ネコス18

お店の人間模様が主になっている短編SSです
後先考えずゆるい感じで進行しています

ネコス18
 

 みなさまこんにちは。
 TS愛好家が一度は行きたいお店の一位に選ばれたい喫茶店「ネコス」の美人マスターです。え、桜の精? ふふ、あいにく私は人間ですよー。
「というわけで、お花見しましょう」
「突然だな」
 
 毎年春になると、この辺りは美しい桜並木が出来上がります。
 ですので、去年まではわざわざどこかに行く必要もなくお店の中でお客様とお花見情緒に浸れていたのですが……。
「工事中だかなんだか知りませんが、お向かいさんの騒音のせいでお花見気分になりません」
「仕事しながら花見気分になれるっていうのも、どうかと思うけどな」
 ちなみに、この会話のBGMは『ぎゅいぃぃぃぃぃ~~~~~~~ん!!』です。すっげぇうるせーです。
 どうやら改装工事をしているようですが、もうちょっと静かに出来ないのでしょうか。クール&ビューティーな「ネコス」の空気がぶちこわしじゃないですか。
「いい考えだよマスター。もっとも、君の美しさに桜が嫉妬してしまうだろうけどね」
「……当然のようにお花見に参加しようとしてこないでください」
 ウザイ常連さんは、今日もウザワードとウザスマイルで満ち満ちています。
 私は、ネコスの従業員だけでお花見するのです。つまりユカリちゃんと二人っきりでお花見するのです。そして最終的には女体に咲くお花見へとシフトチェンジしていくのです!
「うん、集合場所は赤井に任せる。なるべく人の多い場所な」
「オーケーだよユカリちゃん」
 常連さんはバチーン☆という文字が見えてしまいそうな、寒気のするウインクを決めやがりました。
 私が美人マスターでなければ、彼はいまごろ井戸の中に放り投げられてもおかしくはなかったはずです。運のいい男です。
「ハッ! ユカリちゃんは平気ですか!?」
「う、うん……へいき……」
「めちゃくちゃ赤くなっているじゃないですかぁ!」
 さすがの美女も、鳥肌ウインクの直撃を食らってしまっては怒りを隠せないようです。
 美女が怒りに任せて暴れる姿なんて見た…………くありません。もう、とっとと帰りやがってください常連さん。
「それじゃあ、あとでまた連絡するよ。マスターの料理、楽しみにしているからね」
 いつもネコスで私の料理を食べているくせに、なんでそういうことを言うのか私には理解できません。
 そんなに私の料理が食べたきゃ、もっと注文しやがれって気もします。
「こんにちは兄さん。お花見するんですってね」
 ウザイ常連さんと入れ替わりに、今度は青葉ちゃんがご来店しました。
 淡々とした口調に、どこか冷めているような妹の顔は、それでもこころなしか疲れているように思えます。
 原因は……隠れる気をまったく感じさせない電柱の影の少年がそうなのでしょう。
「今日も元気ですねー、彼」
「ええ。正直、あそこまで根性のある人間だとは思っていませんでした」
 今の世の中ストーカーは立派な犯罪なのですが、私たち姉妹の会話は基本的に危機感ゼロです。
 妹は別に強いわけではありませんが、とても冷静なのです。仮に彼が襲い掛かってきたとしても、妹ならば仲達もびっくりな手段で返り討ちするに違いありません。
「兄さん。そこは、『孔明もびっくり』って評価がほしいです」
「孔明をびっくりさせるのは私の役目でーす」
 というか返り討ちに関しては否定しやがりませんか。
 クールな顔してエグイ妹です。くわばらくわばら。
「……そんなことより、私もお花見に参加したいのですが」
「うん? 珍しいですね。いつもの青葉ちゃんなら『花見? ふん、騒がしいのは嫌いでね』なんて言ってるのに」
「たまに妙に男らしいよな、妹さん」
「語弊のある台詞ですが、まぁ、概ねそんな感じです」
 キレのあるツッコミが出てきません。青葉ちゃん、相当お疲れのようです。
 女の子に迷惑かけるなんて、美人マスターは許しません。
「わかりました。では、あそこのストーカー君も呼んで、みんなでお花見しましょう」
「……兄さん。私に何の恨みが?」
「どうしてそうなるんですか。お姉ちゃんがじきじきに、あの彼にお説教してやるのですよ」
「マスターが説教? いや、そういうのは赤井に任せろよ」
「赤井? 誰ですかそれ。そんな見ず知らずの人に頼るより、姉妹の絆で結ばれた私がお説教してやったほうが効果があるってもんです」
「客の名前ぐらい覚えろよ……何で俺、コイツとライバルやってるんだろ」
 なんだかユカリちゃんまでぐったりし出しました。
 ごめんなさいですけど今日は妹デーなのです。あとでたっぷり構ってあげますから一日だけ我慢してください。
「大丈夫ですよ青葉ちゃん。あなたは、お姉ちゃんが守ってあげます。大事な大事な妹ですもの」
「兄さん……」
 うふふふふっ、どうですこの完璧なお姉ちゃんキャラ! これで妹の好感度はうなぎのぼりです!
「余計なお世話です」
「( ゚д゚ )」
「楽しくお花見して、イヤなこと忘れさせてくれれば、それで結構です」
「……こ、こ、こここ」
「ニワトリの真似ですか、兄さん。ああ、お花見のお弁当にはカラアゲを入れてください」
 言いたいことだけ言って、何気にちゃっかりお弁当のリクエストまでして、青葉ちゃんはお店を出て行きました。
 残された私は、やりきれない言葉を、お向かいさんの騒音にも負けず劣らずの声で叫びます。

「この、ツンドラ百合娘ーーーーーーーーー!!」
 『ぎゅいいいいいいいいいいいんんんんん!!』
 
 本日の喫茶店ネコスは、騒音とその他の影響で午前営業のみとさせていただきます。
 なお、希望者にはお花見への参加も可能です。参加料はTSブレンド一杯。
 お花見の席で、ぜひとも華麗に変身して下さいませ。
 ……久々にイキのいいTS娘と出会いたいです。





マスターたちは自粛なんて言葉、知りません


以下、拍手返信(反転処理)

>eta さん
>本能の猫
いつも拍手ありがとうございます
この猫はきっともう、化け猫になっているのでしょうねw
本能に忠実な猫にスポットが当たった話もいつか載せたいものです

>彼女がドモン
彼女「お前が欲しいって台詞、エロイよね! 肉欲一直線よね! ちょうど裸だし!」
彼氏「あのシーンでハアハア出来る人間は始めて見た!」
彼女「ちなみに私は都合のいいマントなんか持たずに言うわ!」
彼氏「素っ裸のままあの台詞とアクションをしろと!?」

拍手ありがとうございます

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Author:巫

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・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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