TS昔話2 傘地蔵


昔話にTS要素を足して
いろいろアレな感じに改変したショートショートです



TS昔話2 「傘地蔵」

むかしむかしあるところに、傘売りのおにいさんがいました。
 おにいさんは毎日手編みの、大変可愛らしい女の子の絵柄がついた傘を売りに町へと出かけます。しかし今日も、傘は一つも売れませんでした。
 
「こんなにかわいいのに」
 桃色の髪をしたの大きい女の子の絵を見つめながら、おにいさんはため息をつきます。
 このままでは年が越せません。おにいさんは着物美女を見るだけであと十年は戦えますが、病気の兄は間違いなく昇天してしまうでしょう。
「せめて、俺のやり方が世間に認められるまでは生きていて貰いたいものだが」
 病に伏した兄に代わり、弟であるおにいさんが工房を受け継いでもうすぐ一年。売れ行きは落ち込む一方でした。
「あーあ、憂鬱だ」
 家で寝ている兄が、売れなかった傘を見たら何というか。
 またこんな変な絵をつけて! と怒るに違いありません。怒られるのはイヤですが、女の子の絵を変なもの扱いされるのはもっとイヤでした。
「む?」
 ふと気が付くと、十二体の地蔵が目に入りました。
 頭には雪が積もり、石の身体は足元が雪でほとんど見えなくなっています。
「おぅおぅ、可愛そうに。寒かろうよ」
 おにいさんは急に善人ぶって、持っている編み笠を次々と地蔵の頭にかぶせていきました。これで兄に怒られず済みます。
「これで……よし。む? 一つ足りなかったか」
 おにいさんの持っていた笠は全部で十一個でした。
 とはいえ、石のために自分の笠まで差し出してやる気はさらさらありません。在庫処分さえ出来ればそれで良いのです。
 笠がなくなり身軽になったおにいさんは、そのまま家に帰りました。

「ただいま兄者」
「おぅ、帰ったか」
 家に戻ると、病床の兄が火鉢に当たっていました。今日は調子が良いみたいです。
「どうだった。笠は売れたか?」
「いやな、町に行く途中でお地蔵様に雪が積もっていてだな」
「……ほぅ?」
「かわいそうにと思って、全部やってしまったよ」
「そうか……まぁ、お前にしては良い行いをした。お地蔵様も喜んでおられるだろう」
『計画通り』
 おにいさんは心の中で兄の信心深さに感謝し、嗤いました。
「しかし、そうなると年は越せないな……俺ももう、終わりか」
「何を言っているんだ兄者。萌え絵があれば、年越しぐらいわけがない。二人で萌えまくろうじゃないか」
「……俺にはお前のような生き方などできん」
 頭の固い兄でした。


 その晩。
 ────どんどんどん
 扉を叩く音が聞こえ、おにいさんは目を覚ましました。
「なんだよ! あとちょっとで接吻だったのに!」
 イライラしながら戸を開けると、そこには美少女がたくさんいました。
 十二人の美少女は頭に傘をかぶり、彼女たちの姿は傘に描かれた萌え絵と全く同じ姿をしています。
「おにいさん、私たちは恩返しに来ました!」
 大勢の美少女たちが一斉に口を開き、次々に食料や水、高級そうな着物や小判などを家の玄関先に積み上げていきました。いったいどこに隠し持っていたのでしょうか。
 
「うはwww ちょwww」
 おにいさんはそれを見た瞬間、イライラが消えてまるで夢の続きを見ているような幸せな気持ちに包まれます。
 これで年が越せます。やったね兄者! と病床の兄をたたき起こして喜びを分かち合いました。
 兄は『これはお前が傘を上げたお地蔵様の化身だろう。ありがたやありがたや』と時代遅れな事を言って、美少女たちに頭を下げます。
「うん? おい。ちょっと待て」
「え?」
 兄が、帰ろうとする美少女集団の一人を呼び止めます。その子だけ、傘をかぶっていませんでした。っていうか冬なのに素っ裸で、幼いカラダを惜しげもなくさらしています。
「なぜ服を着ていないのかは知らないが……これを着ろ。風邪を引くぞ」
 そういって、兄は自分の着物を脱ぎ裸の少女に着せてあげました。
「あ、ありがとう……!」
「礼には及ばん。当然のことだ」
 病人の着物で申し訳ないがな、とはにかみ、ふんどし姿になった兄は再び寝所に戻ります。
 十一人の美少女たちがいっせいに帰っていく中で、男物の着物を羽織った彼女だけは、玄関先に立ったまま潤んだ瞳で襖の閉じられた部屋をじっと見つめていました。


 翌朝。
 目が覚めると、兄は昨晩の美少女になっていました。
 それどころか、見違えるほど元気にもなっています。
「病が……治った……これも、お地蔵様のおかげか?」
 ちっちゃくなった自分の手をしげしげと眺めながら、兄は可憐な声で呟きます。
 そんな兄の姿を見て、傘売りのお兄さんは萌え転げていました。
「あ、兄者ぁ! 俺、もっともっと稼ぐからな! 一生苦労はさせないぞ!」
 白くて小さな兄の両手を握り、おにいさんは誓いを立てます。


 その後、美少女の絵ばかりではなく、月や桜や富士山といった雅な風景も描くようになったおにいさんの絵柄付き傘は瞬く間に流行りだし、いつしか匠の一品とまで呼ばれるようになりました。
 病気が治ったのだから働きたいという兄の手伝いもあって、「美少女傘職人が描く日本風景」という宣伝がさらに購買者の層を広げ、いまや一大工房にのし上がりました。
 こうして、兄弟は、いやさ幼姿の姉とその弟は、末永く幸せに暮らしましたとさ。

 めでたしめでたし。





原作の地蔵はどこから宝物を持ってきたんでしょうね
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

巫

Author:巫

・TS好きのはしくれ
・小説モドキを主に不法投棄します
・えろいといえなくもない表現を時々するため、10代前半以下の方の閲覧はお勧めしません

・当ブログのリンクはご自由にどうぞ
・ぬるい目で見守っていただければ重畳
・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
管理者の詳細

最新記事
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
FC2投票
無料アクセス解析
応援バナー
ちぇ~んじ!~あの娘になってクンクンペロペロ~
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR