ネコス63 ~マスターの秘密編

TSした店主の喫茶店で巻き起こる人間関係をゆるゆる描く短編SSです
基本的に後先考えず気の向くまま適当に進行しています

なんだか原点回帰を目指したら変な風になりました…orz
しばらくお付き合いいただければ重畳です

ネコス63 マスターの秘密編1

 みなさまおはようございます。
 新年明けましての美人マスターです。……昨日までは、美人マスターでした。
「い、いま起こっていること、ありのまま語るです」
 現在、私のボディは美しすぎる女の体ではありません。
 野郎です。男です。股間になつかしのブツの感触を確かめました。気持ち悪すぎて吐き気を催します。
 なんで……なんで。
「なんで俺が、男になっているんだよ!?」
 むきゃー! 言葉遣いまで男のものになっています!?
 思考はいつもどおりの美人マスターなのになんで声に出すと男口調ですか! いじめですか! 男なのに女の身体で女口調になってしまうのならまだいいものの、逆パターンとか誰得ですか!
「落ち着け……って、自分の喉から出る男ボイスがうぜぇし!」
 ああ……女の子の、可愛い声に戻りたいです。私はもともと男だったわけですが、久々に骨伝道を介して聞く男の声はもはや災害です。非常に鬱陶しいです。
 そもそも、なんでこんなことになっているのでしょう。
 よく見たら、私の現在地も「ネコス」ではありません。普通の、平凡そうな男の部屋です。適度に散らかった部屋を見渡しながら、私はデジャビュを抱きます。
 朝起きたら男になってて、見覚えのある男の部屋にいた……。つくづく、性別逆パターンで行うべきイベントだと思うます。
 まずは記憶をおさらいしてみましょう。
 お正月なので今年も私はネコスの店員達とその関係者で初詣に行きました。
 そして毎年欠かさず「憑依したいです!」とカミサマにお祈りしています。叶ったことは一度もありません。
 で、みんなで騒いで飲み明かして…………目が覚めたら、この通りです。
 何を言っているのかわからないでしょうが私にもわかりません。
「う~ん……」
 とにかく、こういうときは私の信念に沿って物事を考えます。「朝起きたら~」なんて、TSの枕詞も同然です。
 つまり、もし私が朝起きて女になっていたとしたら、どういうリアクションを取るのか?
 当然、まずは鏡です。鏡に映るのが男であることが確定しているので気乗りはしませんが、とりあえず私のこの身体は「誰」なのか確かめる必要があると思います。
「この部屋には鏡が無いな……」
 それにしても、『あさおん現象』は姿見の普及率が半端ないです。全身を映せる鏡なんて、一般家庭の個人部屋に置いてある方が珍しいと思います。
 とりあえずこの部屋には鏡が無いので、部屋を出て洗面所を目指します。
 「俺」がいた部屋は二階だったようで、すぐ目の前に下に続く階段が見えました。
 向かい側にはドアもあります。いわゆるノビ家的な二階でした。
 ただノビ家と違って、向かいの部屋にも住人がいるっぽいです。ドアにはプレートが提げられていました。
「……見えない」
 この身体は目が悪いのか、部屋から出てすぐの位置からではプレートの文字は見えませんでした。
 別に向かい部屋の住人に特別興味も沸かず、私は階段を下りて一階を目指すことにしました。自分の正体もわからないまま他人と鉢合わせするなんて、悪手以外の何ものでもありません。
 そう思って、階段を降りかけた、そのとき。
 ────ガチャ、と音を経て、ドアノブが回りました。
「せ、選択肢カモン!」
 ここは急いで階段を下りるか、ここに留まるかの選択肢です!
 階段を駆け下りると、一階の住人との衝突が避けられません。それにいま部屋から出てくる人物にも不信感を与えてしまいます。
 では留まる? それも問題です。ここが一般家庭ならば、向かい部屋から出てくるのは兄妹である可能性が濃厚です。
 口調は男のものとは言え、思考は全て私自身のものです。さすがに見知らぬ男の演技を兄妹の前で貫き通せる自信など皆無です!
 あああ、どうしましょう!?
「ふあ……おはようございます、兄さん」
「タイムオーバー!?」
 悩んでいる間に時間切れです。クイックロードを要求します。
「お、おお、おはよ……う」
 声は、可愛い女の子のものでした。兄さんと呼ばれたので、きっと「俺」の妹ちゃんでしょう。
 妹なら私にもいますし、きっとこの局面は乗り切れるだろうと信じるしかありません。
 ギギギ、と錆付いたロボットという古めかしいリアクションで、私は部屋から出てきた相手を振り返ります。
「……今朝は随分と独り言が多いですね、兄さん」
「( ゚д゚ )」
「どうしましたか兄さん。そんな面白い顔して……。寝ぼけていますか?」
「あ、あ……青葉……ちゃん?」
 部屋から出てきたのは、私の妹の、青葉ちゃんでした。
 正確には、中学時代の青葉ちゃんです。高校のセーラー服ではなく、中学校の時に着ていたブレザーを装備しています。
 ショートの青葉ちゃんは、私の言葉に、顔を赤くして両手で頬を押さえました。
「や、やだ、兄さん……〝ちゃん〟だなんて、そんな、からかわないで下さい……」
「……」
 誰ですかこのしおらしい美少女。いまの毒舌辛らつ女子高生とは明らかに反応が違います。
 いや、それよりも!
「なんで、中学校のブレザーを着ているんだ? コスプレか?」
「兄さん……本当に寝ぼけていますか? 今日の講義は午後からですよね? もう少し寝た方がいいのでは?」
「講義……?」
 待って欲しいです。
 講義。見覚えのある部屋。男の体。
 そしてその男を〝兄さん〟と呼ぶ中学ブレザーの青葉ちゃん。
「あ、兄さんっ」
 青葉ちゃんの声を無視して、私は階段を駆け下ります。
 不思議なことに、ある記憶に従ったら、迷うことなく洗面所にたどり着きました。
「まーじーかー?」
 おそるおそる、洗面台に取り付けられた鏡を覗き込みます。
 そこには、私の予想通り、男が映っていました。
 ただ、私の予想と違った点もあります。
「……俺、だ」
 鏡の中で、呆然と自分の顔を見つめる男は────
 女の体になる前の、美人マスターになる前の、私……「俺」でした。
「な……なんっじゃこりゃーーーーーーーーー!?」
 女の子の可憐な声で叫ぶべき台詞を、男の野太い声で絶叫します。

 どうやら私は、時をさかのぼり、TSする前の自分に憑依してしまったみたいです。
 確かに憑依したいとは言いましたが、こーゆーことじゃねぇんですよ!
 神様のバカぁーーーーーー!です




果たしてマスターはもう一度女になれるのか!?

誰得展開、しばらく続きます
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巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

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・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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