ネコス65

TSしていた喫茶店のマスターが
男だった頃の自分に憑依した誰得物語です

いろいろあってかなり間が空きました…

ネコス65 マスターの秘密編3

 みなさまこんにちは。
 覇王の愛人的展開で窮地から救われた美人マスターです。まるで少女漫画です。
「それにしても光栄だね。僕の名前を、君のような美しい人に知られているなんて」
 悪漢を謎のアクションで薙ぎ倒した男は、きらきらと歯を輝かせて、私に手を差し伸べます。
 ……昔っから、このウザさは変わらないんですね。どこかの殺し屋にその綺麗な顔を吹っ飛ばしてもらいたいものです。
「まぁしかしお礼だけ言っておきます。ありがとうございました」
 助けられたのだから、嫌いな相手でも感謝の気持ちを忘れません。私、道理をキチンとわきまえる美人マスターですから。
「なぁに。礼には及ばない……と、いいたいけど。キミのような美しい人と一期一会というのは、あまりにももったいないね」
「爽やかなイケメン気取るならすぐ退散するべきだと思うんですけどねー」
「うん。実際、僕は今までそうしてきた。しかし、キミほどの女性を助けたのはコレが初めてだ。絶世の美女といっても過言ではない」
「あーははははははっ!」
 無感情に笑ってやりました。
 本物の絶世の美女を知らない視野狭窄男には、呆れを通り越して憐れにも思えます。
「嘘やハッタリじゃない。僕は本当にそう思っているのさ。陳腐な言葉だが、キミに一目ぼれをした」
「あなたの台詞が陳腐じゃないときなんてありませんけどねー」
 言葉には余裕をたっぷり味付けして返してやりました。私がそんな台詞で動揺すると思ったら大間違いです。
「ふふっ、こんな言葉は言われ慣れているのかな。……付き合ってくれなどとは言わない。だがせめて、キミの名前を口にする権利を僕にくれないかな?」
「うっぜーですー……」
 あんたはどっかの騎士ですか。なんですかその言い回し。
 それに、私の本名はトップシークレットなのです。深い意味はありませんが、本名不明の美女ってワケアリっぽくってカッコイイですよね?
「おっと。これは失礼した。人に名を尋ねる前に、まず自分から名乗るのが礼儀だ」
「知っているからいらねーです」
 それに、名乗られたら名乗り返さなきゃいけないじゃないですかヤダー。
 実際、未来の赤井さんにはその手を使って私の名前を聞き出されてしまいました。
「うぐっ!?」
 ドクンッ、と心臓が跳ねました。急に来たです。
 身体中が発熱し、体内組織が変革を起こして暴れています。
 これは……。
「く、……わ、私は、これでおさらばです!」
「あ、待ってくれ愛しい人!」
 待ってくれといわれて待つ奴がいるなら見てみたいです。
 そんなことよりこの身体の症状。これはまさしく、身体が元に戻る前兆にほかなりません。
 私は慌てて赤井さんから離れ、物影に潜みます。
「ああ、もう、はっ、はっ、ぜん、ぜん、楽しめ、なかった……!」
 私のコーヒーは女体化に制限時間があります。
 未来の私は研究に研究を重ね、不可逆式のコーヒーをたった一回だけ精製しました。その結果、私は半永久的に美人マスターの身体でいられます。
 しかし今回は、研究も何もしていない、コーヒー豆のみでの女体化です。
 その結果、美人マスターの私にもこうして制限時間が訪れてしまいました。
 ま、まだ、自慰も何もしていないのに……!
「お、男なんかに、戻りたく…………があああっ!」
 アームロックを掛けられたような痛みで、目眩がします。

 そして、気が付いたときには
「……チクショウ!」
 私の身体は、男に戻っていました。
「ああ、クソッ、クソッ! あの下衆と赤井のせいだ畜生!」
 私の悔しがる台詞は男言葉に変換され、乱暴極まりないです。だから男はヤなんです!
 ……とにかく、TSブレンドの元は手に入れました。これから私はかつてのように研究し、ずっと女の身体でいられるためのスペシャルブレンドを精製するのです。
「ん……キミは?」
「げ」
 あかいがあらわれた!です。
 私を追ってきたのでしょうか。
「キミ、このあたりで、美しい女性を見なかったかい?」
「主観極まりねぇなおい!」
 美意識なんて人それぞれ違うのになんですかその質問。バカですかこの男。
「キミと同じ服を着ていて……そうだね、キミと同じように、考えていることを口に出す癖を持った美しい人だ。知らないか?」
「うわー……」
 これは、どっちでしょう?
 この人は尋常じゃないほどの慧眼ですから、私の正体をわかってて訊ねられているのかもしれません。
 男が女に、という前提を受け入れられない硬い頭の持ち主なら、本気で尋ねているかもですが。
「……知らねぇよ」
 結局私は、しらばっくれることを選びました。というか、そうするしかありません。
「そうか……」
 赤井さんは何を考えているのか、腕を組んで空を仰ぎました。
 つられて私も空を見上げます。青い空でした。
「ギャハハ……見つけたぜぇ」
「?」
 下衆な声に視線を向けると、さっきの悪漢がいました。
 ……下衆の後ろには、角材やバッドとかを持った、危険な集団もいます。
「色男ぇ……俺をコケにしたことを、たっぷり後悔させてやんよ」
 下衆はそういい、折りたたみのナイフを構えます。……ヤバイ集団の一員だったのでしょうか、この三下は。
「じゅうし……15人、か」
 色男と呼ばれたこの件の原因が、冷静にそんなことを呟きました。
「僕が突破口を開く。キミは逃げるんだ」
「……いや、なんで俺がヒロインみたいなこと言われてんだよ!」
 認めたくありませんが、いま、私は男です。
 男の外見なのに、ヒロインが聞くような台詞を言われてしまいました。言う方も言う方でオカシイです。
「キミは無関係なんだろ? だが、彼らはそんなことお構いナシにキミにも暴力を振るうだろう」
「……で、俺を逃がしてくれるってわけか? 会ったばかりの俺を?」
「その通りさ。……仮にキミがさっきの女性と本当に無関係でも、僕はこうしただろう」
「…………男も女も手当たり次第にフラグ建てようとしてんじゃねーよウザ客」
「客?」
「なんでもない」
 私は乱暴に頭をかき、深いため息をつきます。
「翠」
「うん?」
「俺の名前」
「ギャハッ! 小便は済ませたか、神様にお祈りは? ガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK? 許さねェけどな!」
 武装集団が、武器を構えなおし、一斉に私たちに襲い掛かってきます。
「いくぞ、赤井」
「……フッ、了解だよ、翠」
「気安く呼ぶんじゃねぇ!」

 私は、男の身体とお別れする前に、一暴れすることにしました。
 粗暴なのは大ッキライなんですけどねぇ……。
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Author:巫

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・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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