くのいち 黒組7

くのいちモノ
なんか調子に乗ってきた感じですが
相変わらずタイトルも方向性も結末も未定のままです


*今回の話には、少々のふたなり展開と救いのない絶望展開があります
 ふたなりジャンルや鬱展開を目の敵にしている方は避けてください


 絶望忍者ツバキ(仮)

 世界征服を狙うツキハミ党。
 その対抗組織、ツクヨミ機関の拠点がある高層ビル。
 そこに設けられた研究室では、白衣を纏った数人の男女が幾度となく驚嘆の声を漏らしていた。
「すげぇ……まじかよ」
「これが本当に、動いていたというのか……信じられん」
 白衣の人々はソレを見ながら、片時も目を離さない。
 彼らの視線の先には、枯れ木のような薄茶のかかった細い腕があった。何も知らない者が見れば、ソレは本当に木の枝がたまたま人の手の形に似ているだけのものにしかみえない。
 しかし彼ら……あらゆる分野の情報処理を専門とする情報忍たちにとって、その腕は謎に包まれた敵組織の正体を知る手がかりであると同時に、強大なブラックボックスでもあった。
「やっぱりだ……この腕は、百パーセントただの木で出来ている」
「つまり、ただの木が、動いて、喋って、人々を襲っていたというの……?」
「……そういうことだ」
 男がそう頷くと、残りの男女は言葉を失って皆同じように俯いた。
 木に命を宿す。
 忍術であろうと科学であろうと、それがどれだけ困難極まる行為なのか情報忍たちは身に染みるほど知っていた。
「ワタシたち……こんな化け物どもと戦って……勝ったんだよね」
「ああ。それもこれも、楓さんが敵首領を討ち取ってくれたおかげだよな」
「そうだ。ボスを失ったことで敵の士気は間違いなく落ちている。全て、楓様のおかげだ」
 敵の圧倒的力量を目の当たりにして落ち込んでいた空気が、英雄の名前を出したことで明るいものへと変わる。
 しかしただ一人……情報忍「菊花」だけは、その話題をイライラしながら聞いていた。
「本当に、楓さんが討ち取ったのかな」
「は? いや、だってお前も確認しただろ。楓さんの話どおり、敵の隠れ家には太った男の首なし死体が……」
「太った男が敵首領だって、そう言っているのは楓さんだけでしょ? 同行した柏様もツキハミの姿は確認していないって言うし」
「だが、あの真面目な楓様だぞ。手柄欲しさに嘘をつくようなお方か?」
「…………でも」
「はいはい。キッカは『お姉ちゃん』が活躍してなくて不満なんだよね~」
 同僚の一人がからかう様にそういうと、菊花の顔色は一瞬で真っ赤になった。図星だと白状したも同然である。
「違うし! ただ、姉様でさえ敵幹部にてこずっていたのに……実力の劣る楓さんがいきなり敵首領を討ち取るなんて、おかしいでしょ!?」
「事実は事実だ。楓様は嘘を吐かぬし、敵の士気は間違いなく落ちている」
「きっと、楓さんは覚醒したのさ。伝説の『超戦忍』に」
「…………」

**

「あの楓さんが、姉様より先に超戦忍に……? ありえない!」
 一人きりになった菊花は、研究室のデスクを思い切り叩き、激昂した。
 同僚の言葉に悪気はない。それはわかっている。しかし彼女には、自分の尊敬する姉が貶されたように聞こえてならなかった。
「姉様は戦忍のエースよ? なのに、真面目なだけしか取り得のない後輩なんかに劣るって言うの!?」
 忌々しげに呟きながら、菊花は枯れ木のような腕を睨みつける。
 目にも止まらぬ抜刀術。
 一太刀で、まさに一瞬で何人もの敵を倒してきた凛々しき姉。
 自分にも他人にも、もちろん妹の菊花にも厳しく、常に向上心というものを胸に抱いている憧れの存在。
 その彼女を差し置いて、楓がもてはやされている。今の状況は、彼女に強い不快感をもたらした。
「絶対、化けの皮剥がしてやる」
 姉より優れたものなどこの組織に、否、この世に存在してはいけない。
 楓が首領を討ち取った事実を、なんとしてでも覆してやろう。菊花は密かにそう誓っていた。
≪感じるぞ……強き負の想い……≫
「誰!?」
 突如聞こえた声に、菊花は顔を上げてあたりを見回す。
≪姉を正しく評価しない組織が不満のようだな……ならば、力を貸してやろう≫
「どこにいるの! 出てきなさい!」
 天井。壁。物陰。あらゆる場所に目を向けるが、不審な影は見当たらない。
≪情報特化の忍者が、拙僧の居場所程度わからぬようでは困るな≫
 特徴的な一人称が、彼女の視線をある一点へと向けた。
 カイニン・茸法師の腕……枯れ木のような腕が、まるで命を与えられたかのように、ひとりでに動き出している。
≪拙僧が、汝の望みを叶えてやろう≫
 しゃがれた声が、耳を経由せずに直接脳に響く。
 指の先からは鋭利な刃物を思わせる爪が一メートルほども伸びていた。
 戦闘慣れしていない彼女にとって、腕一本とはいえ意思と攻撃力を有する存在は、脅威でしかない。
「ひっ、だ、誰か……」
 背を向け、緊急ブザーに手を伸ばす菊花。しかしその指が、ボタンに触れることは叶わなかった。
「あ……れ……?」
 彼女の右腕……ヒジから先が、綺麗に消失していた。
 刹那、ゴトッと床に何かが落ちる。
 足元に転がっていたのは、血まみれになった白衣に袖を通した、一本の腕だった。
「嘘……これ、私の……?」
≪案ずることはない。すぐに新しい腕をくれてやろうぞ≫
 茸法師の腕が、菊花ににじり寄る。切り口からは、神経とも木の根っことも判別のつかない触手が幾本も飛び出してきた。
「い、や……こないで……いやあああああ!!」
 切り口から伸びる触手が、菊花の腕の切り口と繋がる。
 菊花の意識はそこで途絶えた……。

***

 就寝時間もとっくに過ぎた真夜中。
 見事カイニンを討ち取った椿は今、苦しみ悶えていた。
「は、あ……く……ぐ……」
 忍び装束ではなく普段着に身を包んだ彼女の股間は、まるで中から何かを突き上げるように大きく膨れ上がっていた。
 実を言うと、茸法師を切り伏せた直後から彼女は自身の女性器に違和感を覚えていたのだ。
 しかし大した問題ではないと放置した結果、違和感は異変へと成長し、椿を苦しめていた。
「くそ……法師め……!」
 股間の疼きがおさまらない。
 先ほど相対した茸法師の呪い、といったところだろう。
 彼女のクリトリスは大きく隆起し、まるで男性器のような形に変形していた。
 こんなみっともない姿を、後輩の楓や紅葉にさらす訳にはいかない。妹になんてもってのほかだ。
 自分の油断が招いた種なのだから自分で処理をすべきだ。椿はそう自分を戒め、こうして今、一人で苦しんでいた。

────ピンポーン
「!?」
 突然チャイムが鳴り、椿は慌ててベッドから起き上がる。
 時間は既に二時を回っている。緊急召集でもなければ、今頃はみんな寝静まっている時間のはずだ。
────ピンポーン
 せかすように、もう一度呼び鈴が鳴る。
 椿はなるべく大き目の布を腰に巻き、隆起する股間のモノを覆い隠してドアの前に立った。
「だ、誰だ?」
「夜分に申し訳ございません、菊花です」
「き、菊花?」
 妹の名前を聞き、ビクンと身体とイチモツが震える。こんな姿、絶対に見せられない。
 椿は扉を隔てたまま、妹と会話を続けた。
「どうした。用事なら明日にしてくれ」
「いいえ姉様。どうしても、今すぐにご相談したいことが……」
「………………」
 妹を追い返すのは簡単だ。しかし自分を慕ってくれている彼女に、椿は辛く当たることが出来なかった。
 一瞬の逡巡のあと、椿が選んだのは、ドアの鍵を開けて妹を迎え入れることだった。
「……入れ」
「ありがとうございます、姉様」
 菊花が笑う。
 ドアに隠れた彼女の右半身には、枯れ木のような腕がついていた。

**

「菊花……その、腕は……?」
「相談内容ですが、長袖の服と、手袋をいただきたいのです……さすがにこのままでは、今の姉様のように不審がられるので」
 言いながら、菊花は枯れ木のような腕を椿に見せびらかすように掲げた。
「答えろ菊花! お前に何があった!? その腕はカイニンのものか!? まさか移植したのか!?」
「もう、大声出さないで下さいよ。ね・え・さ・まッ」
 菊花の手が、椿の股間に伸びる。
 自身の異変と妹の異常事態による混乱が彼女の冷静さを奪い、たやすく不意をつかれてしまった。
「カハッ!?」
 服の上から敏感になった部分を握られ、悲鳴が上がる。
「姉様こそどうしたんですかぁ? ここを、こんなにして」
 ぐねぐねと弄りながら、菊花は尊敬するはずの姉に嗜虐的な笑みを見せつけた。
「キッカぁ……あ、やめ……」
「ふむ。拙僧の子は順調に育っているようだな」
「!! ま、まさか……貴様……!」
「股間の隆起は一時的なものだ。しばらくすれば収まろう……ただし、次は神経への侵食が始まるがな」
 菊花の顔で、少女の可憐な声で、どこか古めかしい言葉遣いが椿の耳を打つ。
「やがて拙僧の意のままに動き、汝は自らの手でツクヨミの連中を殺戮するであろう。ツクヨミ機関を壊滅させ、戦忍・椿が唯一絶対の強者として君臨するのだ!」
「そんなこと……する、ものか!」
「これは私の望みなのですよ。姉様?」
 菊花は再びコロリと口調を変えて、椿の部屋に入ってくる。
 勝手にタンスを開け、長袖の服と手袋を何枚か取り出した。
「ではこれは借りていきますね。失礼します」
「待て! 今一度、斬り捨ててくれる!」
「……私を斬るんですか? 姉様」
「!」
 不安げな瞳で、菊花が悲しそうに言う。
 今の妹は別人だとわかっていても、その姿かたちがどうしても椿の殺気を削いでしまった。
「あぁ、それから」
 悠々と玄関に出た菊花は、椿の良く知る妹の純粋な微笑みを見せながら、口を開く。
「ムラムラしたら、いつでも私がお相手しますから、ご安心を」
「ッ!」
 ドアが閉まる。菊花の姿が視界から消える。
 椿はその場で崩れ落ち、しかし股間は隆起したまま、ほんの一瞬、絶望以外の感情が流れる。
 菊花と自分がまぐわうその想像を、椿はもちろん、慌てて否定するのだった。







(視点変更で)もう一度……(ホラー番組風に)
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No title

このまま楓の軍門に下って他の娘も全員残党達の手にかけて、組織を丸丸乗っ取りましょうましょう(提案)

Re: No title

組織を乗っ取り……お主も悪よの
ご提案ありがたく参考に致します
プロフィール

巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

・当ブログのリンクはご自由にどうぞ
・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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