ある日の俺と彼女 5/4

自分の彼氏を、あらゆる理由付けでTSさせる彼女
そんなバカップルのゆるい会話シリーズです

ある日の俺と彼女 5/4

 俺にはここ最近悩みがある。
 それは、この大型連休が始まって以来、彼女が毎日俺の部屋に押しかけてきていることだ。

 まぁ待て。リア充死ねとかいわんでくれ。
 一度、想像してみてくれないか。有無を言わさず、毎日、女の身体にされるという連休をだ。
 ……むしろご褒美です? お前とは話にならんな。
 いいか、昨日なんてなぁ。

 ― ― ― ―

「ほわちゃあっ!」
「あ痛ッ!?」
「うふふ、今日は拳法の日! よって、たったいまあなたの経絡秘孔を突いた!」
「活字じゃないとわからんこというな!」
「ふふふ、変なところにツッコミ入れている暇なんてないわよ。あなたはもう、死んでいる! 男として」
「ぐふっ!? …………女体化、はいつものこととして、なんで俺はチャイナ服を着ている!? 性別ならまだしも服装すら変えたのか!?」
「拳法記念日だからねー」
「これはもう、秘孔とかの領分じゃないよなぁ!」

 ― ― ― ―

 ってな感じだ。
 それから先はやれ百烈なキックを見せろだの天上天下唯我独尊と叫びながら自分に酔いしれろだのと、わけのわからないことを言われ続けた一日だったよ! 
 ……コホン。
 とにかく、今日ぐらい俺は絶対に男のままでいるのだと誓った。
 彼女の暴挙は、程よいところで止めてやらねばならない。まぁ、つまりある程度は付き合ってやるってわけだけど、こうして彼女のおもちゃで連休を潰してしまうというのは、彼氏としての面目が立たない。
 元から面目なんてないだろwとかいう奴はあとで正座な。
「さて、今日はみどりの日か」
 先手を取ってウィキペでみどりの日について調べ、5月4日の他の祝日についても調べた。
 さらに『みどり』というワードから連想できることも、俺の思いつく限りですべて網羅した。
 つまり、今回俺は油断もしなければ、ひっかけのような会話で女体化の流れにもさせない。
 どこからでもかかって来るがいいさ、マイ彼女。

「やほやほー。私ー」
「第一関門セーフ!」
「?」
 前は、何の脈絡もなくいきなり憑依されたからな! さすがに力技で来られたら抵抗のしようがない。
 いきなり妙なアクションを起こす様子もないし、今日は会話で俺の女体化を引き出すつもりなのか。
「ふふっ、勝機アリだ」
「んー、なんか変なテンションね。マイダーリン」
「ハハハ、毎日誰かさんに女にされているからかなー」
「酷いっ、私という彼女がいながら、他の能力者と会うなんて!」
「こんな力を使える奴、お前以外に知らねぇよ!」
「冗談よ冗談。あなたが私以外の能力者に目を向けるなんてこと、あるわけないもんね」
「『能力者』を『女』に変換してもいいか?」
「…………デレられた。ぽっ」
「微妙に違う」
 むしろデレたのお前だし。
 てか、相変わらずイタイ発言を堂々とする彼女だ。
 何だ、お前の能力は『祝祭日の性転換』と書いて『ホリデートランス』とでも読むのか。
 …………着実に彼女色に染まっているなぁ、俺の脳内。
「おっと。それより今日は――」
「『自然に親しみ、その恩恵に感謝し、豊かな心を育む』日だな。間違っても、男が女になるのを誘発する日じゃない」
「そ、そうよ。でも今日、5月4日は」
「飲み物の、ラムネの日だな。それとも紙の、名刺の日か?」
「ぐ……今日はずいぶん、博識なのね」
 ありがとうウィキペ先生。
 珍しく彼女を追い込んでいるっぽいよ、俺。
「ふっ、なんてったって今日は、独立宣言の日でしかも青年の日だからな」
 青年である自分が、この日に少女になるなんて間違っているんだ。
 いまこそ俺は、彼女の女体化地獄からの独立を宣言する!
「……私から、独立、しちゃうの?」
 泣き落としが来たか! 予想通りだぜマイハニー!
 ここで、ここで、冷たい態度を取れれば俺は!
「きょ…………今日、だけな」
 やっぱり良心がちょっと痛むからつっけんどんには出来ないのが俺だ。
 文句あるか畜生。
「そっか……ぐすっ、じゃあ、今日はもう、私はあなたの恋人じゃいられないんだね」
「うぅっ」ずきずきずきずき
 騙されるなーっ! これは、俺を女にするための罠だーっ!
「じゃあ……」
 その一瞬は、たぶん、一生忘れられないシーンになったと思う。
「あなたは」
 目尻に涙を浮かべ、寂しそうな表情を浮かべていたはずの彼女がそういって俺に向けた顔は、
「今日は、『右手が恋人』ね」
 頬をほんのりと赤くしながら、それでもにーっこりと微笑んでいた。
 何がまずったのかわからず。それでも直感でしまった、と思った直後。
「ぐ、お、お」
 目の前が真っ暗になり、例の感覚に、俺の意識は沈み込んだのだった。


 目が覚めた俺は、彼女の身体になっていた。
 すぐわかったのは、なんというか、慣れってやつか? 目の前に自分がいれば、そういう風に考えるようになってしまった。
 順応力の高い自分が憎いな畜生。
 ……ああもう、そんなことより、俺の姿をした彼女に問い詰めるべきだ!!
「なんで、あの台詞で入れ替われる!?」
「えー? だって、今日は『右手が恋人のもの』の日にするんでしょ?」
 ぐっ、まさか余計なこと言い過ぎたのか、俺!
「あとね、今日は『みどりの日々』だから」
「…………は?」
 日々?
 なんで、『日』が増えている。
「知らない? 朝起きたら、右手が女の子になってたって奴」
「………………『ミドリの日々』!?」
「せーかーい♪ 右手を、女の子にしてみました」
「右手どころか全身女だよ! つか、青年の日はどうした!?」
「わ、私、フィジーの記念日なんて知りませんっ」
「ごまかす気ゼロ!?」

 結局、今日も俺は彼女に『彼女』にされて連休の一つを潰してしまった。
 ……次こそ、次こそ勝ぁつ!




…この男は何と勝負しているんだ


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Author:巫

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・モドキとはいえ小説を公に無断転載してはいけません 常考
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