爆発しろ 5

『いまのトレンドは戦うツインテTS少女だよねー』?
某所でアレが物凄い人気みたいですが自分は変わらずTSを軸にした恋物語を書きます


といわけで
恋人の恵莉(めぐり)が突然『エリタ』という男だった頃の記憶を蘇らせた
転生系TSの恋愛モノをまったり書いています

タイトルは(仮) 2ちゃんっぽく
ネタバレだなー



『彼女の前世が男だった事案が発生』


 とんでもない無駄足を踏んでからの翌日の朝。
 寝て醒めれば、昨日のことは全部夢だったんじゃないかって期待がないでもなかったけど、この寝不足で最悪な気分がそれを全力で否定していた。

 恋人が前世で男だった記憶を取り戻して、別れ話をされて、なのになぜか人探しを手伝う羽目になって。
 たった一日の間に起こる出来事にしては一つ一つが大事件で、むしろ夢でなきゃおかしなレベルの話なんだけどなぁ。
「ふぁ……」
 あくびをして、眠い目をこする。昨夜はネットで調べ物をしていたから、寝るのが随分おそくなってしまった。
 検索したのはもちろん、『エリタ』や『歌谷美優』それに『前世の記憶を消す方法』だ。
 けれどネット上に二人の名前は見つからず、さらに一度蘇った前世の記憶はどうやら消すことは出来ないらしいという僕にとっては絶望的な情報を得られただけだった。
「……もう、戻らないのかな」
 優しくて恥ずかしがり屋で真面目だった、かつての恵莉さんの姿を青空に思い浮かべる。
 あの彼女とはもう、二度と会えない……そんなこと、納得できるはずがなかった。


 今日の風紀委員会は休みなのか、校門を通り抜けても恵莉さんや例の風紀委員の先輩の姿は見かけることはなかった。
 昇降口を抜け、程よい喧騒の響く廊下を歩く。
「ミナキ!」
 自分の名前を呼ばれて、その声がすぐに誰のものか気付き振り返った。
「おはよう……エリタ」
 僕の背後にいたのは、予想通りの相手だった。
 姿も声も、僕が好きだった女の子と変わっていない。ただ、トレードマークだった長いみつあみは編みこまれていなくて、代わりに綺麗なストレートロングの髪が彼女の背中一面を覆い隠すように広がっている。
 右手には半透明のビニール袋をぶら下げていて、腕を振るたびにがさがさと音を立てていた。
「よかった、探してたんだ」
「どうしたの?」
「いや、何も言わずこれを預かっててくれ」
 ガサッと音を立てて、持っていたビニール袋を差し出される。近くにあるコンビニのロゴが入っていた。
「いいけど……」
「さんきゅ! じゃ、昼休みに校舎裏でなっ」
 言うだけ言って、彼女は妙に慌てた様子で教室に入っていった。
 同じクラスなんだから一緒に戻ればいいのにと思いながら、いま渡されたばかりの袋に視線を向ける。重さはほとんどなく、持っているのを忘れそうなほどだ。
「はよっす」
「あ、おはよう」
 輪島が声をかけてきたので、軽く挨拶を返す。と、すぐにその目が僕の右手に注がれた。
「何だ、それ?」
「さあ? エリ……恵莉さんが、預かって欲しいって」
「預かる? 愛妻弁当とかじゃなくてか?」
「違うよ」
 昨日、フられたばかりだし。
 というか、付き合っていた頃の恵莉さんにもお弁当を貰ったことなんてない。いつか作ってくれないかなって期待していたんだけど、可能性はもうほぼゼロとしか言えない。
「何が入っているんだ?」
「えっと……」
 袋の中を覗き込む。見たらダメとは言ってなかったし、僕も気になっていた。
「……お菓子?」
 中には、小さな四角い箱が4つか5つほど入っている。初めて『エリタ』と遭遇したときに彼女が食べていた、棒状の硬いラムネ菓子だ。
「お菓子ぃ? …………何か、メッセージが込められているのか」
「ないと思うけど……」
 だけど、僕にわざわざ預ける意味はなんだろう? 
 それとも輪島の言うとおり、本当に何かのメッセージが込められているのだろうか。

 ────その答えはすぐに、朝のホームルーム中に担任の口から明かされた。
「なんか校舎裏でタバコの吸殻が見つかったみたいでな。ってことで俺と風紀委員とで持ち物チェックするぞ。あ、ついでにゲーム機やお菓子とか持ってきたやつも減点な」
(エリタああああああ!!)
 僕は心の中で絶叫し、教師の隣でいかにも真面目そうな顔をする犯人を涙目で睨みつけるのだった。



「ひどい」
 昼休みになり約束通り校舎裏で落ち合い、開口一番に不満が飛び出る。
 お菓子だし、大した問題にはならなかったけど、それでもハメられたことには違いない。
「だから悪かったって。風紀委員が校則違反してた方がマズイのはわかるだろ?」
 じゃあ、はじめからお菓子なんて持ってこないでよ、という言葉を呑み込んで、僕はため息をついた。
「昨日の集会で言ってたの?」
「あん? ああ、そう。なんか、ここに吸殻が落ちていたんだとさ」
「…………キミじゃ、ないよね」
「殴るぞ」
 恵莉さんの顔つきを鋭くさせて、コンビニ袋から取り出した一見タバコに見えなくもない棒状のお菓子を僕に投げよこす。
「ほら、口止め料」
「……どうも」
「まったく、ここは相変わらず堅ぇな……お菓子ぐらい持ってきてもいいだろうが。そう思わねぇ?」
 愚痴りながら、慣れた手つきで包装をはがしてラムネ菓子を口に含む。
 遠目で見ればなんとなくタバコをくわえているように見えなくもないけど、でも吸殻がある以上ここで本物を吸った人間がいるのは確かだ。そう思うと、急にこの場所にいるのが怖くなってきた。
「エリタはそのお菓子、よく食べるの?」
 不安を紛らわせるように、口を開く。
 以前の恵莉さんがお菓子を食べている姿なんてほとんど見かけなかったから、ふと気になった。
「なんだよ文句あるか。言っておくけど、記憶が戻る前からコイツは食ってたぞ」
 手のひらの箱をカタカタ振ってアピールしてくる。
 僕が知らなかっただけで、恵莉さんは前からそのお菓子が好きだったらしい。
「ただまぁ……俺が"俺"だったときも、コイツにはちょっと因縁があったな」
「因縁?」
「大したことじゃねぇよ」
 どこか寂しそうに笑って、パキッと口にくわえたラムネ菓子を折る。
 恵莉さんの顔だから、だろうか。
 そんな表情を見せられると、僕はなんとかして元気付けてあげたくなった。
「そ、そういえば、今日はどうするの?」
「あん?」
「歌谷さん。探すんでしょ?」
 昨日は中途半端のままだったから、今日こそは最後まで調べてみたい。けれど、エリタは妙に歯切れを悪くして首を横に振った。
「今日は、いいや」
「え?」
「他にやることがあるんだ。考えてみたら美優のことだって別にもう……なぁ?」
 同意を求めるように笑って、『悪いな』と謝られる。
 けど、いきなりそんなことを言われても戸惑ってしまう。どうして急に心変わりをしたんだ?
「それに、あれだ。お前も、新しい彼女とか探さなきゃなんねーだろ?」
「新しい、彼女?」
「いつまでも俺なんかに付きまとってねーで、さっさと次の女を見つけろよ」
 好き勝手なことを言って、エリタはそのまま裏口を開けて校舎の中に戻っていく。
「なんなんだ……」
 前世での恋人を探せとか言ったり、かと思えば『別にもう』なんて煮え切らない態度で諦めて見せて。
 挙句の果てには、新しい恋人を探せ?
「……絶対、元に戻してやる!」
 あんなワガママな男に、恵莉さんの身体を委ねるわけにはいかない。
 決意を新たにして、僕は拳を固く握り締めた。



 僕らの住む街の図書館はかなり大きい。
 整然と並んだ書架にはバリエーションに富んだ本がびっちりと敷き詰められ、さまざまな年齢の人たちが思い思いに本棚の間を行き来している。
 壁に掛かった時計を見ると、閉館時間の三十分前だった。ホームルームが終わってまっすぐここに来たのに、ゆっくりする暇なんてほとんどない。
 このわずかな時間で膨大な量を調べられるはずがなく、僕は受付カウンターの脇にあるパソコンに近づいた。確か、これで所蔵している本が検索できるはずだ。
「あ、あれ?」
 液晶のモニターには、『故障中』というメモ用紙が貼り付けられていた。
 昨日といい、どうもここの図書館とは相性が悪いようだ。
「何か、お探しですか?」
 受付にいた職員の人が、パソコンの前で困惑する僕に声をかけてくれた。
 ありがたくその厚意に甘え、生まれ変わりについての書籍がないか訊ねる。
「えぇと……少々お待ちくださいね」
 職員の女性はゆったりと微笑んで、受付にある職員用のパソコンを操作し始めた。
 なんとなく手持ち無沙汰になり、キーボードを叩く職員さんを見つめる。
 ショートカットの、優しそうな感じの人だ。
 歳はたぶん、僕より一周りぐらい離れている。でも化粧っ気は少なく、元の素材だけで十分若々しい綺麗な女性だった。
「……えぇと、本館には30点ほどありますね」
 検索し終えた女性は、ディスクトップを動かして僕に液晶画面を見せてくれる。
 創作小説や体験談、それに怪談の副題として、『生まれ変わり』という単語がずらりと並んでいた。
 どの本が役立つかわからないので、ひとまず所蔵場所をチェックする。
「あの、メモ用紙ってありますか?」
「ございますよ、どうぞ」
 そう言って、女性職員さんは脇においてあった紙切れと、ネームプレートが付いた胸ポケットからペンを取り出す。
 僕はそれを受け取りながら、何気なく彼女の名前に目をやった。
「…………え」
「どうなさいました?」
 子供の利用者にもわかるように配慮された、その名札に書かれていたのは。
 突然凍りついた僕を、変わらず優しげに見つめるその女性の名前は。

 『うたたに』さんだった。




NEXT原稿?
平気です間に合いますたぶん(フラグ)
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初めまして

はじめまして!TSF好きなdaiceと申します!
足跡から飛んでまいりました。
小説読ませていただきました。

Re: 初めまして

>daice さん
はじめまして ご丁寧にありがとうございます
ゆっくりしていってね!
楽しんで頂ければ嬉しいです


(心中)ざわざわ…
足跡……見られている…… ヒィィ~
プロフィール

巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

・当ブログのリンクはご自由にどうぞ
・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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