ネコス50

TSした店主の喫茶店で巻き起こる人間関係をゆるゆる描く短編SSです
基本的に後先考えず気の向くまま適当に進行しています

ネコス50

 みなさまこんにちは。
 変身喫茶店「ネコス」の美人マスターです。
 美しすぎるマスターは三つ首の犬コロに参加しません。ナンノコッ茶です。銘茶です。

 そんなことより除湿機が欲しいです、毎日毎日じめじめじめじめ鬱陶しいことこの上ありません。
 町内全域に除湿機設置運動を働きかけてはいかがでしょう。需要はあるはずです。
「バカがいる……」
「チチチ、バカではなく美人ですよ。美人マスターです、オウカちゃん」
「黙れ野良猫。私は急いで店に戻らないといけないんだ」
「奇遇ですね、私も同じくです」
 私たちがいまどこにいるのかというと、なんとお店ではなく近場のコンビニです。
 調味料がちょっと切れてしまったので、慌てて買出ししているのです。
 普通マスター自ら買出しになんていかないものですが、うちの従業員達はドジっ娘と豆腐メンタルなので気軽にお使いも任せられません。
 そんなわけでコンビニに来たのですが、ここでまさかの運命の出会いです。私と同じ理由で買出しに来ていたオウカちゃんとバッタリというわけです。
「まったく……なんで店の外でまでこんな野良猫の妄言に付き合わなきゃ……」
 オウカちゃんはイライラした調子でレジに並んでいます。私はその後ろです。
 店員さんが新人なのか、さっきから遅々として列が動きません。隣のレジをさっさと開放しろって気分です。
「私はオウカちゃんと会えて幸せですけどねー。おかげで待ち時間も有意義なものになりました」
「私はお前と出会った不幸を呪うよ」
「あははーツンデレさんめ」
「レジスターに押し込めるぞ野良猫。あの研修男と一緒に」
 何かめっちゃコワイこといっています。レジの中にはお札と硬貨しか入れてはいけません。
 ピーッ
「ああああ、あれ、ええ、えと」
 またエラーが出たのか、店員さんが困っています。もしかすると、いまのオウカちゃんの台詞が聞こえたのかもしれません。
 ふと、カウンターの上を見上げると、キャンペーン中というチラシが貼ってありました。一等はハワイ旅行みたいです。
「そういえばオウカちゃん。今年の夏は、どうするんですか? また海の家を開くんですか?」
 それならば、是非今年も合同で営業したいです。主に、オウカちゃん攻略とハーレムメンバー達の水着姿のために!
「今年はその予定はないな。海に行きたければ一人で行って流されて無人島に漂着しろ」
「私は孤独が大嫌いと知ってて言ってますよね、それ!」
 ともかく、残念ですが『オレンジ』での海の家営業は今年は無しみたいです。……「ネコス」で海の家を開くにしても、時間と懐に余裕がなさ過ぎるので実行不可能に思えます。
「はっ、こんなときこそ主人公パワーです!」
「離れて歩け。口を閉じれば尚良い」
「積極的に他人の振りしようとしないでくれませんか! そうじゃなくて、アレですよアレ!」
 私は、先ほど見たキャンペーン告知のチラシを指差します。
 どうやら三千円以上の買い物でくじが一回引けるシステムのようで、一等はハワイ旅行です。
 そして私は美人マスター。つまりネコスの主人公です。そんな私が、一等を引き当てられない道理がありません!
「というわけで、オウカちゃんの荷物も貸してください。これで三千円オーバーです!」
「なんだ立て替えてくれるのか? そのままおごってくれても私は一向に構わん」
「ええ、ええ、ハワイ旅行に一緒に行ってくれるなら、この程度の出費、安いものです!」
「……万が一、ハワイを引き当てたとしても、私とセキナは行かないぞ」
「なぜ! ホワイ!?」
「やかましい野良猫。今年の夏、「オレンジ」は山で出張営業するからに決まっているだろう」
「山ぁ!?」
 山で、カフェが出張営業? いったい何を言っているのでしょうこの金髪ロリは。
「いまいましいことだが、そのうちセキナから詳しい話がいくはずだ。八月は空けておけよ」
「…………それは、つまり」
 ネコスも、オレンジと協力して、その謎に満ち満ちた出張営業を手伝えということですか!
 山でいったい何するってんですか! みかんコンビは私の想像を超えています!
「あのー、お客様」
「なんですかモブキャラ研修生! 私は思索に励んでいるのです!」
「す、すすす、すみません!」
「そこで謝るな新人。クレーマーはバックヤードに閉じ込めろと教わらなかったのか?」
「ほぁっ!?」
「……おい、姉ちゃん達」
 今度はドスの聞いた声が後ろから聞こえてきました。
 寒気を感じて、バッと思いきり振り返ります。
「( ゚д゚ )」
 やくざがいました。グラサン&パンチパーマ&頬に十字傷です。間違いなく893です。
「時代錯誤の甚だしい格好だな、極道気取りかおっさん」
 オウカちゃんマジ強いです。ひるむことなくいつもの毒舌を飛ばしています。
「……」
 男はゆっくりと息を吸い、指先である方向を示します。
「お隣のレジへどうぞ」
 ドスの聞いた声でそういい、男は口元を歪めました。笑顔のつもりでしょうか。
 ……二度とこのコンビニには来たくねーと思いましたです。

 ちなみにくじは外れました。
 さらにいうと、そのままオウカちゃんに荷物もちをさせられた挙句、おごらされてしまいました。
 もっというと、ネコスに帰った途端『遅い』とユカリちゃんに怒られました。
「にゃー」
 ……こんなの絶対おかしいよ、です。





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