ネコス16

変身が主になっている短編SSです
後先考えずゆるい感じで進行しています


ネコス16
 
 みなさまこんにちは
 変身願望を叶えるTSファン垂涎の喫茶店、「ネコス」の……へくしゅっ。
 
 ずずっ……うう、失礼いたしました。
 ここ数年、なんか春先に風邪引くなー思ててん。
 そやねん。花粉症やねん。
 へーちょ。
「……なんだ今の流れ」
「とある大阪少女の真似に決まっています。可愛いですか?」
「とりあえずマスターが方言萌えということならわかった」
 というわけで、今日も今日とてバイト美女のユカリちゃんとの夫婦漫才におなかいっぱいの美人マスターです。
 相変わらずツンドラな彼女ですが、心なしか以前より態度が柔らかくなっているような気がしないでもないと思います。
 イベントスチルこそ見逃した感じですが、好感度上げは順調。そう思い込まなければ、私の一日は始まりません。
「へ……へくしゅっ」
 ちなみに花粉症なのは本当です。春先はこれだから困ります。
 とはいえ、春自体は嫌いではありません。
 新しいスタートを踏み出すこの季節は、若い人たちの目がいつもよりキラキラと輝いて見えます。
 新しいことをこれから始めようとする人間こそ、もっとも活力に満ち満ちているのではないでしょうか。
「へくちゅっ」
 ずず……つきましては、私こと美人マスターもまた、新しいことに挑戦したいと思います。
「せっかくの青臭い台詞もくしゃみで台無しだな」
「花粉症萌えの人には絶賛されています」
「萌える人間がいるのか。つーか、新しいことって?」
「……ユカリちゃんは、ビジュアルがないと本当に口が悪いだけのキャラですねー」
「いきなり話の腰砕いた上に俺のキャラぶれ宣告!?」
「これはもう、美人マスター改造計画より先にユカリちゃんの方をどうにかすべきです」
「俺のキャラ、そんなに安定してないのか……」
「美人属性は私が先ですし、TS娘なんて毎回ウチで輩出していますし、クール属性は私の妹がいます」
 つまり、このままではただの口の悪いツッコミキャラなのです。ゆくゆくはフェードアウトです。
「というわけで、ユカリちゃんには特徴が必要だと思います。早急に」
「特徴って、言われてもなぁ」
 首をひねるユカリちゃんは大変、美女かわいいのですが、外見的特長のみではキャラが立っているとはいえないのです。
 記憶喪失という属性を失ってしまったいま、彼女は自分の容姿以外で際立ったものを見つけなくてはなりません。
 じゃないと二軍落ちです。空気です。蚊帳の外です。死亡フラグを立てて最後にかっこよく物語から退散するタイプです。
「そんなこと、美人マスターは許しません!」
「なんか理不尽に切れられた……」
「愛ゆえです! ……愛? ……そう! つまりユカリちゃんはネコスのバイト娘にして、私の肉ど」
「せめて恋人にって考えはないのかよ。どっちにしろ全力で断るけどな!」
「じゃあペットで!」
「あんたの脳が残念なのはわかってたつもりだが……まだ、甘かったか」
 なんか失礼なこといわれている気がしますが気にしません。
 主要な登場人物の空気化は絶対阻止。それがこの私の背負う使命で……へくちゅっ。
「こんにちは兄さん。今日もやかましいですね」
「ん、妹さん。いらっしゃいませ」
「素敵な笑顔ですねユカリさん。今から私と寝ませんか」
「いきなり来てうちの店員誘惑するんじゃねぇです百合娘ーーっ!!」
 本当に空気の読めない妹です。
 私は、これでも真剣にユカリちゃんのキャラ立てを考えているのに。
「キャラ立てなんて、人から与えられるものではないと思いますよ、兄さん」
「兄さん兄さんうるせーです。いい加減、お姉ちゃんと呼んだらどうですか。可愛らしく!」
「ユカリさん、ベッドイン一回につき二枚差し上げます。だめですか」
「ガン無視ですか! それと、ウチのバイトに売春持ちかけるんじゃねーです!」
「まあ、九割がた本気の冗談はさておいて」
「ほとんど本気じゃないですか!」
 ぜーぜー……。
 わ、私、ツッコミキャラではなかったはずです。
 なのにどうしてここまで全力で叫ばなくてはならないのでしょう。
 おかげでくしゃみをする暇もありません。
「ユカリさん、あなたは恋愛キャラです。恋に生き恋に空回りして、周囲を和ませてください」
 あくまで妹はスルーです。やるせないにもほどがあります。
 しかもなんか妙なことを口走ってやがります。
「れ、恋愛キャラ?」
「なん……おま、どうして」
 ユカリちゃんも妹の意外な言葉に目を白黒させています。
 残念ながら私と彼女はまだ恋愛関係ではありません。
 だというのに、青葉ちゃんはふっと薄く微笑むと、
「私も、一応恋愛キャラでしたので。なんとなくわかりました」
 などと、悟ったようにつぶやきます。
 そういえば妹にはちゃんと彼氏がいたのですね。すっかり忘れていました。
 ……んん?
「青葉ちゃん青葉ちゃん。なぜ過去形ですか?」
「別れました」
「…………はい?」
「女体化に理解のない男を彼氏と呼べません」
「私が言うのもなんですが、大多数が理解無いと思います!」
「というわけで、私はフリーです。ユカリさん、三枚ならどうです?」
「だからウチのバイトを買おうとするんじゃねぇっつうんですよぉーーーーーっ!」


 この店で結ばれた二人が別れてしまった衝撃と。
 ユカリちゃんをめぐる意外なライバル出現のショックと。
「そ、そっか……俺は恋愛キャラか」
「マスターを放置して自分のキャラ立てに照れ照れしないで下さい、ユカリちゃん!」
 妹の妄言を真に受けたユカリちゃんの、嬉し恥ずかしそうな表情によるトキメキで。
 今日のネコスは、いつも以上に賑やかです。




>毎回TS娘を輩出している

 最近TSが起こっていない件について
マ「いいんです。私がTS娘なので!」
 納得できるかボケー
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Author:巫

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・……上記のように妙な言い回しをする悪癖あり

・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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