夏のイベント14日前 +SS +追記

あと二週間です
改めて通達を

【8/14 金曜日 東地区 "ヘ" ブロック 51a  五千円です】

釣銭は持ったか?
ペーパーの用意は?
在庫を大量に持ち帰る心の準備はOK?


頒布物は
黒組やABCシリーズの中から抜粋したSSに新規のSSを加えた
『13 possession』
以下がページ数と各話のタイトルです

2p  サンキュー神様
6p  満員電車
12p 性格の不一致
17p バレンタイン前編
21p バレンタイン後編
25p 誘拐犯の影響
32p 詰め込まれた知識
37p 権力者の嗜み
41p 悪夢
47p 最近俺の妹が以下略
50p 幸せ強盗
53p 溶けた誇り
58p 入退院  new!!
62p 宇宙人VS原住民



それと、学校であったTSい話のタイトルを変更した
『世にも奇妙なTS語り』

そして、以下に載せる
『フタリの証し』
内容は……エピローグのみ、未公開にします
物語としては完結しているので問題ないはずです
後日思い直してブログで公開する可能性が高いですが、ひとまずエピローグ付きは会場販売のみの冊子で


各種お手にとっていただければ重畳です
それでは、会場にてお待ちしております



8/15 追記
コミケ一日目お疲れ様でした
スペースに立ち寄っていただいた皆々様に感謝します ありがとうございました


というわけで前回の続きを最後まで公開します
会場でお買い上げ頂いた皆様には心苦しいですが、
「前置きがない」「一気に読める」「紙媒体」ということでご了承頂ければと思います
<フタリの証し>


 エトラの街でしっかり準備を整え、一人きりで越えた砂地を今度は三人で進む。
 ローグを先頭に、ときどきセピアの手に引かれながら、俺も後に続いた。
 途中で泉に立ち寄ることもなく、前回よりも遥かに短い時間で山脈に辿り着く。
 あのときと変わらず荒涼とそびえ立つ岩山が、行く手一杯に立ち塞がっていた。
「ここから真っ直ぐ登れば、草原に突き当たる。今日はそこで休もう」
 二人の前に立ち、今度は俺が導く。
 目印も何もなかったが、この道で間違いはないという確信はあった。
 砂地に面しているからか、積雪はない。溶けかけたわずかな残滓を岩陰の隅に見かけるだけだ。
「ほら、セピア」
「う、うん。ありがと、ローグ」
 手と手を繋いで山道を進んでいく二人の姿に、かつての自分たちが重なる。
 胸の奥がきゅぅっと締め付けられるような気持ちに、またしても涙腺が緩み視界が滲み出す。それを気取られまいと、俺は前を向いた。

 岩山に広がる草原は、ここへ辿り着くまでに費やした気力を癒すかのように、優しい風と草の香りで満たされていた。
 先人が建てたと思われる小さな山小屋があることからも、ここはそういった憩いの場所なのだろう。
 かつて俺とフィンが辿り着いたときと何も変わらない風景──しかし緑の生い茂る土地の一部には、明らかに最近になって人の手が加えられた形跡が残っている。
 土を盛り、地面に枯れ木を突き立てた簡素な墓が、そこにはあった。
「この墓、あんたが?」
「ああ……」
 墓標の前に膝を着き、両手を合わせる。
(俺のような人間を生かして……なのに、お前は)
 あのとき、確かに彼女は『よかった』と言って微笑んだ。
 その言葉が真実なら、彼女は悔やむことなく逝けたのだろう。しかし俺には後悔しか残されていない。
 ちゃんと手と手を繋いで進んでいれば。
 万能薬など見つけなければ。
 俺と出会わなければ。
 さまざまな『もしも』が浮かんでは、陽炎のように消えていく。
「……大切な人、だったんですか?」
「そうだな」
 たとえ後悔しかなくとも。
 俺の中に残されたものは、フィンへの想いだけだ。
「ぅぇぇぇ……」
 岩の鳴き声に酷似した声を暗闇の中で捉え、目を開く。
「聞こえたか?」
「は、はい。子供の声……ですよね」
 セピアも頷き、きょろきょろと辺りを見回す。
 こんな山の中腹で子供の声が聞こえるなど、普通に考えればありえない。だが声は確かに風に乗って聞こえてきた。
「……こっちだ!」
 ローグが草原を駆け、声のする方に向かう。
 足元の緑が途切れ、不毛の岩肌に長く伸びた自分たちの影が映る。
 しばらくもしないうちに、山頂まで続いているのではないかと思うほどの切り立った高い岩壁にたどり着いた。
「あ、あそこ……!」
 セピアが声を上げ、岩壁の根元を指差す。
 そこには幼い少年と少女が座り込んでいた。
 子供たちの眼前には一頭のラバと、二人の大人が倒れている。近くには荷物が散乱し、干し肉や水、塩などの食料品が投げ出されていた。
「ね、ねぇ、どうしたの? 大丈夫?」
 セピアとローグが子供たちに近づき、声をかける。
 子供たちは父親が、母親がと泣き叫ぶばかりで、全く要領を得なかった。
(……崖から落ちて本隊に見捨てられたか)
 散らばった荷物を眺め、そう判断する。
 おそらくこの一家は、セピアたちのような自称キャラバンではなく、本来の大人数で移動をするちゃんとした隊商の一部なのだろう。
 しかし隊商にとって仲間とは己の身を守るための壁であり、無理をしてでも助ける相手ではない。時には、見捨てる時だってある。
 正しいとか間違いとかではなく、そうあるように組織されたのが、正しいキャラバンだ。
「うええええええんッ!」
「どどどど、どうしよう、どうしようローグ! うえええん!」
「お前も一緒になって泣くなよ!? 俺だってわかんねぇよ!」
(……はぁ)
 バタバタと騒ぐ四人の少年少女を前に、毒気を抜かれる。
 セピアには幼い子供たちを見捨てる真似はできない。その優しさはキャラバンの隊長を名乗るには不向きだった。
 しかし、それでいいとも思う。
「ローグは男を頼む」
「は?」
 怪訝な顔をするローグを無視して、俺は倒れ伏す女を背負った。
「草原に戻るぞ」


 草木の生い茂る地に、墓標が二つ加わる。少年たちの親の墓だ。
「う、うう……ぐすっ」
 子供たちは泣き疲れたのか、涙に濡れた顔をそのままに墓の傍で寝息を立てている。
 どれだけ言い聞かせても、幼い兄妹は両親の亡骸から離れようとしなかった。土の下に埋まった今も、ずっとあの場所から動こうとしない。
「……」
 日の落ちた山中の闇は深く、土の上に焚いたかがり火だけが煌々と辺りを照らしている。
 セピアとローグは俯いたまま一言も発しない。ただ悲しそうな目をして、眠る幼い子供たちを見つめていた。
「…………」
 今にも雪の降り出しそうな、厚い空のかかった夜空を見上げる。
 夜が明ける前に、二人は選択しなければならない。
 進むか、戻るか。
 入念に準備をしたとはいえ、幼い子供を連れて行けるだけの装備はない。それは、セピアたちもわかっているはずだ。
 しかしエトラに引き返せばいいという話でもない。決して治安が良いとはいえないあの街に、自立もままならない子供たちを受け入れるだけの余裕があるかどうか……。
「あたしたちも……元はちゃんとしたキャラバンの一員だったんです」
 セピアが炎を見つめながら、ポツリと漏らす。
「でも砂嵐にあって……みんな、バラバラになっちゃいました」
「そうだったのか」
「まあな。でも、他の生き方なんか、俺たち全然わかんなくてさ」
「うん。結局、あたしたちはキャラバンの真似事をしてみようって話になったんです」
 手探りのまま見様見真似で隊商を名乗り、どうにか生きていこうとした。
 しかし二人は、非情になりきれなかった。
「自分たちのことだけで必死なのに……余裕なんか、これっぽっちもないのに……」
 それでも、二人は他人を助けた。
 行き倒れの俺に、本隊からはぐれた幼い子供に、手をさし伸ばした。
 助けるべきではなかった、とは言うつもりはない。
 ローグもセピアも、……そしてフィンも。たとえその結果が後悔しか生まなかったとしても、目の前の人間を見捨てることはしなかった。
 救える命があるのなら救いたいと思い、そのための行動をする。
 だから俺は……俺も。
「ローグ、セピア。悪い知らせがある」
 かがり火に照らされた二人の顔が持ち上がる。
 陰りの掛かった不安でいっぱいの目にさらされながら、俺は口を開いた。
「お前たちとは、ここでお別れだ」



 一昼夜をかけて雪山を越える術を伝え、その次の日の朝に俺は旅立つ二人と握手を交わした。
「すまないな。一緒にいられなくて」
「ううん、あたしの方こそ……! 二人のこと、任せました」
「ああ」
 墓標の前に座り込む兄妹に目をやり、心配そうな表情を見せる。
 幼い子供はいまだに両親の死が受け入れられないのか、沈黙を保ったままだ。差し出した食事もろくに取ってくれない。
「本当に平気なのか?」
「まあな」
 峰を越えられずとも、一つの場所に留まって生きるだけなら何とかなる。
 あの二人は今、進むことも戻ることも出来ない。ならば、見守ってやろうと思った。
 目の前にいる二人のように、少年と少女がこれから先をどう生きるのか自分自身で決めるまで、幼い二人が立ち止まるのをやめるまで、この地で眠る者と共に日々を過ごして行こうと、そう決めた。
「じゃあ……元気で」
「お前たちも」
 小さな手と大きな手をそれぞれ握り、別れる。
 二人が無事に山を越え、それでもなお旅を続け、そして俺の事をふと思い出してくれたのなら……また再び、出会うこともあるだろう。
「さて……」
 茫洋と墓を見つめる兄妹を振り向く。
 その少し離れた場所には、彼女の眠る墓標が立っていた。
(……お前の生きた証は、ここにあるぞ)
 風が鳴き、細くしなやかな髪が肩から流れ宙を踊る。
 一度も伸ばしたことのない、長い髪。呟くたびに聞こえる、高い声。
 五感が全て以前とは異なる肉体だと自覚するたびに、彼女の事を思い出す。
 だが、嘆くのはもうやめだ。
 悔やんだところで過去は変わらないし、立ち止まったところで腐り朽ちて行くだけならば、この想いを抱いたまま前に進むしかない。
 ときにはアバンであった日のことを思い出し、フィンと過ごした日のことを懐かしみながら────俺はここで、生きていく。

***

 風のそよぐ音が、懐かしい記憶を蘇らせる。
 彼女と出会った日のこと、別れた日のこと。彼等と出会った日のこと。別れた日のこと。
 砂地から舞い上がった砂塵は照りつく空を濁し、遥か地平線まで続く熱砂の海を照らしている。幼い身体で越えるには、厳しい行程になるだろう。
 あの二人は、無事だろうか。
「アーバーンーッ!」
「お姉ちゃーんッ!」
 元気な声が、麓の方から聞こえてくる。
 どうやら、俺の心配は今日も杞憂に済んだらしい。
「元気なものだ……」
 こっちは今現在、動くことさえままならない身の上だというのに、小さな兄妹は泉から汲んできた水を両手いっぱいに提げて、それでも足取りは軽やかだった。
 その底力の知れなさには、驚きを通り越して呆れるほどだ。
 しかし正直なところ、あの二人がいてくれて助かった。
 もし一人きりのまま旅を続けていたら、大袈裟でもなんでもなく死んでいたかもしれない。
「たっだいまー!」
「ただいまーお姉ちゃん!」
「ああ、お帰り。今眠ったところだから、もう少し静かにな」
 駆け寄ってきた笑顔の二人に、俺も微笑みを返す。
 表情を崩すのが不得手だった以前の自分からは考えられないほど自然に綻んだ。
 自分自身、まだ実感が湧かない。
 男だった俺がフィンの身体となり、草原での穏やかな生活を幼い兄妹と共に過ごし────子を孕み、この腕に抱く日が来るなどと、予想できたはずもない。
「赤ちゃん、寝てるのー?」
「にゃあ……かわいい~……」
 兄妹が俺の腕で眠る幼子を覗き込み、大きな目を緩ませる。
 想像を絶する痛みと共に生れ落ちた我が子は、兄妹の騒がしい声を意にも介さず、すやすやと眠り続けていた。
(……フィン)
 彼女が今の俺を知ったら驚くだろうか。
 良かったと笑ってくれるだろうか。
 そうであればいいと願う。

 俺と彼女が生きた証は、草の匂いに包まれながら、ただ静かに寝息を立てていた。





というわけで終わります
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Author:巫

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・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

・当ブログのリンクはご自由にどうぞ
・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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