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T.S.S その13

入れ替わった父娘と、女体化男子に囲まれた、TS好きな男の物語です
いつ終わるんだこれ…


前回のあらすじ
女体化男子が男に戻れなくなった
トランスセクシャルシンフォニア その13

 午前の授業を丸々サボってみると、恐ろしいほど時間の流れが速かった。
 残りの授業や掃除の時間をさらりとやり過ごし、放課後を迎えた俺が向かう先はもちろん神社だ。これで司馬の変身体質がなくなってくれればまさにグッドエンド。
 女体化ストーカーに悩まされていた日々が終わり、ようやく俺に平穏な日々が戻ってくるのである。
 ……が、世の中期待に添えないことばかりだった。
 出会いがしらに年上の巫女さんから謝られ、改めてそんなことを思い知る。
 司馬は変身体質が治ることもなく、女体化したまま元に戻れない状態がいまだに続いていた。
「……」
 男に戻れなくなったショックからか、司馬は俯いたまま一言もしゃべらない。神社から借りたのか、白い肌襦袢に包まれた美少女の肉体がしゅんと縮こまっている。
「お前、これからどうするんだ?」
 この、どこからどうみても美少女な元男が野宿なんてしていたら、この街の犯罪件数が確実に増加してしまう。
 本当なら、まっさきに家族に事情を話し、全面的にバックアップしてもらうべきなんだが……。
「ムリ。女の子になったなんて知られたら、犯されたまま殺されちゃう」
「それはもう、警察に相談した方がいいと思う」
 もしくは児童相談所な。
 しかし少なくとも本人は本気でそう思っているのか、司馬は自分の両肩を抱きすくめブルブルと震えていた。
「しょうがねぇな。俺の家に来いよ。……って、言ってくれないの?」
「ダイレクトに要求すんなよ!?」
 しかも声色まで使って! 一瞬自分で言ったのかと思ったわ!
「だいたい今のお前は女なんだし、さすがにやばいっつーか……」
「僕のこと、女の子として扱ってくれるの?」
 暗めだった顔がパッ輝く。切り替え早いな、おい。
「……そりゃ、まぁ、身体は女なわけだし」
 というか、普通女体化男子は女扱いされると怒るものなんだが。美少女ボイスで「女扱いするんじゃねぇ。俺は男だ!」なんてセリフはもはや伝統芸能の域だ。
 やっぱり司馬は、女体化男子としてどこかずれている。
 たとえ誘惑されても、コイツ相手なら理性を保つ自信があった。
「わかった。来いよ」
「ほ、ホントに!?」
「変な事したら、つまみ出すぞ」
「しないしない! ふふっ、やったぁ」
 途端に上機嫌になり、両手でガッツポーズを取る。……なんていうか、仕草や言動で完璧に女の子している女体化男子に意味はあるんだろうかと問いたくなる光景だった。
 深いな、TS。
「じゃ、着替えてくるね!」
 待ちきれないとばかりに立ち上がり、司馬は社務所の奥に消えていく。
「あー……すいません、葛葉さん。なんか、バタバタしちゃって」
「……」
 謝ると、葛葉さんは小さく首を横に振って「いい」とだけ応えた。
 亮祐が入っていた頃とうって変わって表情筋の固まった顔は、まるで精巧な人形のようだ。綺麗なのに、どこか人間味に欠ける。
 これと同じ顔がからからと男らしく笑っていた頃を思うと、とても興奮した。本来の人格と憑依されていた間とのギャップは大きいほど良いものだ。
「あの……」
「はい?」
 司馬が戻ってくるのを待っていると、葛葉さんが巫女服のたもとを探りながら声を掛けてきた。
 差し出されたのは、俺と葛葉さんが映っているプリントシールだ。顔を寄り添わせたまま俺はぎこちなく笑い、『葛葉さん』は横ピースまで決めてノリノリだった。
 説明されるまでもなく、これが俺と葛葉さんに憑依した亮祐とで撮った物だと理解する。そういえば、一回目のゲーセンデートのときにこんなのもやった気がする。
「私、取り憑かれてたときのこと、あまり覚えてなくて……」
「そうなんですか」
「うん。……私、こんな風に笑うことできたんだね」
 自分の顔で笑う『自分』にそっと語りかけるように呟き、やがて意を決したように俺をまっすぐに見つめてくる。
 頬に赤みが差して見えるのは夕映えのせいか、それとも。
「あ、あの……よかったら、今度は」
「おっ待たせ! さあ、僕らの愛の巣に行こう!」
 浮かれた声が葛葉さんのセリフを遮り、制服に着替えた司馬が戻ってきた。
「愛の巣言うな」
「君のことが好きだって言ってる女の子が、体一つで君の家に泊まろうとしているんだよ? 何も起きないはずないよね!」
「すいません葛葉さん、コイツ預かってもらっていいですか」
「うそうそうそ! 大人しくしてるから泊めてよっ! ねっ?」
 両手を合わせて上目遣いでおねだりするポーズは、あざといなと思いつつもまんまと男心をくすぐられる。
「……ほんとに大人しくしてろよ? それじゃ葛葉さん、お騒がせしました」
「…………うん」
 所在なさげにしていた葛葉さんに頭を下げ、俺たちは神社を後にした。
(そういえば……)
 さっきはいったい、何を言いかけたのか。
 ほんのりと赤くなった顔と途中まで聞こえたセリフを思い返し、俺の知る限りのTSシチュエーションに照らし合わせる。
 亮祐は実は成仏してなかった。とか、亮祐とは別の霊が憑依した。など、可能性は無限にありすぎてとても絞りきれなかった。
 司馬の問題が片付いたら、報告も兼ねて聞いてみよう。
「ねぇ、今、誰のこと考えてるの?」
「え」
 俺の少し前を歩いていた司馬が、夕日を背中に浴びたままそんなことを聞いてくる。
 声の調子は明るく、なのに振り向かないまま語りかけられた俺は、背筋に冷たいものを感じた。
 司馬は俺に背を向けたまま、ポツリポツリと続ける。
「もしかして、さっきの女? 僕が傍にいるのに、僕が今から君の部屋に行くのに、泊まるのに、他の女のことで頭がいっぱいだったの?」
 ひどいなぁ、と呟く司馬の声は、相変わらず明るい調子のままだった。
 その声が、ふいに重くなる。
「もう、飼うしかないのかなぁ……」
「……」
 安易に司馬の手助けをしてしまったことを、いまさら後悔する。
 俺、明日学校に行けるのかな……。



「ふふっ、どう? 似合う?」
 風呂から出てきた司馬は、上機嫌のまま自分の姿を見せ付けてきた。
 湯上りの身体に俺のパジャマを身にまとい、くるくると嬉しそうに回っている。
「本当にありがとう。お礼はカラダでいいかな?」
「いいわけあるか!」
 襟元を開き、白い肩を露出させる。
 つるりと丸みを帯びたそこから俺は慌てて目を逸らし、司馬を一喝した。
「変な事しないって約束したろ! 本当に追い出すぞ!」
「君ってば真面目だねぇ……」
 呆れたのか感心したのかわからないため息をつき、司馬ははだけた襟元を直す。
 女体化男子と遭遇した場合、「男なんだしいいだろ」と言って胸を揉んだりパンツを拝んだりするのが正しい反応なのだろうが、俺はどうにもそういったエロシチュエーションは苦手だった。
 秘密を共有し、周囲にばれないよう協力しながら心の距離を埋めていく。そういう関係になりたい。
 ……まぁ、相手がヤンデレ気味のストーカー気質じゃ、付かず離れずの微妙な距離感なんて期待できそうもないが。
「ねえ、桑倉君」
「今度は何だよ」
「もし、僕がさ、このまま元に戻れなかったら……結婚、して?」
「…………」
 一瞬、宇宙が見えた気がした。
 なにこいつ発想がぶっ飛びすぎてついていけない。怖い。
「お、お前さ……なんでそんな、俺のこと……好き、……んだ?」
 使い慣れない自惚れたセリフだからか、最後の方はほとんど声にならなかった。
 それでも俺の疑問は届いたのか、司馬が笑顔を見せて答える。
「僕ね、君と会っていたんだよ。ずっと昔に」
「は?」
「やっぱり覚えていないかぁ」
 それから司馬はゆっくりと、物語を話すように俺との出会いを教えてくれた。
「僕、昔から女の子みたいな顔してて……それでよく、近所の子とかにもいじめられていたんだよね」
 同級生の男子からはいじられ、年上の女からはムリヤリ女装させられたりと、毎日のように絡まれていたらしい。
 その頃はまだ変身体質も備わってなく、TSという言葉すら知らなかったそうだ。
「男なのに女みたいだって言われてさ、あのときの僕はそれが本当にイヤで……でも、君が僕の考えを変えてくれた」
「俺?」
「うん。『女みたいな顔だったら何が悪い。むしろ萌えるだろが』って」
 同級生に絡まれていたところを、たまたま通りがかった俺がそう言ったらしい。
 いや、何言ってんのガキの頃の俺。
「『女みたいな顔ってことは、男なのに女かもしれないってことだ! 男だけど女、女だけど男ってのは……なんかこう、最高だろ!?』っていって、いじめっこたちを追い払ってくれたよね」
「語彙力とか圧倒的に足りてねぇし、それたぶんキモイ奴から逃げただけだと思う!」
 自分の特殊性癖叫んでいるだけの変な野郎だよ。子供でもアウトだよ。
 一回死ね昔の俺。中二病黒歴史より黒歴史じゃねぇか。
「女の子みたいな僕のありのままを受け入れてくれたのって、君が初めてで……それからずっと、君の事が好きなんだ」
「チョロ過ぎる!?」
 優しくしたら懐くって、犬か!
 なんか告白され直した気がするけど、司馬のちょろさと過去の自分の恥ずかしさのダブルパンチでそれどころじゃなかった。
「それでね、それ以来僕も女の子みたいな自分が好きになってきて、むしろホントの女の子になれたらなって、いろいろ調べて」
「ああああああ……」
 軽はずみな自分の発言が、一人の人生を狂わせたらしいい。
 当人は満足そうだが、俺は後悔に押しつぶされそうだった。

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・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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