ネコス23

お店の人間模様が主になっている短編SSです
後先考えずゆるい感じで進行しています。


ネコス23

 みなさまこんにちは。
 変身願望を満たしてくれる素敵な喫茶店「ネコス」の美人マスターです。魔性の女です。
「やあ、マスター。今日も美しいね」
 絶世の美女のユカリちゃんを差し置いて私を美しいと言ってのける目腐れ野郎を虜にしてしまうほど、私は魔性です。

 みかん野郎の出現で少しはこのウザ客の戯言も気にならなくなるかなーと思ったのですが、あの野郎とは別のベクトルでむかつきます。根は深そうです。
 残念ながらこの人とはこれからも仲良くなれそうにありません。
 べ、別に、仲良くしたいわけじゃありませんけどね! と、無意味にツンデレを気取ってやります。
 ……なんで無意味だとわかっててツンデレ気取ってしまったのでしょうか。まさに魔性です。
「あ、あの。もしかしてこの人、店長の恋人ですか?」
「アオちゃーん。いくら美少女でも、言っちゃいけないことってあるんですよー?」
 美人マスターの私を美しいと言っただけでイコール恋人だというアオちゃんの脳みそメカニズムが信じられません。
 私の思っている以上に、この子は純真なのかもしれません。おバカだという見方もできます。
「えと……ご、ごめんなさい?」
「疑問系なのが気になりますが、まぁ許してあげます。美人マスターは心が広いのです」
「あ、赤井。注文はどうする?」
「……なぜホール担当のユカリちゃんがカウンターに来ているんですか」
 あと、出てきたなら出てきたで「自分で心が広いとか言うな」というツッコミジャブが欲しいです。
 内気なアオちゃんではツッコミ役に適さないのですよ。
「うん、『美人マスターの今日のディナー』で。デザートはもちろんマスター。キミだ」
「や、やっぱりお二人は付き合って」
「マスター、ディナー1。デザートにアオちゃん盛り合わせ」
「いいですねぇ、クリームトッピングして食べちゃいますか。私が」
「え、ええっ!?」
「はははっ、賑やかだね」
 オーダーした客をほったらかしてミニ漫才を始めた私達に、ウザ客さんはご機嫌な顔を見せます。
 本当にいまさらですが、こんな接客態度でいいんでしょうか。相手がウザくても、お客はお客です。
 それに、みかん野郎と違ってお店の空気を悪くもしません。先日の赤髪男(中身は金髪少女)の言葉がよみがえります。
 『こんな店、すぐに潰れる』。
 万が一にもありえませんが、ネコスのお客が向かいのお店に流れてしまうかもしれません。
 この常連さんがみかん野郎のところに行くのはいいんですが、常連が一人減ると客が三十人は減るともいいます。
「というわけで、不本意ながらあなたにおべっかを使わなくてはなりません」
「マスター、本音だだ漏れ」
「あ、この男の人は、ただの常連さん……ですね」
「アオは把握が遅すぎるっ」
「はっはっはっ。マスターがいなければ、どんなにおいしい料理だって味気ないさ」
「赤井。いまの台詞は地味ーにショックだな、俺」
 突っ込んだり落ち込んだりとなんだか忙しそうなユカリちゃんを横目に私は黙考します。
 ライバル登場だからといって、経営方針やお店の雰囲気を変えるつもりは一切ありません。
 ですが、ことこのウザ客にいたってはちょっと見直すべき点があるような気がします。
 ウザイとはいえ、好意を抱いてくれている相手を邪険にしすぎるのは、あまりよろしくないのではないでしょうか。
 普段から客の少ないネコス的に考えても、この男はお得意様。冷たい態度をとり続けた結果逃がしてしまっては、損です。
 もうちょっと、優しくしてあげたほうがいいような気がしてきました。
「マスター、それはいけない」
「な、なんですか、いきなり!」
「ふふっ、君の気持ちは全部僕に通じているのさ」
「だだ漏れだからな」
 ユカリちゃんが律儀に突っ込んでいますが、常連さんの耳には入っていなさそうです。
「それよりマスター。キミには、いまのままでいてほしい。ありのままのキミの姿こそが、最高に魅力的なんだ」
「んなっ……」
 こ、この人は、また恥ずかしげもなくっ! 不本意にも顔が赤くなってしまうじゃありませんか!
「僕はさっきも言ったとおり君のいない店に用はない。だから、態度を変えるなんて悲しい真似はやめてくれ」
「ふ、ふんっ。いい事を聞きましたです。つまり、私が態度を変えればあなたは私を口説かなくなるということですね」
「いや、それはないけど。どんなカタチでも、僕はマスターが好きだよ」
「んぐっ、なんなんですかコンチクショーッ!」
 ああああああもう、やっぱりウザイですこのお客さん!
 いつもいつも私の心をかき乱してくれやがります!
 確かに私は望んで女の子になりましたが、別に男にときめきたかったわけではありません!
「……赤井。お前、デリカシーっつうもんがないのか」
「? 変な事を言うね。僕は紳士的だよ」
「だったら、好きだって言った女の前で別の女を口説くなよ……」
「あのぅ……ボク、皆さんの関係はまだよくわかりませんが」
「うん、なんだい新人さん」
「店長とお客様は、意外とお似合いに見えます」
「(・∀・)…………」
「( ゚д゚ )…………」
「あ、あの?」
「いい子だ。お菓子をあげよう」
「やべぇ。少し泣きそ」
「え? え? え?」

 テンパリ中の私をほったらかして、ユカリちゃんアオちゃん、ウザ常連さんは歓談してやがります。
 ぽつぽつとお店にいる他のお客さんも、なぜか私達を見てニヤニヤと頬を緩めています。
 ……この空気がネコスの味とはいえ。
 なぜだか、マスターの私がいたたまれない、そんな営業日でした。
「わ、私は、クールな美人マスターになります!」
「うん、それもまた魅力的だ」
「アオ、お前とはいずれ決着をつけなきゃならねぇな」
「ぼ、ボク、何かしましたかっ!?」
 ネコスは今日も、賑やかです。






ユカリ涙目w
そも、マスター×赤井とか誰得

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