短編「ABCオブTS」 Q

26のアルファベットの頭文字をタイトルにした TSがテーマの短編を作っています
今回は全年齢対象(?)なのでこちらに載せます

裏ブログでのコメントで
素敵な単語と草案を頂きました
ありがとうございます

短編「ABCオブTS」

queer -妙な-

 僕の妹は生意気だ。
 うるさくて、わがままで、兄を兄とも思っていない。
 小学生の頃はまだ可愛げがあったよ? ちょこちょこ僕の後ろを付いてきて何かあれば「おにーちゃん、おにーちゃん」って舌ったらずな声でよく呼ばれたものさ。
 でも今はダメだね。全然ダメ。
 中学に上がってから妹はよく僕に暴力を働くようになった。もちろん兄妹間の小突く程度力加減だけど、叩かれているというその事実自体が僕はもうどうしようもなく腹が立つ。
 かといってやり返したら、女の特権を振りかざして親に泣きつき、そして僕は叱られる。内容も「男の子でしょ」「お兄ちゃんでしょ」とか、覆しようもない事実を突きつけてそれで納得させようとするのだ。
 あと、これは余談というかまぁ、妹は口もすこぶる悪い。息を吐くように僕をけなしてくる。最近で一番ショックを受けたのは「イカ臭い」だ。そんなにオナニー三昧の生活をした覚えはない。
 けど友達いわく、僕は贅沢者だそうだ。
 「妹のいる生活ウラヤマシスハァハァ」なんてヨダレを流しながらのたまった時はさすがに友人をやめようかと思った。
 お互いの名前を呼び捨てし合える、最高の親友だと思っていたんだけどなぁ。
 閑話休題。
 最近、妹の様子がおかしい。
 同じようなタイトルが漫画か何かにあるらしいが、これは先程の友人からの受け売りなのであまり詳しくはない。
 まぁそれはともかく、おかしいんだ。
 まず、暴力を振るわなくなった。というか、妙に避けられている。
 廊下で鉢合わせしたらすぐに回れ右して自室に引きこもるぐらい、徹底して避けられている。
 中学生になったのだし反抗期かとも思ったけど、反抗的というのなら今までの方がずっと酷かった。
 むしろその逆。それこそ、文字通り人が変わったように妹は大人しくなっていた。
 オカルトを持ち出していいのなら、『まるで何かに取り憑かれたような』豹変ぶりだ。僕はその手の話は嫌いじゃないから、実のところこの可能性が一番高いんじゃないかと思っている。
 極めつけなのは、妹の喘ぎ声を聞いたときのことだ。
 誤解を招きかねないので断っておくが、僕は断じて妹の部屋をのぞき見たりはしていないし、壁に耳を押し当ててもいない。
 やむとはやまれなしに聞いてしまったのだ。むしろ被害者は僕の方であるといえよう。
 歯を磨いていたときのことだ。妹はお風呂に入っていて、ひっきりなしにシャワーの音が響いていた。今月の水道代はきっととんでもないことになっているに違いない。
 まぁだからこそ油断したのだろう。激しい水音にまぎれて、妹の淫らな声が聞こえてきたのだ。
 シャワーで自慰行為にふける妹の声は今でも覚えている。夜のオカズ的な意味ではない。
 嬌声にまぎれて聞こえてきたのは、「このカラダ、凄い」だぜ? 自分の身体なのに、まるで他人のような口振りじゃないか。
 でも妹はもう中学生なわけで、中学生といえば中二病だ。
 僕も昔は『我は魔王。この肉体は仮初に過ぎぬ』なんてはしゃいでいたから、もしかしたらそういった類の演技中なのかもしれない。だとしたら厄介だ。中二病は重症になると、本気で自分が特別な者だと思い込むしなぁ。
 わざわざ他人のフリをして自分を慰める行為のどこに特別な要素があるのかはさておいて、常識的に言えばこちらの可能性が高い。いや、常識を語るのなら妹の様子がおかしいのは少女特有の不安定な時期という言葉でくくられるんだろうけどさ。
 とはいえ反抗期でも思春期でも、中二病だろうと誰かに身体を乗っ取られていたとしても。
 やっぱりアイツは僕の妹なワケだから────放って置くって選択肢は、ないんだよなぁ。
 今夜にでも、直接聞いてみるか。
 そうそう、これはホントの本気で余談なんだけど。
 アイツ、僕の事を呼び捨てしやがったんだ。



 男は、自分の友人が羨ましかった。
 自分が妹萌えではないからと、とにかく彼は男によく妹の事を愚痴っていた。男はそのはけ口にされたのだ。
 正直親友の言葉なぞ、ご褒美以外の何ものでもない。可愛い女の子と一つ屋根の下で暮らしていて、そんな不満が出てくることに怒りさえ抱いた。
 だから、男は、友人の立場を頂いてやろうとした。
 人生そのものを奪うつもりはない。ただ一日だけ、ほんの短い間だけでも、妹のいる生活を体験してみたかった。
 ウイルス感染を覚悟して怪しいサイトに飛び、違法覚悟で怪しい薬を購入し、死ぬのを覚悟して『憑依薬』を服用した。それほどまでに、男は彼の立場が羨ましかった。
 果たして見事に幽体離脱をした男は、さっそく男の肉体に憑依を試みた。
 だが、そこでアクシデントが起こる。
 背後から「アイスの仇ッ!」と絶叫し実兄に飛び蹴りを繰り出した少女が割り込んできた。
 目的だった彼の身体は座標がズレ、入れ替わりに友人がいた座標に立っていたのは誰あろう、男の恋焦がれる妹だった。
 スピードの乗った自動車が急停止できないように、男の魂はそのままの少女の肉体へと憑依をしてしまう。
 かくして彼が手に入れたのは、「妹のいる生活」ではなく「兄のいる生活」であった。
 女体の快感を味わおうとも、女の子としての生活を送ろうとも。
 男が欲しいのは「妹」であって「兄」ではない以上、満たされることはなかった。
 不運に不運は重なるもので。
 すぐ元に戻るはずだった『憑依薬』の効果は、今日この時をもってしても、いまだに続いている────。





「男」視点は蛇足かな…
軽い感じだけど妹が凄くカワイソス


N.Dさんに感謝
ありがとうございました
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非公開コメント

リクエストを反映して頂きありがとうございます。憑依大好きなので嬉しいです

返礼

> N.D さん
こちらこそありがとうございます
拙いものですが楽しんでいただければ嬉しいです エロがなくてすいません

期待に応えられるかは定かではないですが
また草案ありましたら、ぜひともお教えください
プロフィール

巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

・当ブログのリンクはご自由にどうぞ
・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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