お祭り一週間前

TSの短編です
例のお祭りも、あと一週間を切りました。今年は大豊作の予感……!



ある日の俺と彼女

 部屋でごろごろしていると、キャリーバッグを片手に持った彼女がやってきた。
「代わってくれる?」
 改まった表情で出した第一声は、主語のない不明瞭な台詞だった。
「何をだ?」
 至極当然の疑問を返すが、質問に質問で返すなといわんばかりの目で睨まれる。
「ピンチなのよ。代わってくれる?」
 それ以外の言葉を口にする気はないという意思表示なのか、また同じ質問が繰り返された。
 何を代わるのだかは知らないが、愛しい彼女がピンチだというのならそれを助けてやらない理由はない。
 だから俺は、頷いてしまった。
「俺に出来る範囲でならな」
「ありがとっ。うん、出来る出来るっ」
 はじけるような笑顔を浮かべ、彼女は俺の右手を両手で握った。
 まったく、われながら人がいい。しかしこの笑顔を見られるだけ、代わってやると言った甲斐があるものだ。
「で、なに…………を?」
 ようやく欠けていた主語を補足しようかというその矢先、視界がぐらりとゆがんだ。


 ゆがんだ視界が元に戻ると――――
「よしっ、成功」
 目線が低くなっていた。
 俺が目の前にいた。
「は?」
 自分の声が高くなっていた。
 握られていたはずの手が、なぜか握る側に回っていた。
「はい、鏡」
 「俺」が俺の頭をつかみ、ぐるりと振り向かされる。
 横の姿見には、ぽかんとした表情で「俺」に頭をつかまれた彼女が映っていた。
「…………はぁっ!?」
「言ったでしょ。「代わってくれる?」 って」
 キモイ口調の「俺」が、したり顔で説明を始める。

「来週、本を売るから、売り子をしてほしいのよね」
「でも自分もその日、本を買いにいきたいの」
「けど女の子が売り子していたほうが売り上げに貢献するでしょ」
「そこで、私はあなたと体を入れ替えたの。私はあなたの体で本を買って、あなたは私の体で本を売る。完璧じゃない?」
 以上、説明終わり。
 売り子のバイト雇えとか、それ以前にお前は本を作っていたのかとか、そもそもそんな理由で体を入れ替えるなとか言いたいことはたくさんあるが……。
「一週間も前に体を入れ替えてどうする!」
「慣れてもらうためよ。女の子の……いえ、私達の世界に!」
 そういうと、俺の姿をした彼女はキャリーバッグを仰々しく解き放ち、その中身を俺に見せる。
 薄っぺらい本。それと、やたらひらひらの目立つ服。あと、猫耳っぽいのがついたカチューシャ。
 そういった、いやな予感をびんびんにさせるアイテム達が床にぶちまけられていた。
「welcome to OTAKU world!」
「…………マジデ?」



つづく?


 コスプレして恥ずかしがる売り子さんは、TS娘かも
 というか、いつにもまして何だコレ……

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Author:巫

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・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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