亡霊犯+ ~廃校の亡霊1

一ヶ月暮ぐらい間を空けての更新です

投票していただいた方々に感謝します

原作にあった肝試し編が見たいというリクエストがあったので
美味くできるかはさておいてやってみます
各キャラの個別エンドもそのうちやります

表のほうには被害者視点
裏のほうでは主人公視点
で公開していく予定です

とりあえず被害者の右往左往を進めていきます
まだ憑依要素は在りません
亡霊犯+  ~廃校の亡霊・表 1

 もしかしてこれは夢じゃないかと、何度思ったか。
 正直、幸せすぎて怖いぐらいだ。
「どうしたの、滝沢君?」
 隣に座る月山かれんが、俺の名前を呼んで視線を交わらせた。
 くりくりとした丸く大きな瞳が少しだけ上目遣いになって不思議そうに首をかしげている。その仕草は小動物っぽくて、ああやっぱり月山は可愛いなぁ、なんて当たり前すぎる感慨に浸るわけだ。
 こんな子が俺の彼女だなんて、幸せ以外の何ものでもない。
「かれん。その男は今、かれんの裸を妄想している」
「ふえぇ!?」
「い、いきなり何言っているんだよ、七倉」
「男は皆そう……可愛い女の子を見れば服を切り裂いて裸を想像し、乱暴することしか考えていない」
 ボックス席の対面に座る背の低い女……七倉はどこか遠い目をして、偏見に満ちたことを語りだした。
 何も知らない人間なら、彼女が以前男でひどい目に遭ったのかと勘違いしてしまいそうになるが、あいにく俺は七倉がどんな女かそれなりにわかってきている。
 かれんの親友で、かれんの傍にいるためなら平気で人の事をけなすちびっこ──それが、七倉長見だ。
「さ、かれん。そいつから離れてワタシの隣に。むしろ膝の上に」
 言いながら、ぽんぽんと自分の膝をたたく。自分の方がかれんより背が低いくせに、なかなかチャレンジャーだ。
 七倉の隣に座る温井は苦笑を浮かべて「滝沢の隣なんて嫌なんだけど」と抗議している。うるせぇ、俺だってお前の隣なんて嫌だよ。
「えっと……」
 かれんは俺と七倉の顔を何度も往復して、おろおろしている。親友と恋人のどちらを取るか真面目に悩んでしまっているようだ。
「月山。七倉とは旅館で同じ部屋だろ?」
「う、うん」
「じゃあ、それまで少しでも長くお前と一緒にいたい。嫌か?」
「そ、そんなこと……」
 真っ赤な顔をして、ふるふる首を振る。
「ふふん」
 『どうだ、これが彼氏パワーだ』という目で、七倉を見下してやる。俺の、勝ちだ。
「かれん」
 しかし七倉は諦めが悪かった。
「ワタシ達はずっと親友。そう、約束した」
「長見ちゃん……うん。わたしも、長見ちゃんが大好きだよ!」
「じゃあ。こっちに」
 と、温井の肩をぐいぐい押しながら自分の隣に誘ってくる。
「ふっ」
 その目は『どうだ、これが友情パワーだ』といわんばかりに得意気だった。
「……」
「……」
 俺と七倉はお互い無言で眼光を飛ばし合い、火花を散らす。
 今は俺の隣に座っているとはいえ、優しいかれんのことだ。油断するとすぐに七倉の方に転んでしまいかねない。
「あ、じゃあオレの隣にかれんちゃん、滝沢の隣に七倉が来るってことで!」
「ない」
「それはない」
「ごめんなさい」
「ひでぇ!」
 温井のことはさておき、俺は七倉との睨み合いを続けていた。
「あら~、なんだかピリピリしてますねぇ」
「ですなぁ」
 七倉の席の後ろから、背もたれ越しに二人の女が顔をのぞかせる。
「これからみなさんで遊ぶのですから、仲良くしましょう?」
 おっとりとした声と言葉遣いと細い目が特徴的な、川俣真衣さん。一応同じクラスだけど、交流はほとんどなかったから話すのはこれが初めてだ。
 さらさらとした黒髪と、口元にいつも湛えられている優しそうな微笑み。それに加えて、この前行われた『学園納涼祭』のコンテストでは優勝候補を下して見事に一位に輝いた、全男子生徒の注目する和服美人である。
 正直、かれんという恋人がいるにもかかわらずドキッとしてしまうことも少なくなかった。なにより、この中にいる誰よりも大人っぽい。
「あんまりかれんちゃん困らせていると、アタシん所に引き込むからね。こっちの席は一つ空いているんだから」
 クラス委員長の岩屋が、七倉たちの背もたれに肘をつきながら白い歯を見せて笑う。
 陸上部らしく日焼けした肌が健康的な魅力を放出していて、男子顔負けの高身長やそのサバサバとした性格から男子より女子に人気の高い女だ。
 つまり、この電車内における『かれん争奪戦』のライバルでもある。
「月山は、俺の隣にいてくれるよな」
「え、えっと」
「かれんはワタシのこと、嫌い?」
「えうぅぅぅ?」
「かれんちゃーん。ヘイカモーン!」
「はうー!?」
 奇妙で可愛らしい悲鳴を上げて、かれんがオロオロしている。なんか、この慌てる様子が見たくてわざと困らせている感もないではないが、おそらくそれは七倉や岩屋だって同じだろう。
「うるさいぞ、静かにしろ」
 岩屋の更に後ろから、姿は見えないが男の声がする。
「ここは電車の中。つまり公共の場だ。くだらないことでいつまでも騒ぐんじゃない」
「おーおー、相変わらずカッチカッチのストーンヘッズだねぇ。しのぶちゃん」
 岩屋が正面に向き直り、奥の席に座る男に軽口を飛ばす。
 けれど、奥の席にいる男……上野忍は、声色一つ変えずに喋り続けた。
「下の名前で呼ぶな。それに僕は、間違った事を言ったつもりはないが?」
「いや、そーだけどさ。空気読もうよ、空気」
「もちろん読むとも。ただ、僕は一グループの小局的な雰囲気ではなく、この電車の中という大局的な視点からの発言を優先する。お前達以外の乗客の空気を読み、僕がそれを代弁したに過ぎないのさ」
「あーッ! ごちゃごちゃとワケわかんないこと言うなー!」
「……また始まった」
 岩屋と上野は幼馴染らしいが、理屈っぽい上野とはどうもソリが合わないらしく何かと対立している。正直、なんで仲良くやっているのか不思議なぐらいだ。
「だめですよぉ。利香さんも上野君も、仲良くしましょう~?」
 二人と同じボックス席にいる川俣さんが、のんびりしながらもどこか悲しそうな声で険悪になってきた二人をなだめる。
「僕はケンカをしているつもりはない」
「アタシだって!」
「あらあら~」
 頬に片手を当てて、いかにも『困ってます』といったポーズをとる。そんな場合じゃないが、妙にしっくりしていた。
 俺もできることなら川俣さんに加勢して二人を落ち着かせたいが、いまこの席を離れると目の前の妖怪ツインテイルが間違いなく奪ってくる。実際、七倉は背後の空気なんか知らん顔してずっと俺を睨み続けていた。
 カレシの威厳にかけて、この場を離れるわけにはいかない。
 それに、少なくともこの旅行が終わるまでには彼女を下の名前で呼ぶようになりたい。心の中だけでなく声に出してだ。
 そのきっかけがいつ来るかわからないから、俺は出来る限りかれんの傍にいたかった。すまない、川俣さん。
「……」
「……」
「えうー……」
「……」
「……」
「あらー……」
 嫌な沈黙が流れる。
 楽しい旅行のはずなのに、しょっぱなからケチがついてしまった。
「結局、オレの隣にかれんちゃんが来るってことでオーケー?」
「ない」
「それはない」
「ごめんなさい」
「ありませんね~」
「ねーよ」
「寝言は寝て言え」
「フルボッコ!?」
 六人全員の息がピッタリ合った瞬間だった。


 恋人の月山かれん。かれんの親友で俺のライバル、七倉長見。
 クラス委員長の岩屋利香。おっとりとした川俣真衣さん。
 ムードメーカーの温井。生真面目な上野。そして、俺。
 この七人で、一生忘れられない思い出を作っていこう。
 今から楽しみだ。




リア充め
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No title

次回は亡霊たちの出番でしょうか?期待しています!

コメントありがとうございます

> John さん
期待に応えられなかったです…
亡霊の出番は裏で公開しますのでお待ちいただけると嬉しいです
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巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
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・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

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