ネコス83

女体化済みの喫茶店のマスターが
クセのある仲間たちとぐだぐだ会話をするだけのSSです



 みなさまこんにちは。
 さよならだけでは寂しすぎるので美少女のキスが欲しい『ネコス』の美人マスターです。男は帰ってください。

「というわけで青葉ちゃん。キス・マイ・アスです」
「喧嘩を売っているんですか? 兄さん」
「え、いまのって『キスして欲しい』の最上級系じゃないんですか?」
「え?」
「え?」
 お互いきょとんとしています。
 どうやら変な意味で伝わってしまったみたいです。やっぱり英語は苦手ですねー。
「……兄さんはいろいろパーフェクトなのにバカですね」
「褒めるかけなすかどっちかにしてもらえませんかねー」
 相変わらず、息をするようにお姉ちゃんをディスる子です。
 昔はお兄ちゃんお兄ちゃんっていつも私の後をくっついて来ていたんですけどねー。
 お兄ちゃんがお姉ちゃんになってから、なんか冷たいです。ミステリーです。
「兄さん。おかわりを」
「はいはーい。毎度ありがとうございます」
 青葉ちゃんが空のカップを振るので、私は再び紅茶を淹れます。
 今日はやけに注文してくれます。餞別代りのつもりでしょうか。
「お待たせしました。アールグレイです」
「ありがとうございます。……そういえば兄さん、いつまで女のままでいるつもりですか?」
「はい?」
「最後なんですから、男性マスターとして私に紅茶を振舞ってください。その方が萌えますので」
「実のお兄ちゃんに萌えとか微妙な気分になるのでやめてください。……それに、私はもう二度と男に戻るつもりはありません」
 たまにTSブレンドを使って男の身体に戻るときもありますが、もはや私は美人マスターとしての姿が基本になっています。
「どうしてですか? 女が『美しい』『可愛い』ともてはやされるのは若いうちだけです。中年になったら、むしろ男性の方が魅力的になります」
「各方面に敵を作るような発言は控えましょうねー」
 オジサマ萌えと同じぐらい熟女萌えだっているんです。
 というか、青葉ちゃんが男性に対して萌えだの魅力的だのやけに肯定的な意見をしています。百合っ娘のくせに珍しいです。
「どうしてですか。なぜ、そこまで女の姿にこだわるんですか」
「TSは性癖ですからねー。好きなものは好きだからしょうがないです」
 語ろうと思えばいくらでも語る事ができますが、結局はそういうことです。
 それに私は、美しい女性に変身できるのなら一生男に戻らなくてもいいと思っていました。そのぐらいの覚悟は完了しています。
「……店がなくなれば、兄さんはもう『美人マスター』ではないんですよ? それなのに……!」
 なんだか青葉ちゃんは必死で私を男にしようとしています。そんなに今の私が嫌いなんでしょうか。
 普段は無表情な彼女の、わずかに見せる悲しげな顔が、決心を鈍らせ……ません。
 私はこれから先も女の子です。私、美人マスターですから!
「いいですか、青葉ちゃん。私は、美人マスターを名乗りたいからお店をやっていたわけではないんです」
 子供を諭すように、優しい声色を使って言ってあげます。
 こころなしか潤んだ青葉ちゃんの瞳が、私の次の言葉をじっと待っていました。
「ついに、『ネコス誕生秘話』編が始まるんですね」
「最終回の放送予定日は変わりませんけどねー」
 っていうか空気呼んでください。
 いま、真面目なシーンなんですから。
「いいですか、青葉ちゃん。私がお店を始めたきっかけは……」
「きっかけは?」
「『綺麗な女性がマスターやってる喫茶店は流行るな!=大儲け!』と思ったからです!」
 ここ、効果音です。どーん! です。
「( ゚д゚ )」
「あれ? 青葉ちゃん? 面白い顔してどうしました?」
 やっぱり姉妹ですねー。私もよく同じ顔をしたものです。
 ……つまり、ショックを受けているってコトなんです? え、どうしてですか?
「フッ。百年の恋も冷めました」
 妙に気取った台詞で、悟りを開いたような顔をしています。
「そうですね。兄さんは夢見がちなくせに現実主義者でした」
「ちゃんと現実見ていますよ!?」
 先立つものがなければ明日の御飯も食べられません。
 生きていくためにはお金を稼がなくてはいけないのですよ!
「……なんだか疲れたので帰ります」
「あ、ではお会計を────」
「兄さん」
「はい?」
 呼ばれて振り向いた瞬間、
 頬に、
 青葉ちゃんの柔らかい唇が触れました。

 ────ちゅっ
「ぺびゃあ!?」
「キス・ユア・チーク。ということで」
「あび、あふあぼ、青葉……ちゃ……」
「お釣りはいりません。とっておいてください」
 混乱するマスターを尻目に、ほっぺにちゅーした青葉ちゃんは表情一つ変えずにお店を出て行きました。
「……っていうか、食い逃げ……です」
 ちゅーされたほっぺをおさえながら、へなへなとカウンターに突っ伏します。
「うぇっへへ~」
 やっとデレてくれた妹を思い、頬が緩みます。料金プライスレスです。
 それだからお店が立ち行かなくなるんだという言葉は聞こえません。
 私、美人マスターですから!




青葉イメージ+一コマ
青

青葉:マスターを困らせるマン
    特に反省すべき点が見当たらない
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巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

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・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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