くだらない一日 3

TS要素のないSSです
小学生レベルのやり取りをする男女の話で、罵声の会話が主となっています。
「死ね」などの単語に寛容でない方は、読むことをお勧めしません



くだらない一日 三日目


 時計の針が十二時を通過し、チャイムが鳴る。
 それはつまり、授業の終わりと学生達の憩いの時間が始まったことを意味していた。
 一階の学生食堂へ急ぐ生徒もいれば、財布を睨みながら購買へ向かう生徒もいるし、教室に残って弁当を広げる者もいる。
 そして武と舞は、机をくっつけて弁当を広げる一派だった。
「相変わらず偏ったおかずだよな。無駄なあがきだってわかってても、たまには美容と健康に気を遣ったメニューにしたらどうだ。そして手遅れだということを痛感しろ」
「パラサイト風情が偉そうに。あんたがいまここに弁当を広げていられるのは誰のおかげかわかってる? いや、やっぱいい。思い出そうとして私の目の前で知恵熱起こされたらご飯がまずくなるわ」
「お前の失敗料理の詰め合わせが感謝されるレベルのものかよ。だからって、こんな環境汚染物質を放っておくわけにもいかないから仕方なく俺が食ってんだよ。地球に優しい俺でよかったな」
「地球に優しいとか、どんだけ上から目線よ。床に這いつくばって消しゴム拾いでもしてれば?」
 他人を寄せ付けない、ある意味二人だけの世界に入っている。会話でいくら暴言を吐いていようとも、武たちはハタから見れば仲の良いカップルにしか映らなかった。
 それでなくとも、お互いに机をくっつけて似たような中身の弁当を広げているのだ。
 『あの二人、付き合ってるのかなー』というクラスメイトの声が上がるのも、至極当然のことだといえよう。
「やー、お二人さん。ちょっとごめんねー」
「羽山?」
「歩。どうしたのよ」
 共通の友人を見つけた途端、二人の表情から険相が薄れる。誤解されがちだが、武たちはどちらかと言えば無害な人種であり、誰彼構わずに悪口を開いているわけではないのだ。
「えっとね、あの人が、マイマイに話があるみたい」
「私に?」
 舞はきょとんとした顔で自分を指差し、歩の示した教室の入り口に視線をやる。
 武もつられて首を動かすと、ドアの傍には愛想笑いを浮かべた優男が立っていた。
「あれ、三年の不動先輩だよな。やたらモテるって噂の」
「うん。その、すごいモテるって噂の不動先輩が、マイマイにだけ話があるんだって。行ってきなよ」
「う、うん」
 なんの期待をしているのか、舞の頬がわずかな朱色を帯びる。
「うっわ、何ガラにもなく照れてんだよキモイな。もしかして告白されるとか、そんな円周率並みの可能性を考えてんのかよ」
「あらゆる可能性がルート2の値しかない奴は、新しい語呂合わせでも延々と考えてなさい。ちなみにまったく浸透しないの」
「いいながらいそいそと席を立ち上がるんじゃねーよ。πの値を暗唱して三桁目で舌噛めっ」
「ほらほら。早く行きなってばー」
 歩の仲裁により、以降も続きそうだった無意味な舌戦が打ち切られる。
 入り口で舞と男はいくつか言葉を交わした後、連れ立ってどこへともなく立ち去っていった。
「……何の用だろうな、不動先輩」
「さー? 普通に考えれば、告白だと思うんだけど」
「それはない」
 間髪入れず否定する。
 舞は喋りさえしなければ美少女といっても差し支えのない顔立ちだが、武はそういった世間の目がとかく信じがたかった。
「ふぅん……? っていうか、そうじゃないほうがいいなって顔しているね」
 歩が探るような声と意味深な笑みを向ける。
「悪いが、俺は日本語しかわからん」
 まるで都内の人間が沖縄訛りを聞いたような反応は、台詞の内側を探る探らない以前の問題だった。
「マイマイのこと、気にならないの?」
「ははは、羽山も冗談が上手くなったな」
「……つまんないの」
 拗ねるように呟いた歩の声が、果たして届いたのか届かなかったのか。
 武はぷいと顔をそらした友人を、訝しげに見ていた。






単発SSのくせに物語が動いているようにみせかけている……姑息!

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巫

Author:巫

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・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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