ある日の俺と彼女  六月某日

自分の彼氏を記念日に因んでTSさせる彼女
そんなバカップルのゆるいSSシリーズです
TS的萌えは皆無です
一応、今回で締めとします

ある日の俺と彼女 六月某日

「六月は記念日がないのよねー」
 じめじめし始めたこの季節に、マイ彼女は俺の部屋でごろごろしながらそんなことを愚痴る。
「正確に言うと、祝日がないんだけどな」
 記念日なんてものは実際、調べてみれば365日毎日何かしらある。特に日本じゃ、語呂合わせとかで記念日作るし。
「アパートの人たちはみんな楽しそうなのに……」
「楽しそう……か?」
 侵略計画がどうのこうのと騒ぐ幼女とか。
 家賃値下げをワケのわからない方法で成し遂げようとする二人組みとか。
 常識を振りかざす自称一般人とか。
 はっきりいって、一緒にいて楽しいというよりも、疲れが先に出てきてしまいそうなメンバーだった。
「つーまーんーなーいー。父の日で乳の日とか安直だし、今月はずっとつーまーんーなーいー」
 ひそかに俺の恐れていた記念日の一つに駄目だしをする彼女。少し、ほっとする。、
「転がって気が済むなら、思う存分転がっててくれ」
 俺はいま、調べ物で忙しいし。
「くすん。彼氏が冷たい…………で、何調べているの?」
「秘密」
「うっわそれ痴話喧嘩フラグだよ? あなたの頭でサプライズなんて計画しても、どうせすれ違いの材料にしか役に立たないよー」
「さりげなく俺をこき下ろすよな、お前」
「そんなあなたを愛しているわ、ダーリン」
「フォローしているつもりか、ソレは」
「いーから教えなさい。調べ物の似合う女の子にするよ?」
「どーゆー脅し文句だ」
「脅し? ふふ……いいでしょう。そんなに女体化したいのならさせてあげましょう」
「彼女が異文化過ぎる……お?」
 ふいに、首の後ろがざわざわする。
「まずはおさげよね。長いおさげ」
「髪が伸びている……」
「はい、リボン。あと、それからこの眼鏡もかけて」
 なんか視界がぼやけ始めたと思ったら、視力まで低下させやがったか。
「ったく…………む」
「ふふふ、どう? おさげを結ぶときヒジに当たる、おっぱいの感触は?」
「胸がきつい」
「サイズが合わないブラをしているからね。おおきい胸を恥ずかしがり、わざときつめに締め付ける文学少女……萌えだわ」
「そうか……下着まで」
 本当に、ナチュラルに人の全てを女にしてきやがる。つうか、声までが、もう高音を出していた。
 コレでほとんど、上半身は女に代わったと判断して良さそうだ。
「さあ、次はお待ちかね、下半身の女体化よ!」
「ヘイ、マイ彼女。目的と手段が入れ替わってることに気づけ」
「入れ替わり!? 変身よりも入れ替わりが好みなの?」
「届け俺の心」
「つまり憑依ということね!」
「……」
 どうしよう、この彼女。
 自称宇宙人よりも、自称未来人よりも、自称一般人よりも、誰よりも厄介な俺の恋人に、途方もない疲労感を覚える。
 ……だが、それでも。
「あー……これだよ」
「ん?」
 俺は、彼女といることが何よりも楽しい。
「…………し、式場パンプレット?」
 真っ赤になって、上目遣いに俺を見る彼女が。
「六月には、記念日がある」
「じゅ、ジューンブライト……?」
 潤んだ瞳と、笑顔を作る口元を湛える婚約者が。
「まぁな。……それで、いつにする?」
「~~~~~~~ッッ!」
 パンフレットを投げ捨て、飛びついてくるこの子のことが、俺は。
「大好き!!」
 ……先に言われてしまった。

***

 六月某日

「で、何で俺が花嫁衣裳を着るんだ!?」
「怒んないでよぉ。私だって、ウエディングドレス着たかったんだよ? ……でも、やっぱり私はTSが好きだし!」
 大好きって言ったときよりもいい笑顔で!?
「お色直しのときに入れ替わればいいだろ……せめて、最初ぐらい男のままで登場させてくれ」
「う~ん……そっかぁ。残念」
 さして残念そうでもない口振りで彼女が指を鳴らすと、俺と彼女の性別が元に戻る。

「く、屈辱だ……なぜ我が下僕の真似事を……」
「ワシも同じじゃ。誇り高き鬼が、スカートの裾を持つだけの役目を負うなど……」
「マノちゃん、文句言うな」
「子供なら花嫁の裾持ちをするだろう。常識的に考えて」

「というか、なんで俺らまで控え室にいるんだろうな? 普通親族じゃね? なぁ、俺」
「入っていいだけの事情があるんだろ、俺」

「こぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~っ」
「ターミィ、気合が入っているね!」
「当たり前だ。何せ今日は、『血痕式』なのだろう? 戦闘準備をしておくにこしたことはない」
「イエイ! 隙がないねターミィ!」

「ふふっ、僕らの結婚式はいつにしようか?」
「私はハーレム王になるので、結婚とかいりませんです。この国じゃ重婚不可ですし」

「……ははっ」
 これまで出会ってきた様々な、付き合っているととっても疲れる面々に苦笑を漏らす。
 彼らもきっと、付き合ってて疲れることがたくさんあるんだろう。正直、面倒だと思ったこともあるはずだ。
 俺は、それでいいとおもう。
 疲れても、それでも楽しいのなら、それは理想系だ。
「さ、行こう? ダーリン」
 純白のウエディングドレスに身を包んだ彼女が、手を伸ばす。
 俺はその手を握り締め、自分の方に引き寄せた。
「きゃっ」
 彼女を『お姫様だっこ』で抱きかかえ、歩く。
 まだバージンロードも歩いていない花嫁のベールを開き、俺は耳元で囁いた。

「愛してるぜ、ハニー」
「……うんっ!」

 俺たちは毎日騒がしく。
 だから、毎日がとても楽しい。



Fin



末永く爆発しろ

というわけでバカップルのメイン話はこれにて終わりです
お付き合いありがとうございました


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No title

末永く幸せに爆発しろ

Re: No title

きっとこの二人は、病める時も健やかなる時も爆発し続けるでしょう
コメントありがとうございました
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巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

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・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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