ある日の俺と彼女 2/14

何かしらのイベントがある日に
自分の彼氏をあらゆる方法でTSさせる彼女
そんな二人のぐだぐだした会話が書いてあります
ヤマなしオチなし意味なしの三拍子揃ったTS短編です
今回はちょっと甘い雰囲気を目指しました……が、まぁ期待はしないでください


ある日の俺と彼女 2/14


「うちのバカ姉が、いつもお世話になっています」
 そんな言葉と共に、マイ彼女の妹は深々と頭を下げながら四角い包みを差し出してくれた。

 二月十四日の今日に、その中身が何なのかとボケるほど俺は天然キャラではない。
 ただ、一つ問題がある。
「あー、受け取りたいのは山々なんだけどね」
「?」
「最初のチョコは、お姉さんからもらいたいんだ」
 たとえ、それで俺がチョコを贈られる側から贈る側になろうとも。
 数日前までならそのことを考えると憂鬱にもなったものだが、やっぱり彼女持ちの男としては、受け取りたいという思いもあるわけだ。
「……前々から気になっていましたけど」
「うん?」
 テーブルの上に例の包みを置き、妹さんはまっすぐに俺を見つめてきた。
「姉の、どこがいいんですか?」
「んー……」
 ずいぶんと難しい質問をされてしまった。
 そういえば、何で俺は彼女を好きになったんだっけか。
「そうだなぁ。顔?」
「なぜ疑問系ですか」
「じゃあスタイルで」
「『じゃあ』? というか、姉のプロポーションは平均だと思います」
「冗談冗談。あの性格だよ」
「ドMでしたか。いますぐ接し方を変えます」
 おお……ボケ倒すのって案外いいな。気持ちがいい。
 でも、妹ちゃんはもっとテンション上げて突っ込んでくれたほうがいいな。
「まったく。ふざけないでまじめに応えてください」
「うーーーん……一目惚れだしなぁ。やっぱり顔かな?」
「だから、わたしに聞かないでください」
「でも、顔に惹かれたってだけじゃ、あの性格と能力を知っても付き合い続けられるって理由には弱いよな」
「特別美人というわけでもありませんからね」
「……一緒にいて楽しいから、かな」
「楽しい、ですか?」
「別に女にされるのがいいって思ってはいない。むしろ困っている。というかやめてほしい」
 でも、いつも彼女は笑っている。
 そして、気がつけば俺も、いつの間にか笑っている。
「何がおかしいのかわからんけど、なんか楽しいから。あいつといると、余計な考えとか全部吹っ飛んで、頭ん中が楽になる」
 だから……というわけでもないが。
 俺は彼女が好きで、これからも彼氏彼女の関係を続けていく。
「……なるほど」
「あ、お姉さんには秘密な? さすがの俺も、ちょっと恥ずかしい」
「残念ながら、手遅れです」
「は?」
 妹さんがそう言うや否や、机の上に置いてあった四角い包みが、ぐにょりと動き出した。
 縦・横・斜めに、まるで中の液体が意思を持ったように包み紙の中を移動している。
 やがて、包み紙はモチのように一転を大きく膨らませ――。
「ぷはー!」
 包み紙を突き破り、彼女の形をしたチョコがあらわれた。
「はい!?」
「それじゃ、わたしはこれで」
「ちょ、妹さん! 放置!? この状況で俺、放置!?」
 俺の必死の叫びも空しく、妹さんはチョコ彼女と俺を残し、部屋から出て行った。
「……」
 どーすんだ。この状況。
「……」
 彼女は、頭からぽたぽたとチョコをたらし、ただじっと俺を見つめている。
 そうしているうちに徐々に身体の色が人間のものに近づいていった。
「というかお前、何でチョコになってんの」
「……チョコになった私は、口から食べられることでその相手の身体を支配する。これが、私の究極の料理――」
「それは絶対に料理じゃない!」
 というかあやうく彼女に身体を乗っ取られそうだったのか、俺!
「ねえ」
「ん?」
「チョコ、これしか用意してないんだ」
「……食わないからな?」
「うん。だが断る」
「んむっ!?」
 いつの間にそこまで近寄られていたのか。
 気がついたときには半チョコ人間と化している彼女に擦り寄られていた。
 ……まるで猫がごろごろと甘えるように、俺の胸に顔をうずめ、頬ずりをする。
「私を、タ・ベ・テ」
 上目遣いで、そんな台詞を彼女に言われてみるといい。
 正常な男なら、理性なんて吹っ飛ぶに決まっている!
「チクショーーーーッ!! いただきますだ!」
 というわけで、バレンタインもまんまと彼女にはめられた俺だった。
 ……ちなみにこれ、お返しとかしなきゃいけないのか?
 つーかどうしろと。


 余談だが、身体を奪われた後、薄れ行く意識の中で聞こえてきた言葉を付け加えておく。
『ふぅ。乗っ取り完了』
『……私も、あなたといると楽しいよ』
『私の力を知っても付き合い続けてくれるのは、あなたが初めてだし』
『恥ずかしいから、こんな風にしかいえないけど。……私、あなたが大好き』
『本当に、大好きだから』
 ……うん。わかってる。
 どう考えても俺の妄想だよな、これ。
 でもさ。
『これからもよろしくね。マイダーリン♪』
 夢でも妄想でも。こんなこといわれたらこう返すのが礼儀ってもんだろ。

「こちらこそよろしくだ。マイハニー♪」




 甘い雰囲気……orz

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