長編 爆発しろ(仮)1



*テンション注意
巫はダークが好きですが、少女漫画チックな純愛TSモノも大好きです!
純愛TSモノが好きです!
純愛TSモノが好きです!
大事なことなので三回言いました! わ、私、裏なんて知りません!


といわけでハートフルな雰囲気の長編TS恋愛モノを書いてみます
一回目はTSなしです




爆発しろ(仮) 1

 その日は、僕がこれまで生きてきた中で最も緊張する時間だった。
 いや待てよ。確か、昨日も似たような心境だった気がする。というか、ここのところ緊張が続きすぎて何がなんだかわからなくなっていた。



 朝起きたときから心臓は早鐘を打ち続け、見慣れたはずの風景もまるでモヤがかかったみたいにぼやけている。眼鏡をかけていないときの景色と似ているけど、顔にはしっかりとレンズの存在を感じる。念のためレンズを磨いてみたけど、やっぱり景色はぼやけたままだ。
 足取りもなんとなくおぼつかず、ふわふわとした気分のまま輪郭の定まらない通学路を進む。しばらくすると僕が通う朱城学園の門が見えてきた。
 その瞬間、緊張は更に高まり、足が前に進むことを嫌がる。
 まだ『彼女』の姿も見ていないのに、と自分の気弱さに情けなくなりながら、生まれたばかりの子鹿みたいにがくがくと脚を震わせながら、それでも無理やり動かして校門に近づいた。
 門の傍には、生徒たちの服装チェックをする風紀委員のメンバーが揃っていた。その中には『彼女』もいる。
 ストレートの黒髪を頭の後ろでみつあみにして、スカートの長さもキッチリ膝下まで覆い隠した、いまどき珍しいぐらいの地味でおとなしめの服装をした『彼女』────三坂恵莉(みさかめぐり)さんは、右腕にクリップボードを抱えて、左手に持ったペンを走らせながら同じ風紀委員の上級生が服装違反者に注意しているのを後ろで眺めていた。
「あっ……」
 恵莉さんが僕に気付き、目が合う。
 それだけで気恥ずかしくなり、慌てて視線をそらした。逸らした瞬間、今の態度はまずかったかなと後悔した。
「お、おはようございます……」
 僕の態度を気にしないようにしてくれたのか、それとも最初から気にしていないのか、恵莉さんの方から僕に声をかけてくれる。
「おはよう。えっと…………」
 視線を戻して彼女と再び向き合うけど、挨拶から先の言葉が出てこない。
 恵莉さんもそれは同じらしく、俯き加減になって口をもごもごとさせている。
 男子の平均身長よりやや低い僕は、女子にしては背の高い彼女の顔を自然と覗き込むような形になる。ので、真っ赤になった顔もバッチリ見えた。可愛い。
「あーもしもし。こんな所でイチャつかないでくれませんかねぇ?」
 校門のど真ん中で向かい合ったまま動かない僕たちを見かねたのか、彼女と一緒にいた風紀委員の先輩(ブレザーのリボンが緑だし、間違いない)が割って入ってくる。
 笑顔だけど、なんとなく言葉の端々にイラついているような感じがした。
「い、いちゃつくだなんて、そんなっ」
 先輩に指摘されて、恵莉さんはいっそうしどろもどろになって赤面した。その可愛らしい仕草を堪能したいところだけど、僕も当事者なので冷静ではいられない。
「あー、二人とも顔真っ赤にしちゃってまぁ……けっ、爆発しろ」
 吐き捨てるようになんだか不穏な台詞を言うと、先輩は彼女の腕からクリップボードをひったくるように取り上げた。
「あ、あの、先輩?」
「後はあたしがやっとくから。行っていいよ」
「で、でも」
「あのねー、これ以上ここにいられるとメーワクなの。ほら、行った行った」
 先輩に押されるようにして、僕と彼女は校舎へと向かった。

「…………当番、サボっちゃった」
 校門から少し離れたところで、彼女が申し訳なさそうに呟く。服装と同じく、性格まで真面目だ。
「いいんじゃない、かな。先輩の許しもあるんだし」
 そう言うと、彼女はきょとんと目を丸くして、僕をじっと見つめてきた。
「な、なに?」
「……ううん」
 少しだけはにかみながら首を横に振る。
 なんなんだろう。何か変なことを言ったかなとかそんなことを考えていると、ふいに自分の右手が暖かなものに包まれる。
 恵莉さんの手が、僕の手を握っていた。
「これって、不純異性交遊……かな?」
 真っ赤な顔をしておどけてみせる彼女に、心臓が跳ね上がるほどときめく。それがとても可愛くて、だから、こんな子が自分の『彼女』なんだと思うと、本当にこれは現実なのかと疑いたくなる。
「わたし、なんだかこのまま不良になっちゃいそう」
 だけど、そう言って微笑む恵莉さんの顔も声も。手のひらから伝わる暖かな感触も。
 全部、現実で。
 こんな日がこれからずっと続くんだと、そんな幸せな気分に浸りながら、僕は恋人の手を握り返すのだった。

***

 恋人がいる人は幸せで、だからといって独り身が不幸だとか、そんな偉そうなことを言うつもりはない。
 だけどその日も僕は、間違いなく世界で一番幸せな男だという思いを抱いていた。
「あー、はいはいゴチソーサマ」
 僕のノロケ話に、最初は耳を傾けてくれていたクラスメイトの輪島は、三分も経たないうちに明らかに『面倒だ』という顔をして、話を強制終了させた。
 まだまだ彼女の魅力は語り足りないけど、長々と話してウザがれるのもイヤなので僕も口をつぐんだ。
 放課後の教室に残っている生徒は僕と輪島以外、誰もいない。みんな部活や委員会に出て行ったんだろうか。
 夕暮れの西日が差す教室は、ちょうど彼女に告白したときと同じオレンジ色に染まっていた。
「んで、どこまでいったわけ?」
「え」
「だーから、もうエッチしたのかって話。お前ら、付き合ってどのくらいだよ?」
「えっと……」
 顔が熱くなる。
 輪島の台詞が、僕に恵莉さんの裸を連想させる。……が、それはもちろん想像上のものでしかない。
「まだシテねーの? 三坂なら、強引に迫れば一発だろ。押し倒せ押し倒せ」
「ご、強引にだなんて、そんな……っ」
 手をぶんぶんと振り、よこしまな想像とイヤラシイ輪島の台詞を振り払う。
 どうしてこの男はそんなことを平然と言えるのか、まったく理解できない。不特定多数の女の子と付き合うような男の発想を受け入れたいとも思わないけど。
「けっ、これだから童貞は。一生女に幻想持ってろ」
 『あーあ、くだらねー』とか言うだけ言ってカバンを肩にかけると、輪島はそのまま教室を出て行った。
「……自分から聞きたいって言ったくせに」
 一人になると、途端に教室の中が静寂で満たされる。校舎の外では運動部の掛け声が、中からは吹奏楽部の演奏が聞こえているのに、僕の周りだけまるで音を遮断しているかのように静かだった。
「……帰ろ」
 ここでこうしていても仕方がない。
 時計を見ると、午後四時半を回っていた。ちょうど、風紀委員集会が終わる時間だ。
 普段の僕ならワクワクしながら恵莉さんを迎えに行くところだけど、彼女は今日、病欠している。
 風邪を引いたらしく、もう二日も顔を合わせていない。メールのやり取りはしているけど、やっぱり直接会って話したかった。
 『伝染るといけないから』って、お見舞いも断られている。さびしい。けど、その優しい心遣いがまた僕の胸を締め付ける。
「おーい、永倉くーん」
 聞きなれない女の人の声に呼ばれて振り返ると、このあいだ恵莉さんと一緒にいた風紀委員の先輩が手を振っていた。
「あ。こ、こんにちは」
 あまり面識のない上級生に対してどう接すればいいのかわからず、少しだけ挙動不審になる。
 先輩は大して気にした風でもなく、人好きのする笑顔を浮かべたまま用件だけを手短に伝えてきた。
「今帰り?」
「はい」
「んじゃ、これ。よろしく」
「なんですか? プリント?」
「風紀委員会のお知らせ。めぐりんに渡しといて」
「めぐりん……」
 渡されたプリントよりも、そっちの方が気になる。
 彼女のあだ名かな。……僕もいつか呼んでみよう。
「んじゃ、よろしくねー」
「あ、ちょっと────行っちゃった」
 ハイともイエスとも言ってないのに、強引な人だ。断る理由なんかないけどさ。
 とにかくこれで、堂々と彼女のお見舞いに行く口実ができた。先輩に感謝だ。


 恵莉さんの家は、二階建て集合住宅の一室だ。
 一人っ子で、共働きの両親と共に暮らしている。
 ただ、そういう話は聞いていたけど実際に訪問するのはこれが初めてだ。いつも家の前まで送って、そのまま別れていた。
 だけど、今日は違う。
 インターホンを押して、ドキドキしながら返事を待つ。誰が出てくるだろう。両親だったらどうしよう。だけど恵莉さんだったらそれはそれで緊張する。
 そんなことをぐるぐる考えて、それからしばらく待った。
 …………だけど、返事はおろか、部屋の中から物音一つしない。
 もう一度押す。やっぱり返事はなかった。
 ドアノブに手をかけてまわしてみると、鍵はかかっていなかった。無用心だなと思いながら、その一方で心の片隅がざわつく。
「あ、あの~、恵莉さん?」
 ドアをくぐると、彼女の香りと良く似た他人の家の匂いが鼻先をくすぐった。
 だけど、相変わらず返事も、人の気配もない。心が、いっそうざわつく。
「は、入りますよー」
 落ち着かない予感に急き立てられるように、悪いとは思いつつも彼女の家に侵入する。こんな泥棒みたいなマネをするのは初めてだ。
 でも僕は泥棒じゃなくて彼氏で、彼女の具合が悪いことも知っていて。だからプリントを置いて引き返すことはせず、『めぐり』とプレートのかかったドアの前に立つと迷うことなく扉を開けた。
「ゲホッ、ゲホッ……ハァ、ハァ……なが、くら……くん?」
 彼女の性格を現すようにキチンと整頓された部屋のベッドには、いつものおさげ髪をほどき冷却シートをおでこに貼り付けた、苦しそうな恵莉さんが横になっていた。
「だ、大丈夫!? あ、お、起きなくて良いから!」
 起き上がろうとする彼女を慌てて制止し、横に直す。
 ベッドの傍には、空になったコップと風邪薬。それに飲み干されたゼリー飲料の容器が丸いお盆の上に置いてあった。
「ハァ、ハァ……来ちゃ、だめって、言ったのに」
 風邪のせいか、頬を上気させて潤んだ目で見つめてくる。
 並んで歩くといつも僕が彼女を見上げるような形になるため、こうして彼女の顔を見下ろすのはなんだかとても新鮮だった……って、そうじゃない。
「いいから寝てて。水、持ってくるよ」
 空のコップを取り、キッチンに向かう。
 家に来たことや勝手に入ったことなら、あとでたっぷり叱られよう。
 彼女が元気になるのなら、それでいい。


 すっかり日も沈み、窓の外が街の灯りで照らされ始めた頃、容態もやや落ち着いてきた彼女がふいに口を開いた。
「あの……お願い、が」
「うん? あ、電気つける?」
「ううん、そうじゃなくてね。……手、握って欲しいな」
「う、うん」
 暗がりの中で手を伸ばし、彼女の右手を握り締める。このあいだ触れたときと同じ、小さくて柔らかな手だった。
 恵莉さんが一つ、大きく息を吸い、吐き出す。
「わたしが寝たら、ちゃんと帰ってね。もうすぐ、お母さん帰ってくるし」
「……わかった」
「不法侵入に……不純異性交遊。治ったら、たっぷりお説教、だね」
「あはは、お手柔らかに」
「ん……」
 息を吸う。吐く。
「わたしね、あなたのこと、好きだよ」
「僕も、だよ」
 手を握り締める。
 まるで、今にも遠くへ行ってしまいそうな彼女を繋ぎとめるように、強く、強く。
「……えへへ、そっかぁ」
 息を吸う。吐く。
「ありがとう。それじゃあ……」
 息を吸う。
「また、明日ね。皆希(みなき)くん」
 静かに息を吐きながら、最後に僕の名前を呼び。
 そのまま彼女は、深く、深く眠りについた。
「……おやすみ、恵莉さん」
 心のざわつきは拭えないまま、彼女の手を離す。

 この時、幸せな日常ががらりと姿を変えていただなんて、僕は気付いてもいなかった────。





頓挫しないように頑張ります
エンディングは見えているからたぶん大丈夫…………です
まぁゆるゆると

途中で恋人が犯罪者に乗っ取られればいいとか、そんなこと考えてませんから!
純愛モノですからー!
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少女漫画チック(にドロドロ)な純愛(過ぎてダークな)TSモノですね分かります。

コメントありがとうございます

少女漫画怖ぇッ!
目指すのはラブコメです! ダークは今後全部、裏に任せます
プロフィール

巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

・当ブログのリンクはご自由にどうぞ
・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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