ネコス6

今回は憑依ネタです。相変わらず軽い軽い


ネコス ~猫と妹編

 みなさまこんにちは。
 変身願望を叶える喫茶店「ネコス」のマスターです。美しさが罪に問われない世の中に感謝する毎日です。
「兄さん、誰と話しているんです?」
「お、おじゃまします……」
 突っ込んではいけない領域に土足で踏み入る声と、おどおどした調子の男の子の声。
 振り向くまでもなく、店に入ってきたのは最近ここに入り浸っているカップル……というか、私の妹とその彼氏でした。
「兄さん、昔より独り言が増えていません?」
「んーお姉ちゃん、なんのことかわかんないなー?」
 踏み込むなというのに、相変わらず空気の読めない妹です。


「……ふぅん。ま、いいや。兄さん、いつもの」
 妹は勝手知ったるごとくカウンターに座り、常連気取りの台詞を言いました。
 いつもの、とはもちろんこの子の彼氏を女の子にするブレンドです。
 男嫌いの妹はブレンドを飲み女の子になった彼に心を許し、やがて付き合いようになったのですが……。
 一応、彼のほうはTS好きでも百合好きでもない、いわゆる一般人のためでしょうか。
 女の子になっても妹と付き合っていても、どこか虚しいようです。
「青葉さん……その、ボク、たまには男として君とデートしたいんだけど」
「ブレンドまだですか、兄さん」
「……」
 TS&百合好きの私でも、さすがに彼が不憫に思われます。
 男の子は女の子をリードしたいという気持ちが少なからずあるものですからねー。
 そんなことを考えているうちに私の特製ブレンドが淹れ終わりました。
 さて、これを……。
「にゃー」
「わっ、き、黄吉?」
 なんのつもりか、いつもなら夜中に裏口へやってくるはずの猫さんが、店の中に進入してきました。
 お客さんがこの二人だけとはいえ、店に野良猫は許されません。悲しいけど、ここって喫茶店なのよね。
「ひゃっ、ね、猫!? いやーーーーーっ!」
「うわっ、あ、青葉さん!?」
 そういえば、妹は猫が嫌いでした。あんなに可愛い生き物なのに、なぜ恐れるのでしょう。理解できません。
「猫、猫いやーーーー!」
 取り乱した妹は彼氏を盾にし、私のそば……カウンターに身を隠します。
 それだけではなく、妹はたったいま淹れたばかりのコーヒーを手に取り……。
「ちょ、ちょっと青葉ちゃん! 何する気ですか!」
「猫は滅べーーーーーーーっ!」
 などと物騒なことを叫び、熱々のブレンドの入ったカップを投げつけました。
 カップの着地点には、黄吉がいます。
 事の成り行きをただ唖然として見守っていた私や少年が、とっさに盾になれるはずもなく……。
 自主規制せざるを得ない、ひどい事態になってしまいました。
「き、黄吉…………」
 いくら猫嫌いだからって、これは許されません。
 罰として妹には、男になったうえで一生絶頂を味わえない体にしましょう。
 死んだほうがましってぐらい調教してやります。ふんっ。
「青葉ちゃん……覚悟はいいですね?」
「ちょw おまっwwww (((゚Д゚)))ガタガタ 」
 私が凄みを利かせて羅刹のごとき顔で振り向くと、妹はこの場にもっともふさわしくない言語でブルブルしていました。
 可愛そうに、頭から生えた猫耳はうなだれ、尻尾もしょんぼりしています。………………んん?
「あ、青葉さん?」
「青葉…………? おkおk、把握」
 青葉はしげしげと自分の体を見下ろし、自分の胸を揉むと何かを納得しました。
 その喋り方は、先日私のブレンドを飲んで擬人化した黄吉のものとそっくりでした。
 これは、あれですか。黄吉の魂が妹の中に入ったとか、そういうパターンですか憑依ですか!?
「よし、そこのショタ。せっかくだから や ら な い か 」
「え? え?」
 妹(黄吉)は彼氏を見つめると、鋭く伸びた爪で自分の服を縦一線に引き裂きました。
 見かけより豊満な胸があらわになり、少年を誘惑しています。
「話は聞いてた。男として、この女とヤりたかったんだろ?」
「あ、あの……」
「漏れも人間の女の体がどうなってるか興味あるし。な? いいだろ」
 いいながら少年の腕をとり、妹(黄吉)は胸に押し付けます。
 というか、今の状況をすんなり受け入れているとか、どんだけご都合主義ですか。とは、いいません。
 なぜなら私は、憑依体験を目の当たりにして感動している美人マスターですから! 細かいことは気にしません!
「ってなわけで、しばらくこの体と少年を借りるぜー」
 そういって、妹(黄吉)は彼氏と連れ立ってお店を出て行きました。
 フロアには、私と、床で砕け散ったカップと、その傍で自主規制のトーンが貼られた黄吉(本体)が、ぽつんと取り残されてしまいました。
「……とりあえず、後でコーヒー代とカップの弁償をしましょう」
 コーヒーのこぼれた床にモップをかけながら、私は独りそう呟くのでした。

 後日、妹は元に戻り、黄吉の方も何事もなかったかのようにいつも通りにゃーにゃー鳴いています。
 なにやら少年だけがやたら衰弱していましたが……まぁ、聞かないでおきましょう。

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Author:巫

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