ネコス36

TSした店主の喫茶店で巻き起こる人間関係をゆるゆる描く短編SSです
基本的に後先考えず気の向くまま適当に進行しています

ネコス36

 みなさまおはようございます。喫茶「ネコス」の美人マスターです。
 日曜日じゃなくとも市場に出かけます。糸と麻には何の用事もありません。

「これと……あーあと、そろそろ砂糖がなくなりそうでしたねー」
「へい、まいど」
 私の前には馴染みの業者さんがいます。食品などの発注は電話で済ませるべきだとも思うのですが、やはり自分の目で直接見てこそ、いい料理が作れると考えます。
「ではでは、いつものように配達お願いしますです」
「ありあっしゃー」
 威勢のよい対応をしてくれる業者さんと別れ、私は市場の裏路地を進みます。
 市場に出かけるのは、自分の目で商品確認する以上に、この裏路地にも用事があるからなのです。
「さて、今日はどんな姿なんでしょうねー」
 ネコスの目玉は、なんと言ってもTSブレンドです。
 二種類あわせることにより性転換を可能にする特殊なコーヒー豆は、ここにいる人物から直接買うしかないのです。
 薄暗くて狭い路地を進んでいくと、オレンジ色の街灯の下に、ビニールシートを広げた幼女が独りで座っていました。
 こんな場所に幼女が独りというのは、違和感ありまくりです。ほぼ間違いなく、私の探していた人物でしょう。
「今日は幼女ですか、アイさん」
「ふぇぇ……し、知らない人が話しかけてきたよぅ」
 幼女は大きな目をうるうるさせて私を見上げます。ずいぶんと可愛い子に化けたものですが、残念ながら中身を知っている私にはそうしたリアクションに対する効果は薄いです。
「中年男性が『ふぇぇ』とかいうのはどうかと思いますよー?」
「……ヒヒ、ノリの悪いブラザーだ」
 幼女は急に口調を乱暴にさせて、フリルのついたスカートのポケットからタバコを取り出しました。
「それで? 今日は何の用だ」
「まずその姿をやめてください。幼女の格好でタバコすうんじゃねーです」
「やぁん。お兄ちゃんこわーい」
 ……寒気がしました。中年男性の口調じゃねーです。
「ったく……めんどくせぇ」
 幼女はぶつくさと文句を言いながら、両手の頭の後ろに回します。
 ジィ……とファスナーの動く音がしたと思ったら、幼女の瞳から生気が失われ、皮膚にシワが現れました。
 そして、さながら脱皮するように、幼女の頭から、別人の頭が出てきます。
 アゴに無精ひげを生やした、鼻の高い、青い目をした中年男性でした。
 身体はまだ幼女なのに、顔だけ外国人男性という光景は、何度見てもゾクゾクします。
 そんな感想を抱く間にも、外人はみるみる幼女の皮から脱皮し、どう考えてもさっきの小さなサイズには収まりつかない巨躯が完全に姿を現します。
「フゥ、これでいいか? ブラザー」
「ええ、まぁ」
 外人の足元には、先ほどの幼女の身体が布のように地面に落ちています。
 これがもし、実在の少女を着ぐるみにしているのだとしたら、私は正義の者としてこの外人と激しい闘争を繰り広げていたことでしょう。
 女の子の身体をオモチャのように使うその趣味趣向は、私の掲げるTS道とだいぶ異なるのです。
「HAHAHA。心配性だなブラザー。確かにこの『皮』は実在の人物だが……あくまでも、モデルだ。容姿以外は、全てオレのハンドメイドだぜ?」
「ええ、信じていますとも。アイさん。ところで、この物理法則を無視した皮の作り方は」
「ヒヒヒ……ブラザーの周りにいる女ドモの皮を作ってもいいなら、教えてやらなくもないぜ?」
「あははー。何度もいっている通り私の周りにいる女の子達は、コピーであろうとその姿になることはこの美人マスターが許しません」
「ヒヒ……じゃあ、今回も交渉は決裂、だな」
「残念ですけどねー」
 正直、この外人のカワモノ技術は滅茶苦茶欲しいです。でも、代わりにこの男が私の周りにいる女の子達……青葉ちゃんやアオちゃんやユカリちゃんやオウカちゃんの姿になることを許してしまっては、ハーレム王の名折れです。こう見えて私、独占欲の強い美人マスターですから!
「とりあえず、いつものコーヒー豆を売ってください。あと他にTS効果のある材料は取り扱っていませんか?」
「幽体離脱薬(猛毒)」
「あーそういう不可逆系はちょっと」
「ケッ、帰れ帰れ」
「手のひら返すの早いですねぇ」
 というわけで、いつものようにコーヒー豆を購入しました。
「次の入荷は、いつ頃になりますか?」
「さぁな? ま、見かけたら声を掛けてくれ」
「いつもいつも別人じゃないですかー」
「ヒヒヒ……言っているだろ? オレは誰でもあって誰でもない。だから『I』と名乗っているのさブラザー……」
 タバコをふかしながら、外人は藍色のビニールシートに幼女の皮を包みます。まぁ、ぶっちゃけこの男が商売しているときは大抵このビニールシートが広げられているので、目印にはなっているのですが。
「ヒヒヒヒヒ」
 それにしてもこの男、素性が知れません。はっきり言って、私が正体を知っているのも偶然です。

 いつも女の皮を着て露店を並べるこの謎外人が、私が本音で話す唯一の商売相手だという事実に。
 なんだかショックを受けつつ、私は路地裏を後にしました。
「おいブラザー。今度、お前の男だったときの皮を着て来店してやろうか? ヒヒ、妹ちゃんどんな反応するだろうなぁ?」
「ぶち殺しますよヒューマン」
 少なくとも。
 商売相手でなかったら、この外人は間違いなく敵だったと思います。





またテコ入れですか? テコ入れです
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Author:巫

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