ネコス24

とある喫茶店での人間模様をゆるゆる描く短編SSです
特に後先は考えずのらりくらりと更新しています。

ネコス24

 みなさまこんばんは。
 雨漏り対策は万全の変身喫茶「ネコス」の美人マスターです。水も滴るいい女です。
 このところ雨が続いているせいか、お客さんはいつもより少なめのご来店でした。


 ……断じて、向かいのお店にお客を取られているわけではありません。
「はー、新しいメニューでも考えましょうかねー」
 湯船に顔半分を沈め、ぶくぶくーと泡を湧かせます。
 美人マスターこと私はただいま入浴中ですが、この美しい肢体を覗こうとする痴れ者はいまだに現れません。
 覗きをするぐらい女の裸に興味を持つ痴れ者ならば、きっと、私のよき理解者になってくれると思っています。女体化にも大いに賛同してくれるでしょう。
 私生活は相変わらず独りきりなので、そのまま同居人となってくれればさらに良しです。
 そんなわけで、お風呂の窓は常にウエルカム状態です。格子の隙間から思う存分、卑猥な視線を向けやがるがいいです。
「にゃー」
「うい?」
 格子の向こうから、卑猥でもなんでもない暗闇に光るお目目が覗いています。
 痴れ者ではなく猫さんが来たみたいです。
 湯気とコンタクトオフのためボヤケてよく見えませんが、たぶん黄吉でしょう。
「あはー、このエロ猫めー」
 猫さんをも虜にしてしまう私こそ、美人マスターの称号にふさわしいと思いませんか。
「にゃー」
 黄吉は格子の隙間をするりと抜け、お風呂場に入ってきました。
 水が怖くないのでしょうか。まったく、つくづく猫らしからぬ猫さんです。
 黄吉は濡れたバスタイルの上を軽快に進み、半開きのドアを潜り抜け脱衣所へ侵入します。
「って、美人マスターの肢体を無視ですか! 素通りですか!」
 美人マスターの沽券にかかわるので、私は急いで湯船からあがります。
 このネコスで私が猫さんに無視されて良いわけがありません。


「くおら黄吉ーーーーっ!」
「にゃ?」
 すっぽんぽんのまお風呂のドアを開けると、脱衣所には私のブラを口にくわえるエロ猫がいました。
 なんでしょう、この、エロ漫画みたいな展開。大体、猫が人間のブラ盗んでどうするというのでしょうか。
「ま、まぁいいです。とっとと返しやがりなさい」
「にゃー」
 可愛らしく鳴いては居ますが、この猫さんは私のいうことを聞いてやくれません。
 私の下着をくわえたまま、今度はお店の方に逃げやがりました。
「お約束ですねぇっ!」
 にゃーじゃねぇっつうんですよこのエロ猫め。
 こうしてはいられません。あのブラはお気に入りなのです。
 私はバスタオルを身体に巻き、急いでエロ猫を追いかけました。
「黄…………き、ち……」
「あ…………」
 お約束過ぎます。
 ただ、神様もこんなシーンを用意してくれるのでしたら、もう少し配役というものを考えてほしかったです。
 なんで、どうして、私のあられもないバスタオル姿を目撃する相手が――――
「……なんのつもりだ野良猫。私のセキナを寝取るつもりか? エロ漫画みたいに」
「あ、あの、も、申し訳、わけ、わけわけ」
 冷酷なまでの眼差しで私を睨みつける金髪少女と、鼻を押さえて真っ赤な顔をする赤髪青年ですかぁーーーッ!
 新参のライバル相手じゃ、せっかくのお色気イベントも台無しです! これじゃ何のフラグも立ちません!
 せいぜいが金髪少女オウカちゃんの言ったとおり寝取りフラグですが寝取る気ないので実質フラグゼロです!
「あふっ」
 赤髪青年セキナさんは、これまたハーレム漫画みたいに顔を真っ赤にして倒れました。
 入れ替わり能力があるのに、女性の裸に耐性がないのでしょうか。
「セキナっ。……さっさと着替えこい、野良猫」
「あ、あの、でも、私のブラが」
「さっきの猫が持ってたやつか? 私が捕まえておくから、さっさと失せろ。貧相な身体を見てると吐き気がする」
 感謝して良いのかむかついて良いのかわからないロリっ娘の対応です。
 だいたい、あなたの方がつるぺたじゃないですか。
「……失せろ。と私は言っているんだよ、野良猫」
「おぉう」
 人を殺してきたみたいな目をしやがります。
 怖くなったので言う通りにしてあげましょう。いつまでも裸で居るのもなんですし。

 ……普段着に着替えてお店に戻ると、状況がさらに悪化していました。
「ねこーねこーねこー」
「にゃにゃにゃにゃにゃーーーーーッ」
 さっきまで殺し屋の目をしていた少女が、恍惚な顔をして黄吉に頬ずりしています。
 黄吉は何がイヤなのか、前足後ろ足をばたばたしてもがいています。
「……セキナ、野良猫が戻りました。セキナ? ……聞いていませんね」
 一方で、ついさっき真っ赤になって倒れた青年は、幸せそうなオウカちゃんから随分距離をとっています。呼びかけても近づこうとはしません。
 なんでかわかりませんが、私が着替えている間に二人は入れ替わったみたいです。
「私がやるのか……この私が、野良猫風情に頭を下げなければいけないのか……!」
 演劇じみた口調で手を握り締め、セキナさん……いいえ、オウカちゃんは私を睨みつけます。
 金髪ロリだったときも迫力がありましたが、男性の身体で睨まれるとまた一味凄みが増します。
「野良猫っ、先日は…………ぐっ!」
 なにか葛藤しているようですが、私にその意図は伝わりません。
 まともな会話の出来そうなオウカちゃん(セキナさん)は、いまだに黄吉で遊んでいます。
 というか、こんな遅くに何をしにきたのでしょう、この二人。
「がーーーーっ! 言わん! 私は絶対に謝らんぞ!」
「な、なななんですかいきなり!」
「セキナ、帰るぞ! というか私は帰る! 猫が近くに居てはかゆくて仕方がない!」
「ねこー、あー、ねこー」
 オウカちゃんボディのセキナさんは強引に黄吉から引き離され、ずるずると首根っこを引っつかまれてお店を出て行きました。
 ……おもちゃを取り上げられた子供のような反応に、不覚にも萌えました。
「というか、お店、開けっ放しでしたか」
 マスター、ミステイクです。てへ。
 でも結局、あの二人は何をしに来たのでしょう。
 後に残ったのは、私のかすかな疑問と、憔悴した黄吉だけでした。


 ――蛇足――
 某掲示板、とあるスレにて。

 1:名無しさん
 いまから女一人の家に忍び込みまつ
 安価10
・・・
 10:名無しさん
 下着泥だろjk

 11:1
 おk ブラ採ってくる
・・・
 21:1
 ちょwおまw寺返り討ちwwwww
 テクニシャンパネェwwwwwwwww <(゚ロ゚;)>
・・・
 22:名無しさん
 ・・・スレ主?! スレ主ーッ!!




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