堂々お店の従業員の唇を奪ったかと思ったら、ディープキスまで始めやがああああああっ、手! 右手! 右手がウエイトレス衣装を押し上げるアオちゃんの平均サイズの胸にぃ!?
「真昼間から何している、百合」
「あうっ」
 ガッ! と青葉ちゃんの頭に男の拳が着陸しました。
 衣装を乱し、顔を上気させるエロいアオちゃんから泣く泣く視線を逸らしますと、目つきの鋭い赤毛の男が拳骨を作って青葉ちゃんを睨んでいました。
「セキナさん……ではなく、オウカちゃんですね」
 セキナさんはこんな凶悪そうな顔しません。おそらく、またお互いに頭突きでもして身体を入れ替えたのでしょう。
「野良猫、この百合は発情期かなにかか? 縛って地下に閉じ込めておけ」
「SMプレイですかー。興味はあるんですけどねー」
 でも残念ながらウチに地下室はありません。
 それに、女の子をムチで叩いて何が嬉しいのでしょう。女の子は優しくそして淫靡に抱くべきだと思います。
「はぅ、はぅ、あおばさぁん……」
「幸せそうなトロ顔ですねぇ、絶頂を迎えたみたいですよー」
「……この店には風紀管理者がいないのか。ああ、野良猫の店などどうでもいい。こっちの用事の方が大事だ」
 なぜか疲れたような顔をして、見た目セキナさんのオウカちゃんが私に向き直ります。
「野良猫、セキナを見なかったか。……あのバカ、私の身体で猫を追いかけたまま帰ってこないんだ」
 幼稚園児でしょうか、あの店主。
 いくら猫まっしぐらとはいえ、限度があるでしょう。
「……まぁ、そのうち帰ってきますよー」
「……だといいがな」
 そういえばセキナさんは方向音痴という話を聞いた覚えがあります。無事に帰ってこれるでしょうか。
 ですが、いまは私にとって目の前の二人の方が大問題なのです。
「きゅー……」
 オウカちゃんの男パワーで殴られ、気絶してしまった百合娘と。
「あ……ん……あおばさぁん……」
 いまだに絶頂の余韻に浸っているような顔で別世界に旅立った美少女ウエイトレス。
 若さゆえ欲望に流されがちの学生カップルに、私は嘆息します。
「風紀委員長キャラ、ですかー」
 真面目で、エロくなくて、突っ込みもできる美少女ウエイトレス。
 そんな人、私の周りにはいないような気がして。
 なんだかとても悲しくなりました。

「あ、そうだ。オウカちゃん。たまにでいいですからウチで働く気は」
「アア?」
「ないですねそうですねごめんなさい」
 今日も「ネコス」は、マスターの立ち居地が微妙です。


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