雑記 &サンプル的な

そろそろ裏の方で広告が出始めてしまう…何か更新せねば

それはともかく
前回お伝えしたように夏の某ビッグなイベントに受かったので「朱-Aka-」の影響を思いっきり受けた新作を拵えました
ので、サンプルとして1/4ぐらいの文書を置いておきます

エロのない、シリアス風味の物語です
製本はまだなので販売形式はいまだ不明です。たぶん、コピー本

次はダーク用に何か拵えたいですね。締め切りの許す内にですが
「世にも奇妙な」ゲーム版は無理ということがわかりましたです
でもきっと、そのうち……!

また、いろいろ先が見えたらご報告します
あと一ヶ月と一週間……!


<貴方との証>

 風のそよぐ音が、懐かしい記憶を蘇らせる。
 彼女と出会った日のこと、別れた日のこと。目を閉じればいつだって色鮮やかにまぶたの裏を彩り、懐かしさと愛おしさと悲しみが胸を締め付けた。
「……」
 山頂から流れる風に長い髪を遊ばせたまま空を仰ぐ。雲ひとつ浮かんでいない澄んだ色をした空は、今日も砂地を焼き、旅人を苦しめているだろう。
 遥か地平線まで続く熱砂に耐え、時には自分の背丈をも上回る砂丘を越え、最低でも一昼夜をかけて歩き続けようやく隣の街に辿り着くのが当たり前の土地で生きてきた。
 しかし今の俺は、その頃には想像もしていなかった暮らしをしている。
 毎日のように砂地を踏み街から街へ流れることもなく、自らが育てた薬草の香りに囲まれた穏やかな日々をこの岩山で過ごしている。
 彼女が今の俺の生き方を知ったら、驚くだろうか。
 良かったと、笑ってくれるだろうか。
「……どう思う?」
 朽木を突き立て、小さな花を添えただけの簡素な墓に話しかける。
 まるで俺の言葉に反応するかのように一際強い風が吹き、黄色い花弁が音もなく砂地へと旅立っていった。

****

 命なんて安いものだ。
 世の中が乱れると特にそう感じる。
 疫病、飢饉、貧富の格差、そして内外からの脅威。力を持たない人間から次々に倒れ、裏路地には死体が積み重ねられるこの世の中を生き抜くのは容易いことではない。
 日々を生きるのに精一杯で、しかしそういった精一杯でさえ、理不尽な暴力によって唐突に踏み潰される。
 彼女も、そういった乱世の被害者だった。男の肉欲のはけ口にされかけていた、と言い換えてもいい。街から街を渡り、護衛などで収入を得ていた俺が偶然その場面と出くわしたのは、まさに運命のいたずらだった。
 もちろん、街のチンピラ程度に後れを取る鍛え方はしていない。特筆することもなく、ほんの一振りで暴漢を追い払ってやった。
「た、助けていただいて、ありがとうございます」
 そう言って頭を下げた女は、しかし何か気がかりといった感じに、暗い顔で地面を見つめていた。
「どうした?」
「い、いえ……その、あの男の人……」
 暴漢が悲鳴を上げて逃げ去った方角を見つめる。男の流した赤黒い血痕が、石畳の上に点々と続いていた。
「大丈夫、でしょうか」
「なにがだ」
「えっと……なんていうか……斬られたら、痛いじゃないですか」
「…………そうだな」
 むしろ痛いで済めば儲けものだ。
 男が得意げに振りかざしていたナイフは俺の肉を抉る役目を全うすることなく、地面の上に置き去りにされたままになっている。
 街から一歩出れば砂漠が広がるこの土地では、小さな傷さえ命取りになる。俺のような護衛を生業とする者ならば特にだ。
 だから、例え相手が素人だろうと、こちらは全力で応じるだけだった。その結果命を失うことになっても、刃を向けた以上はその覚悟をしておくべきだ。
「余計な世話だったか?」
「い、いいえ! そんな! 助けていただいたことには心から感謝しています! ええ!」
 わたわたと慌しく手を動かし、ちぎれそうなほど勢い良く首を振る。
(まぁ、いい)
 感謝の言葉を期待して助けたわけではない。そもそも女が襲われていたから助けたというわけでもなかった。
「女、一つ教えてくれ」
「は、はい、なんですか?」
「宿はどこだ?」
 なんとか人の暮らす土地へたどり着いたはいいが、迷いに迷っていつのまにか裏路地にまで入ってしまった。おかげで着いた早々に治安の悪さを見せ付けられる始末だ。
 断じて俺が方向音痴というわけではない。このエトラとかいう街は、荒涼とした砂漠に比べて路地やら建物やらが多すぎるのだ。
「……」
 女はきょとんと目を丸くして、じっと俺を見つめている。しかしそれもやがて、満面の笑みに取って代わった。
「それじゃあ、一緒に探しましょうか」
「なに?」
「えへへ、実は私もこの街に着いたばかりで、どこに何があるのかさっぱりなんです」
 よく見れば、女の足元には大きな荷物があった。つまり、こいつも俺と同じく街から街を流れる旅人というわけだ。
「……邪魔したな」
 きびすを返し、再び宿を探す。無駄な時間を食ってしまった。
「あ、あぁ~。待ってくださいよぉ。一緒に探しましょうよー」
 とても先程まで暴漢に怯えていたとは思えないのんびりとした声で、女が俺を追ってくる。
 俺はそれを無視して、歩き続けた。


 日が落ちた頃になってようやく宿の明かりを見つけた俺は、さっそく部屋を取り旅路で疲れきった身体を癒していた。
「ふぅ……」
 砂を落とし、武器と防具を外す。
 先のこともあり、いつ盗人が入ってくるかも分からないので剣はすぐ手の届くところに置いた。
「ん?」
 扉を叩く控えめな音がして、鞘から離しかけた手を握り締める。
「誰だ」
「あ、あのぅ……私です」
 扉の向こうから、少し萎縮気味な女の声がした。
「娼婦など頼んだ覚えはない」
「しょっ!? ち、違います! ほら、さっき助けていただいた者ですぅ!」
「……あぁ、お前か」
 どうやら暴漢から助けた女が訪ねてきたらしい。
 あのあと、特に振り切る理由もなく無視していたら、結局同じ宿に泊まる事になったのだった。
「何の用だ?」
「えっと、入ってもいいですか?」
「構わない」
 剣を脇に置いて、部屋の中央で出迎える。しばらくすると、遠慮がちに扉が開いた。
「えと、こ、こんばんは……」
 やや緊張したような笑顔とともに現れたのは、確かに夕刻に出会った女だった。
 あの大きな荷物は背負っておらず、変わりに小さな袋を腰に下げている。
「その……夜遅くすみません。助けていただいたお礼を、ちゃんとしていなかったので」
「気にするな」
「それに、宿も一緒に探してくれましたし」
「……気にするな」
 お前が勝手についてきただけだ、という言葉は呑み込む。
 それにしても、夜分に女が男の部屋を訪ねてきて『お礼』だと? 聞く者が聞けば襲われても文句は言えないな。
 ひょっとすれば暴漢に絡まれていたのも、この女のそういう無用心さが招いた結果かもしれない。よく見れば体付きも十分に成熟し、好みはあるだろうが身体目当てて襲い掛かるのも納得のいく美しい顔立ちをしていた。
「むぅ、ひょっとして、私のこと無用心なマヌケ女だって、そう思っています?」
「どうかな」
「……いいんです。私、よくとろくさいって言われますし」
「よくわかる」
 喋り方もそうだが、この女は仕草が全体的にのんびりしている。『おっとりしている』と言えば聞こえはいいが、この土地で旅をするには不向きの性格といえよう。
「それで、用件は?」
 唇を尖らせて拗ねてみせる女に、もう一度同じ質問をする。明日は早く起きて仕事を探したいのだが……。
「いえ、ですのでお礼を。本当に、助かりました。ありがとうございます」
「ああ」
 いい加減、相手をするのが面倒になってきた。言葉だけ受け取ってさっさと追い返した方が良さそうだ。
 しかし女はなかなか部屋から出て行かない。
「まだ何かあるのか」
「えっと……その…………実は、お願いがあって」
 どうやらそっちが本題だったらしい。
 とろくさそうに見えて、案外抜け目のないところもある奴だ。
「実は私、旅の薬師なんです。といっても、普段は三つの街をぐるぐる回ってるだけですけど」
 ぐるぐるーと呟きながら、指先で虚空に円を描く。
 医療の心得を持つ薬師は、この渇いた地では希少な存在だ。それが一つの街に留まらない旅人ともなればいっそう珍しい。
「だが、さっきはこの街に初めて来たような事を言っていたが?」
「えぇ、嘘じゃありません。ここは普段回っている土地じゃないんです」
 女は笑顔のまま、ここより遥か西方に連なる山脈を目指すのだと言った。
「ダクト山脈か」
「えぇ、そんな名前でしたね。そこに行くなら、このエトラが一番近いと聞きました」
 確かに、ここはダクト山脈への玄関口とも呼べる街だ。とはいえ、山脈の麓にたどり着くことさえ三日掛かりの距離がある。
 女の脚ならばそれ以上だろう。
「私、『万能薬』という薬草を探しているんです」
「万能薬?」
「はい。噂だと、ダクト山脈のどこかにあるって」
 苦笑いを浮かべながら、女はその薬草について語った。なんでも万能薬はその名の通り、あらゆる傷や病を一瞬で癒してくれる代物らしい。
「バカバカしい、そんなものが存在してたまるか」
「私もそう思います。でも、ちゃんとこの目で確かめたいんです」
 真っ直ぐ俺を見つめ返す女の瞳に、迷いの感情はない。無駄足は覚悟の上、ということか。
「ただ、なにぶん街以外の場所を目指すのは初めてですので……。旅慣れした方の案内でもあれば安心できるかな、と」
「つまり、仕事の依頼か」
 こちらとしては渡りに船だ。断る理由はない。
「しかし良いのか? 俺のような人間を雇っても」
 鞘に収まったままの剣に視線をやる。俺の言わんとしていることを理解したのか、女の顔つきがわずかに曇った。
 自分を襲った暴漢にさえ情けをかけていた女だ。俺のような、力を振りかざすことしか知らない人間などもっとも嫌悪する人種ではないだろうか。
 俺だって好き好んで剣を振るっているわけではない。必要ならば人を躊躇なく殺せる程度の腕と覚悟を持っているだけだ。
「……できれば、誰も傷つけないでください」
「また随分と厳しい条件だな」
「はい。今までの方、全員そう言っていました……」
 目を伏せてしょんぼりとした顔をする。
 どうやらこの街にたどり着く前も護衛の依頼をして断られてきたらしい。それでも旅を止めようとはせず、たった一人でこの山脈の玄関口まで辿り着いたのだろう。
 街から街への移動とは比べ物にならない厳しい行程を、旅に不慣れな女が単身で乗り越えられるとは、到底思えなかった。
「報酬は倍だ」
「え?」
「それで受けてやる。一人も殺すことなく、お前を守り通して見せよう」
「ほ、本当ですか? ありがとうございますッ!」
 感極まったように声を張り上げ、両手を組む。しかし俺はそんな女に釘を刺しておいた。
「最優先は護衛対象のお前だ。いざとなれば剣を抜くが、文句は言うなよ。……もちろんその場合、報酬は通常の額でいい」
「は、はい……やっぱり、そうですよね。いえっ、心掛けて下さるだけでも十分です!」
「では、契約完了だ」
 契約証も何もない口頭での取り決めではあるが、ひとまずこれで仕事が決まった。
 あとは、出来る限りの範囲で女との約束を守るように心がけていこう。
「あ、そういえばまだ名乗っていませんでしたね」
 ふと思い立ったように佇まいを改め、笑顔のまま深々とお辞儀をしてくる。
「私、薬師のフィンといいます。短い間ですが、よろしくお願いします」
「ああ」
「ん……それだけ、ですか?」
 責めるように、あるいは拗ねたような視線で俺を睨みつける。ころころと表情の忙しい娘だ。
「アバンだ。……これでいいか」
「はいっ、アバンさん!」
 俺の名を呼び、また笑顔に戻る。
 何がそんなに嬉しいのか、彼女はいつもこうして笑っていた気がする。
 同じぐらい、悲しい顔も多く見たと思う。
 俺とフィンの旅は、そんな旅だった────。





こんな感じで、半分は普通に男女の旅モノです
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Author:巫

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・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

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・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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