ネコス84

女体化済みの喫茶店のマスターが
クセのある仲間たちとぐだぐだ会話をするだけのSSです



 みなさまこんにちは。
 ありがとうございます。さようなら。また会いましょう。

「マスター。僕との会話をその四つだけで終わらそうとしないでくれ」
「あははーウザイですー」
 というわけで改めてみなさまこんにちは。
 ウザイお客さんこと赤井さんに絡まれる『ネコス』の美人マスターです。今日でいよいよ店じまいです。
「あなたの顔も今日で見納めですねー」
「何を言っているんだい、マスター。明日からは毎朝顔を合わせるんだろう? 夫婦として、ね」
「あなたの妄想は時々ウザイを通り越して気持ち悪いので自重してください!」
 まったく飽きもせず世迷い言をほざく男です。
 私が元男だと知っていてなおこんなことを言うのですからウザイことこの上ないです。
 私はずっと女のままでいると言いましたが、野郎なんざと恋愛するつもりはこれっぽっちもないんですよ。
「マスター。僕は君の事を理解している……君は、生涯を独りで過ごせる人間ではないよ」
「ぎく」
 ばれています。隠していたつもりはありませんが、私が孤独が大嫌いだという事がばれています!
「愛を無理強いするつもりはない。利用するなら思う存分にしてくれ」
 赤井さんが、私の手を握ります。
 カウンターを隔てた向こう側で、彼が真っ直ぐに私を見つめます。
「マスター。僕と、一緒に暮らさないか?」
「う、うざい……です」
 ああもう。言葉にチカラが入りません!
 いつもひょうひょうとしているくせに、なんでこんなときだけ真剣な眼差しを向けやがりますか!
 いえ、ドキドキしていませんよ!? 私、美人マスターですから!
「乙女の手を断りもなく握るなんて、通報されても仕方ないレベルですよね」
「照れ隠しする君も素敵だが、今日はごまかされないよ。返事をするまで離すつもりはない」
「せ、セクハラです!」
「そんなに強く握ってはいない。僕と暮らせないのなら、君が自分から振り払ってくれ」
 なんて事を言いながら、赤井さんの手が私の右手を包みます。
 ……手、大きいですね。いえ私が小さくなったのでしょう。
 手だけではなく、身長も、体付きも、「男」だったときの自分とは大違いです。
 当たり前です。私は念願の女の子になったのですから。
「わ、私は……」
 だからこれは、仕方のないことなのです。
 男に迫られてドキドキしているのも、赤井さんの申し出を嬉しく思うのも、「女」になった私が反応してしまうせいです。
「本当に……私を独りにしませんか?」
「約束する」
 何の保証もない無責任な言葉です。
 『うそつき』と言って泣く私の姿が目に浮かぶようです。
 ……なのに、その約束を信じてしまいたい自分もいました。
「では……」


 ────カランッ

「兄さん。親衛隊(笑)を連れてきました。彼らの財布はここでその役目を終えるそうです」
「いいか皆の者! 一円たりとも『ネコス』の外に持ち出せると思うな!?」
「イエッサー!」
「青葉さん。僕は……!」
「青田君は早く女体化してメイド服に着替えてください」
 来客鈴が鳴り、青葉ちゃんとそのファンたちとバイトのアオちゃんがお店になだれ込んできました。

 ────バァン!

「赤井! 見つけたぞ! 俺と付き合えーーーーッ!」
「紫よ……もう一度性格改造手術を受けてくれい!」
 扉が思い切り開き、熱血な紫ちゃんとドラゴ○レーダーみたいな発明品を持った彼女の祖父がご来店しました。

 ────カラン

「今日の目標は、このお店にいる人たち全員の性転換よ!」
「俺の彼女がはた迷惑すぎる……」
「まぁ。小さなお店ですこと。こんな場所、買い取る価値もありませんわね。おーほほほ!」
 変なカップルと着物姿のテンプレなお嬢様がやってきました。お嬢様にいたっては誰だコイツです。

「( ゚д゚ )」
 さて、いまだに私と赤井さんは至近距離で手を握って握られている状態ですが。
「(  ゚д ゚)」
 しかしお客さんがたくさんです。
「( ゚д゚ )」
 かつてないほどの満席です。
「\(>ヮ<)/」

 私は、独りじゃありません。
 両手を挙げた拍子に赤井さんの手を振り払ってしまいましたが、いまから忙しくなるのでそんなことに構っていられません。
 っていうか、さっきの空気はナシです! あやうくトンでもないことを受け入れそうになりました! っぶねー! ですッ!
「着替えてきたよ、青葉さん」
「GJです青田君。さすがは私の恋人です」
「あーかーいー!」
「紫や。とりあえず働いたらどうだ」
「の、能力が発現しない! ここにはやっぱりTSキャンセラーがいるわ!」
「俺の彼女が人妻になっても中二病過ぎる!」
「……ふっ。水を差されてしまったね。マスター、いつもの」
「了解ですー」

 バイトが走り回るほど賑やかな店内で常連客のオーダーを通し、厨房へ向かう美人マスター。これぞ、私の思い描いていた理想です! なんか泣けてきました!
「っと、私とした事が」
 お店をやる者として、お客さんたちへ言い忘れてはならない台詞を忘れるところでした。
 私は騒がしいホールの人々に、胸いっぱいのきもちをこめてこの言葉を叫びます。

「みなさまいらっしゃいませ。『ネコス』へようこそー! です」




 まだ終わりじゃないぞよ

赤井イメージ+一コマ
赤

赤井:女体化ものにはときめかせ役が必要と思い初期から登場
   正体不明だがIと違っていいカンジに動いてくれた
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巫

Author:巫

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・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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