短編「ABCオブTS」 R


26のアルファベットの頭文字をタイトルにした TSがテーマの短編を作っています
全年齢対象なのでこちらに載せます

投票所にて
素敵な単語と草案を頂きました
ありがとうございます

たぶん、スペル違いなので訂正させてもらいました

短編「ABCオブTS」

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 電波女というものをご存知だろうか。
 ティーン向けの雑誌社に勤める私は、このたびその「電波女」なる人物を捜索し、接触を試みた。
 これは、そんな私の取材記録である。


 記録一日目。
 社命により電波女の取材を仰せつかった私は、さっそくインターネットでその言葉の意味を調べた。
 小説やアニメの登場人物を示す記事が圧倒的に占める中で、ようやくピンと来る回答を見つける。
 『宇宙からの電波指令を受けているような、頭のおかしい女』らしい。
 「電波女」は独自の世界観を持ち、日常会話どころか意思の疎通すら難しいのだという。言語の違う外人を相手にしている方がまだマシというレベルだそうだ。
 そういえば私の雑誌社は、以前に「中二病」なるものを特集した。彼女たちもまた、独自の世界観を持っていた。電波女とはその延長線上かもしれない。
 ならばと、私はそのときに取材した彼女たちに連絡を試みた。
 むろん、ネットの掲示板で「電波女」の募集もかけることも忘れない。
 何も問題はない。全ては順調だ。


 記録三日目。
 さっそく取材が行き詰った。
 「中二病」の取材した相手は、みな口をそろえて「あのときのことは思い出したくない」「黒歴史だ」と言い、話しすらさせてもらえなかった。
 こうなると頼れるのは自分の足と、ネットの募集だけだ。
 しかし掲示板の募集に応じる声は上がらず、街頭での人探しもなかなか思う通りには行かなかった。
 それなら、現在の「中二病」を集め、それを足がかりにしよう。
 天啓の如く閃いた私は、さっそく掲示板で「中二病」の募集をかけるのだった。


 記録四日目。
 そろそろ記事をまとめなくてはならない。
 だが私は、いまだに「電波女」と出会えずにいた。
 募集をかけた「中二病」の少女たちはすぐに集まってくれたが、彼女たちが言うには「電波さんはレベルが違う」のだそうだ。私には話を聞く限りどっちも同じように思えるが、彼女たちにとっては明確な境界線があるのだろう。
 彼女たちの知り合いにも「電波女」はおらず、それこそ漫画やアニメのキャラクターでしか存在し得ないのだという。
 取材は完全に行き詰まり、私は「中二病」たちタカられるだけタカられてしまった。


 記録五日目。
 特集の代案は却下された。
 「密着! 秘密のサロン」「財界の大物が行う怪しい研究」「不思議な道具を与える黒服男の謎」など、巷で噂になっている話を取り上げたが、どれもティーン向けではないのだそうだ。
 もっともたとえ代案が通ったとしても、一日で取材できるの「財界のは大物」ぐらいなものだ。あとの二つは「電波女」と同レベルで謎に満ち、雲を掴むような話だった。
 そこへ、再び天啓が舞い降りる。
 いっそのこと、先の三つと「電波女」を足して都市伝説特集を組んでみてはどうか。
 ただ、この四つはほぼ何もわかっていないのだから、必然的に記事の内容も薄くなる。
 ページ数を稼ぐためにも、あと三つほど欲しいところだ。七つあれば、それなりの格好も付く。
 しかし「ベッドの下の男」などとありきたりな都市伝説では上も読者も納得しないだろう。
 私は更に巷の噂に耳を傾け、取材を行うことにした。


 記録六日目。
 日付が変わった後も私は帰宅せず、社内で仕事をしていた。
 都市伝説企画は受理され、記事もそれとなくまとまってきた。この調子なら今日中に書き上げられそうだ。
 目処が立ったことで心の余裕のできた私は、コーヒーを飲みながら何気なくインターネットを開いた。
 『電波女さん急募』という、第一日目で立てた私のスレッドがまだ残っていた。消しておくのを忘れていたのだ。
 結局何の役にも立たなかったなと思いながら、一桁のレスを見返していく。
 荒らしや広告ばかりが並ぶ中、最後にして一番最新の文章には、こう書き込まれていた。

「FST第四宇宙からの特命で貴君との接触が許可されました。
 地球時間の2時30分、この国ではシンヤニジと呼ばれる時刻に限り、貴君はFSTの意思を担う≪レシーバー≫の資格を有します。
 受け取りますか?」

 文末にはURLもあり、クリックすると、近くにある雑居ビルの写真がアップロードされていた。
 ここで待っている、と言うことだろうか。
 もう一度本文を読み返すが、見事に意味がわからなかった。
 これこそ、間違いなく「電波女」だ。私はそう確信し、時計を見た。
 1時40分。まだ間に合いそうだ。


 雑居ビルといっても、テナントがまったく入っていないためか、廃墟も同然だった。
 入り口にそれらしき人物はいなかった。仕方なく建物の中に入る。
 窓際から差し込むネオンのきらめきが、歩き回るのに苦ではない程度に廊下を照らしている。しかしどこか薄ら寒く、眠らない街と呼ばれるこの街においてビルの中はいやに静かだ。
 歩くたびに、私の足音が響いている。そんな気がする。
「≪レシーバー≫よ……」
「!?」
 二階のフロアにたどり着いたとき、どこからか声がした。
 みれば、正面にある鉄製の重々しいドアが半開きになっている。
 私はまるで誘われるように、その部屋に入っていった。

「ようこそ新たなる≪レシーバー≫。FST第四宇宙の慈愛あふるる意思はこの先も疑う余地なく全生命の礎となる」
 生活感など皆無の、紙くずやホコリしかない部屋の中央で青い髪の少女が立っていた。
 窓から差すネオンの影響か、少女そのものが発光しているかのように錯覚する。髪の色とあいまって、とても神秘的な雰囲気をかもし出していた。
「君が、電波女かい?」
 意味不明の言動はまさしく噂で聞いたとおりだ。
 だが私の質問に少女はニコリともせず、右手を差し出してきた。
「≪レシーバー≫の資格を分与する」
「えっと……」
 わけがわからないが、どうやら握手を求められているらしい。
 これは大変な取材になりそうだと心の中で苦笑し、私も右手を伸ばした。
「よろしく。私の名前は……」
「必要ない」
 その瞬間。
 世界が、ぐにゃりと歪んだ────。

 気が付けば私はうつぶせに倒れていた。
「なん、だ……? 頭が……それに声も」
 頭が重い。それに、声もやたら高かった。
「……受け取り確認」
「!?」
 声につられて顔を上げると、あの青髪の少女がすぐ目の前に立っていた。今気付いたが、少女は素足だった。
 何も履いていない足から白い脚へ視線をたどり、スカートの中が見えかけたところで慌てて上昇させる。
 息を呑むような、青い髪。そして先程と変わらず物言わぬ青い目が、じっと私を見下ろしていた。
「い、いったい、何が……」
 声に違和感を感じながらもカラダを起こすと、視界の端で、青い長髪がさらりと流れた。
「え……」
 少女は微動だにしていない。振り向いても第三者の姿は見当たらず、ただ首を動かした際の背中を撫でる感触が、違和感を増幅させた。
「な、な……っ」
 見下ろすと、私はヨレたスラックスではなく……少女と同じ、素足に短めのスカートを穿いていた。床の冷たい感触が、足の裏に直接当たっている。
 ぺたぺたと顔を撫で回すと、ボリュームのある長い髪が指に絡まった。
 眼前に持ってくると、少女と同じ、透き通るような青色をしていた。
「問題ない」
 落ち着けといわんばかりに、少女の冷静な声が私に向けられる。
 年齢も服装も、性別すらも変化して。
 あきらかに異常で。
 それなのに。
「問題ない」
 私は少女と同じ台詞を言い、抑揚のない声で頷いた。


 記録七日目。
 地球は、狙われている。
 侵略者であるJOFU第七星団の到着はもう間もなくだ。記事など書いている場合ではない。

 かつて彼等によっていくつもの文明を滅ぼされたFST第四宇宙は、復讐のため地球人に戦う力を与えた。
 何事にも動じない、冷静な判断力。
 あらゆる者を惹き付けてやまない神秘的な容姿。
 そして、固有の特殊能力。
 この三つの武器を使い、地球を守る。
 その使命を受け取りし者。
 それが、私たち≪レシーバー≫だ。





つづかない

投票者に感謝
ありがとうございます
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No title

誰か説明してくれよ!

コメントありがとうございます

>N.D さん
> 誰か説明してくれよ!
電波女の相手は青春男にしか務まらないようです


リクエストありがとうございます
方向性は憑依モノの黒い話ででいかせて頂きますので
今回は別の単語を使用する事をご容赦ください
プロフィール

巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

・当ブログのリンクはご自由にどうぞ
・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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